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ドイツ夫と日本人妻の「フードファイト」

新婚1年目!
ドイツ夫と日本人妻の「フードファイト」

「チョコレート
 モンスター」

ドイツ人の男性と結婚した日本人女性。
食生活の違いに戸惑う日々を、イラストとともにお届けします。
第4回目は、チョコレートモンスターを自称する夫が、妻に贈ったプレゼントのお話。夫の好きなチョコレートにも注目です。
(ふたりは主に英語で会話していますが、日本語に翻訳してお届けします)

消えたチョコレート

今回のタイトルは、チョコレートが好きでたまらない夫が、自らを称して言う言葉です。

その通り、私が「明日のおやつにしよう」なんて思ってとっておいたチョコレート菓子が、翌日にはすっかり箱ごと、袋ごと消えてなくなっていることが幾度もありました。

「ちょっとー! 私のチョコ食べたでしょ!」
「ごめん、ごめん。ちょっと“発作”が起こっちゃって……」
なんてやり取りもしばしばです。

そしてちょっと困っているのが、自分が好きなのと同じくらい、私もチョコレートが大好きだと思い込んでしまったことなのです。

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初めての誕生日プレゼントに衝撃

それは、ふたりが出会って初めての私のバースデーのことでした。
抱えるほど大きな箱を持って現れた彼の姿に、当然、私の心は高鳴ります。

「え~、プレゼントなんていいのに~」
と大和撫子らしく遠慮してみせると、
「いいから開けてみて!」
と、目を輝かせて言う彼。

わくわくしながら開けてみると……登場したのはチョコ、チョコ、またまたチョコ。

てんとう虫の形のもの、赤いハート形のもの、モーツァルトが描かれた銀紙に包まれたもの……初めてのバースデープレゼントは、数えきれないくらいのチョコレートがばらばらに詰めあわされた、スペシャルチョコボックスだったのです。

さらなる問題は、それらがすべてドイツやオーストリア製だったこと。

あちらのチョコレートはうんと甘かったり、舌触りぼそぼそのマジパンが入っていたりで、日本人にはちょっと食べにくいタイプのものが多いのです。

2、3個ならいいけれど、大げさでなく100個を超えるようなチョコレートに、内心とっても困ってしまいました。

しかしまだまだ付き合いの浅かった頃の私は戸惑いを口に出せず、「わあ~、すごい! ありがとう!!」といささか過剰に喜んでしまったのです。

それが運のツキ。

クリスマス、バレンタイン、再びのバースデー。プレゼントには必ず大量のチョコ、が定番になってしまいました。
こっそり食べたフリをして、家族や会社に差し入れしていることは、夫はもちろん知りません。

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モンスターのフェイバリットチョコ

チョコレートをこよなく愛する夫ですが、いいのか悪いのか、ゴディバやピエール・マルコリーニ、ジャン=ポール・エヴァンのような高級品にはあまり興味がありません。

日本のチョコレートで一番好きなのは? と聞くと、迷いなく返事が返ってきます。
「ロッテのチョコパイ!」
「あとは?」
「そうだねえ、ポッキーもいいね。きのこの山も捨てがたいし……アイスならだんぜんチョコモナカジャンボだね!」
と、なかなかいい線をついてくるのが、さすがはチョコレートモンスターです。

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バレンタインデーに訪れたサプライズ

ところで、今年のバレンタインデーは、夫がミュンヘン、私は東京にいました。

女性から男性に、だけでなく、互いに贈り合うのが欧米のバレンタインデー(ホワイトデーは、日本や韓国だけの風習です)ですが、「今年のバレンタインはなしかな」と、私は前日になっても何も用意せずにのんきに過ごしていました。

するとそこへ、1本の電話。近所のお花屋さんからでした。
「あの~、ドイツからお花の注文が入ってるんですが、明日は大雪みたいなので、早めにお届けにあがってもよいでしょうか?」

やばい! どうやら夫はきちんとプレゼントの準備をしていたようです。

私は最寄りのスーパーマーケットに走りました。そして購入したのは、ダース、ポッキー、もちろんチョコパイ、きのこの山にたけのこの里、ほか、様々な日本のメーカーのチョコ菓子。
しめて約800円。ああ、なんて安上がり!

その足で郵便局に行き、国際便の手続きをして、ふう、無事終了です。

そして翌日、お花屋さんからの予告通り大きな花束が届きました。私はサプライズに驚いたふりをしつつ、「雪のせいで少し遅れちゃうかもしれないけど、私もプレゼント送ったからね」とメール。

すると夫からは「チョコ添えられなくてごめんね」と返信がありました。

いえいえ、もう、お気持ちだけで充分ですから!

イラスト/なをこ

●文:溝口シュテルツ真帆(みぞぐち しゅてるつ まほ)/
1982年生まれ、石川県加賀市出身。編集者。週刊誌編集、グルメ誌編集を経て、現在はドイツ人の夫とともにミュンヘン在住。ドイツを中心に、ヨーロッパの暮らし、旅情報などを発信中。私生活ではドイツ語習得、新妻仕事に四苦八苦する日々を送っている。

2014年5月25日公開

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