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ドイツ夫と日本人妻の「フードファイト」

新婚1年目!
ドイツ夫と日本人妻の「フードファイト」

「ふたりに温度差あり?
日独バレンタインデー」

ドイツ人の男性と日本人女性が食生活の違いに戸惑う日々を、イラストとともに公開。ふたりのバレンタインデーにまつわる思い出をご紹介します。日本とドイツの温度差がわかりますよ。

ほろ苦かった、はじめてのバレンタイン

ドキドキしながらチョコレートが入った袋を抱きしめて、雪降る中大好きなあの人を待っていたこともあったっけ……。
そんな甘酸っぱい思い出もよみがえるバレンタインデーですが、きっと我が家では、小さな花束や、スーパーに売っている定番チョコを贈りあう程度のささやかな過ごし方になることでしょう(この原稿を書いているのは、バレンタイン以前の10日です)。

私と夫のバレンタインデーは、そもそもの滑り出しからいまいち盛り上がりに欠けていました。
交際がはじまってすぐの2月。初々しい気持ちでいた私は、女友達に「バレンタインどうしよう? 相手はドイツ人だし、何をプレゼントするべきかなあ?」などと頬を上気させて相談。
結局、高価なプレゼントはふさわしくないのではという結論になり、やや高級なチョコレートだけを購入して、当日を迎えました。

しかし、
「ごめん、風邪ひいちゃったから」
そんなそっけないメールで約束はキャンセルされたのです。バレンタイン当日に会えないなんて! と再び女友達に愚痴と疑心暗鬼の憶測。

数日後に会えば、まだまだ風邪を引きずったような顔をして、家のテーブルにはトローチの空き箱やスポーツドリンクが散乱しています。
どうやら風邪なのは嘘じゃなかったらしいとほっとして、なんだか色あせてしまったようなチョコレートを渡して「日本人女子にとってバレンタインがいかに大切な日か」というのをこんこんと話して聞かせたのでした。

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ホワイトデーを勘違い

するとさらにその数日後、得意げな面持ちで何やら大げさな箱を手渡してきた彼。開けばなぜかティーポットとチョコレートです。
「なにこれ、どうしたの?」
と聞けば、
「だって今日はその“ホワイトデー”とやらなんでしょ?」
と。どうやら1ヵ月後と1週間後を勘違いしていた様子。なんだか力が抜け、以降、バレンタインデーなんてすっかりどうでもよくなってしまったのでした。
(ちなみに去年の様子はこちらで紹介しています)

そもそも、ドイツ人にとってバレンタインデーは日本ほどには特別な日ではないようです。
バレンタインデーが日本で盛り上がりを見せだしたのは、昭和40年代末から50年代にかけてのころだといいます。たしかに、私が小学生の平成初期のころにはもう当たり前の季節行事で、義理チョコをクラスの男の子に配って回った記憶もあります。

ところが、ドイツにバレンタインデーの習慣が定着しだしたのはどうやらそれより後、せいぜいここ20年程度のことのようなのです。
周囲の30代のドイツ人たちに聞いてみても、子どものころの思い出はほとんどなし。とくに25年前までの旧東ドイツ地域では「なにやらそういう習慣があるらしい」と知っていた程度だと話す人もいました。

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ドイツでは男性から女性へ、が主

近頃はその風習も薄れているかもしれませんが、日本式に女性から男性に愛の告白をする、といった日でもありません。
ドイツではどちらかといえば男性から女性に、日頃の感謝の気持ちを伝えるような日。
プレゼントもチョコレートに限らず、バラの花やメッセージカードなどが主流。当日にはバラの花を求めて花屋に列を作る男性たちの様子も見られます。
が、スーパーやデパートの商戦を見ても、日本のように殺気立ってチョコレートやプレゼントを買いあさるようなお客さんの姿はなし。「とりあえずやってますよ」と赤色のパッケージのお菓子が飾り気なく積み上げてあるだけといった程度なのです。

女性にバレンタインデーの贈り物はしたことがないと夫も話します。
「マムに花を送ったことはあるけどね」
なんて、本当か嘘か、まるでお母さんからしかチョコレートをもらえなかった日本の男の子を彷彿とさせます。

とまあ、日本にくらべて(とくに女性陣にとっては)ずいぶんと楽なイベント。日本式のバレンタインデーがピンときていなかった夫の気持ちが、いまならよくわかるのです。

ところが、ドイツでのこんなエピソードも。
バレンタインの翌日、夫が出社すると、アシスタントの女性がご機嫌ナナメな様子。男女の機微にはめっぽう疎い夫が、
「昨日、誰からも花束をもらえなかったんですか?」
と、なんとも不躾な冗談を繰り出しました。すると、女性はキッと夫のほうを振り向き、
「ほっといてくださいよ!!!」
と言って、なんと、泣き出してしまったそうです。バレンタインデーが、すべてのドイツ人にとってどうでもいい日、というわけではないようです。

イラスト/なをこ

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