Web Original

ドイツ夫と日本人妻の「フードファイト」

新婚1年目!
ドイツ夫と日本人妻の「フードファイト」

「日本人妻が震える
寒さに強いドイツ人」

ドイツで新婚生活を送る日本人女性とドイツ人夫の深刻な“温度差”が表面化。一体、何が起きたのか。そんな深刻な状況をイラストとともにお届けします。

シャワーや温泉でわかる、ふたりの“温度差”

近ごろ、私たちの温度差が深刻です。

と言っても暑さ寒さの感覚の違いのことなのですが、いやいや、これがちょっと冗談にできないぐらいの問題なのです。
結婚前、日本でそれぞれ暮らしていたころから、彼は夏になるとだらりと溶けたように無気力になり、私が冬のドイツへの里帰りに付き合えば、爪も唇も真っ青にしてぶるぶる震えていたのですが、まだそれを互いに笑う余裕がありました。

箱根に行ったときには、私がお湯に入り「あ~これこれ、たまらんわ~」と思わず声をもらした横で、彼はつま先をちょんとつけて「あつっ! あついよ! 入れないよ!」と、大げさに騒ぎ、「こんな熱いお湯じゃ茹でソーセージになっちゃう……」と、結局最後まで岩に体育座りをしたまま。
ドイツのプールに併設されたスパでは、彼が満足げにリラックスする脇で、私は「ぬるすぎるよ、こんなんじゃまったく体があたたまらないよ、寒いよ」とまた唇を青くしていました。
自宅でも、彼の直後のシャワーは要注意。「水?」と思うくらいのぬるいお湯が出てきてキャッとなりますし、私の後は彼が「ナニコレ~!」と叫ぶ声がリビングまで聞こえてきたこともありました。

寒い国からやって来たであろう外国人が冬にTシャツ姿でいるのを見て、珍しいやら、おかしいやらといった気持ちになったことが多くの日本人にもあると思いますが、それが夫婦として一緒に暮らすとなると、予想以上に大変です。

<次ページへ続く>

上げる、下げる「暖房の設定温度攻防戦」

まず自宅の暖房の設定温度。真冬のドイツ、外はもちろんマイナス気温ですから、私は部屋の備え付けヒーターの「6」まであるつまみをググッと「4」か「5」まで上げなくては、寒くてとてもいられません。
ところが髄までエコ精神が染み込んでいる夫にはそれが気に入らない。なんだか寒いなあ、とつまみを見ると、気づけば「3」あるいは「2」まで下がっています。
私が上げる、夫が下げる、の攻防を何度か繰り返した後、夫は厳粛な面持ちで言います。
「もっと服を着たらいいじゃない」
「着てるよ! ヒートテックのエクストラウォームを上も下も!」
「いやいや、ドイツには『玉ねぎシステム』っていう言葉があってね……」
要は、玉ねぎのように薄い服を何枚も重ねて着るとあたたかい、ということをこんこんと説明されます。

かけ布団も、夫は夏蒲団のような薄いものを1枚だけで十分。仕方なく、縦半分に折りたたんだ分厚い毛布を私側だけにかけ、ヴェルムフラッシェと呼ばれドイツでも使われている湯たんぽを足元に入れて、ようやくバランスが取れます。
それでも、夜中に「暑い」「寒い」と言い合って、翌朝「よく眠れなかった」と互いに不機嫌になることもあり……。寝床を別々にする日も近いかもしれません。

<次ページへ続く>

寒さに震える日本人妻のささやかな抵抗

私は割と寒さが苦手で冷え症なほうだとは思いますが、夫は特に暑がりというわけではないらしく、ドイツで親類の家に行っても、友人の家に招かれても、どこも似たような低めの室温で、私ひとりだけが「寒いんだけどなあ……」と手足をすり合わせています。
誰かのうちに行く、となった日には、得意のヒートテックエクストラウォーム&母に大量に送ってもらったホッカイロのジャパンテクノロジーで完全防備して出かけなくてはなりません。

ドイツの住宅設備はとても優れているので、つまみさえ上げれば玄関の床からトイレに至るまでしっかりとあたたまり、隙間風が入ることもなく、大変快適なのですが、いかんせんみんなエコが大好き。
移住前にドイツの寒さにおびえていた私に、カナダの極寒地に住んでいた友人が、「家の中は日本より快適だよ! Tシャツで過ごせちゃうくらい」と言ってくれ安心していたのですが、ドイツ人の肌感覚に合わせている限り、こたつがない分、こちらのほうがつらいかもしれません。

私の最強の攻撃にして、最大の寒さアピールは、氷のように冷え切った足を、ぴたり、と夫のふくらあぎあたりに添わせること。ついでに手も、わき腹に差し込みます。
「ひゃっ!」と文字通り飛び上がるのがおかしい。
何度かそれを繰り返したところ、とりあえずつまみが「4」から下に下がることはなくなりました。

さあ、ドイツにも、遅い春がそろそろやってきます。

イラスト/なをこ

2015年3月15日公開

『フードファイト』の他の回もチェック!
「ドイツ人夫と日本人妻の『フードファイト』」一覧
「パンとハムとチーズの無限ループ」
「デンジャラス!? 日本食に挑戦」
「きっかけはパスタ。声を荒らげて大喧嘩」
「チョコレートモンスター」
「想像以上に大変! 婚姻手続き」
「キッチンで見た夫の“奇行”」
「過酷すぎる新婚旅行」
「“旅人メニュー”に一喜一憂」
「5週間の旅で“最高の夜”」
「渡独できない!? 進撃のドイツ語学習」
「日独ゆで卵の作り方合戦」
「日本では考えられない! ドイツ流ジュースの飲み方」
「想像以上に根深い? ドイツ人へのお土産問題」
「本場オクトーバーフェストでの苦い思い出」
「日本人妻の母が見たドイツの七不思議」
「恐るべし……ドイツの結婚式(前編)」
「恐るべし……ドイツの結婚式(後編)」
「ドイツ人男性は甘いものがお・好・き」
「早い! 長い! ドイツのクリスマス」
「個性爆発! 自由すぎるドイツ語学校の生徒たち」
「食べても減らない! ドイツの“焼き菓子地獄”」
「シンプルすぎるドイツのラクレット」
「ふたりに温度差あり? 日独バレンタインデー」
「ドイツの謎の行事「ファッシング」に迫る」

<次ページへ続く>

1 2 3 4 5

関連書籍

  • 個室で大切な人と“おもてなし”レストラン
  • 最後の築地
  • ひと味違う 中華街&横浜
  • 大東京23区散歩
  • とっておきの銀座
  • 口福三昧
  • 最強の麺 219軒
  • お値打ちの三ツ星店
  • 移民の宴
  • 綾小路きみまろ公式ファンブック
おとなの週末 Select

人気の特集だけを、
電子版限定でセレクトしました

おとなの週末公式アカウントはこちら
  • Facebook
  • Twitter
  • LINE