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ドイツ夫と日本人妻の「フードファイト」

新婚1年目!
ドイツ夫と日本人妻の「フードファイト」

「個性爆発! 自由すぎる
語学学校の生徒たち」

ドイツ人の男性と結婚し、ドイツに住んでいる日本人女性。今回は、語学学校に通う彼女が出会った個性的な生徒たちを、イラストとともにご紹介します。

多少の変化に驚かないほど成長した語学力

みなさんにこのコラムを読んでいただいている今日も、私はドイツ語と格闘中です。

第10回のコラムで、ドイツ語のほんの入り口で右往左往した様子をお届けいたしましたが、あれから4ヵ月がたち、あのころの自分を「かわいいなあ」と思えるほどに成長しました。

スカートを意味する「Rock(ロック)」が男性名詞で、ズボンを意味する「Hose(ホーゼ)」が女性名詞でも、もう驚くことはありません。
「Gericht(ゲリヒト)」という単語に「料理」と「裁判所」の両方の意味があることがわかっても、「まあ、ひとつ覚える単語が減ったと思えばいいか」とポジティブシンキング(ファーストフード店で初めてこの単語を見かけて辞書を開いたときには、かなり混乱しましたが……)。
名詞の”性別”によって、冠詞はおろか、形容詞まで変化することが判明しても、「はいはい、また変化するんですね。わかりました」と無我の境地で受け止めることができるようになりました。

それよりも驚かされるのは、4ヵ月前から通い始めた語学学校でのほかの生徒の様子です。

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衝撃! 授業中にケバブをガブリ

現在は10人規模のクラスですが、生徒たちの背景は、ドイツ人の彼女のためにドイツ語を学び始めたイギリス男子、エンジニアとジェラート屋をかけもちして働いているイタリア人のおじさん、3人の子どもを育てるスーダン人のお母さん、ヨーロッパ旅行中の香港から来た女の子などと、実に多様。そのため、言葉も習慣もてんでバラバラ。

ところが、正式な学校での学習時や企業研修では別だとしても、授業中にお菓子やフルーツをかじってもかまわないのは各国の常識のよう。
スペイン人女性が、授業中に「はい!」と小さなドーナツを渡してくれたときには、そのあまりの自然さに、「あっ、ダ、ダンケ!」と思わず受け取り、慌てて口にむぐむぐと押し込みました。
休憩の後、教師が柿を皮ごとかじりながら入ってきて、そのまま食べかけを片手に授業が始まったこともあります(ちなみに、柿はドイツ語でもKaki。とてもポピュラーなフルーツです)。

それでも、スーダン人のお母さんが、バッグからケバブを取り出して食べ始めたときには、思わず凝視。
ケバブとは、焼いた肉や玉ねぎなどの香味野菜をたっぷり挟んだスパイシーな中東風サンドイッチのことです。
もちろん、肉とソースのにおいが小さな教室中に充満しますし、手もかなり汚れるはず。
しかし彼女もほかの生徒も、教師までも平然としたもの。
私だけが、彼女が食べかけのケバブを教科書の上にのせるのを見て、「シミがついちゃうよ~」と気が気じゃありません。

そして、テストのときには、「この単語は、男性、女性、中性のどれですか?」なんて、答えに直結する質問を繰り出すキューバ人のダンディなおじさんもいました。
教師も、それに笑顔で答えます。
「いやいやいや、それを自分の力で考えるからテストなんじゃないの?」
と、前日真面目に勉強してきた私は目を白黒。
見ると、隣の席の香港の女の子も驚き顔。
「ちょっと、アジア人は真面目すぎるかな?」
とテストが終わったあとにプチ反省会をしました。

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答えが間違っていても気にしないハートの強さ

ほかにも、朝から気合の入ったお化粧とお洒落で語学学校に臨むポーランドやウクライナの女子たち。
教師が口を開くよりも先に、自信満々で間違った答えを教えてくれるエジプト人男性。
無駄にペンの貸し借りをし、熱い視線を交わしあうイタリア人の男女(ふたりはつい先週まで初対面だったはず)など、個性的すぎる人々に囲まれて日々が戦いです。

私は日本では特別おとなしいほうでも、自己主張がないほうでもないと思うのですが、そんな生徒たちに囲まれると、完全に“大和撫子”。
教師からの質問の答えを一瞬考えあぐねた隙に、ほかの生徒たちは我先にと発言。
「ああっ、ちょっと待ってよ、いま答えようと思ったところなのに……」と思っても時すでに遅し。
教師が気を使って、発言数の少ない私にわざわざ質問してくれることもあり、悔しさが募ります。

実にユニークな面々でも、皆に共通するのは、「間違った答えを言ってもぜんぜん恥ずかしくない」と思っていること。
私は、合っていると自信が持てるときしか真っ先に発言できませんが、先のエジプト人しかり、大声で間違った答えを言い、教師に間違いを指摘されると、「なるほど、そうですね」と言って、次も真っ先に答えようとするハートの強さがあります。
それはドイツ人も同じようで、夫に言わせると、「だって発言しなきゃ、間違っているものが、そのままになっちゃうじゃない?」とのこと。はい、ごもっとも。

30歳を超えて教室の中でオロオロすることになるとは思いもよらない事態。まずは各国流に、授業中の糖分補給から身に着けたいところ……?

イラスト/なをこ

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