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ご当地自慢 by 白央篤司/2014年4月15日

県民に聞いた!ご当地自慢のグルメ・お土産
第1回

兵庫県民の愛する春の味
「いかなごの釘煮」

本誌で『ああ懐かしき母の味 故郷レシピ』を担当しています、フードライターの白央です。
このコーナーでは、誌面で伝えきれなかった郷土名物や、様々なこぼれ話をご紹介しますよ!

大袈裟じゃない!春の“いかなご熱”

兵庫県民が愛する「いかなごのくぎ煮」

 さて現在発売中の本誌5月号でも紹介しています、「いかなごの釘煮」。簡単にいえば小魚の佃煮です。関西以外のエリアでは「こうなご」といえば、ピンとくる方も多いのでは?

 佃煮といえば地味に感じる方もいるでしょうが、兵庫人の「いかなご愛」はハンパじゃない! 正直、ここまで熱い反応が帰ってきた名物は、連載初でした。

「とにかく、春になるとみんな作ります」
「佃煮といっても、魚の鮮度が命。港に漁船が帰ってくるの、並んで待ちますもん、おかん連中」
「町のあちこちで煮染めるにおいが漂う。春だなと思います」

 私は最初、関西人特有の誇張表現だと思いました。しかし聞く人聞く人、同様の答え……。
「当然です。春の“いかなご熱”は、独特なんですよ」

 今でこそ工業や貿易のイメージが強い兵庫・沿岸部ですが、元来は漁民の地。調べてみれば、戦前まで海辺には漁師の村が多くあり、春には三度の飯にいかなごが登場していたようです。

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海外にいても届く“母の味”

 しかしそれに飽きることなく、いかなごは旬の味として、人々に大切に頂かれていました。特に保存のきく釘煮は、家を出て働きに行った息子、遠くへ嫁に行った娘へも送れる、大切な“母の味”だったのです。

「今でもね、兵庫のおかんは、郷里を出て働く子供に、今年の釘煮を送るのが楽しみで仕方ないんですよ」

 これは、よく聞かれた声でした。なんと驚いたことに、この時期には釘煮専用のケース付き宅配パックまで登場するのだとか。

 海外赴任されている方から「おかんや叔母連中が毎年、送ってきます。冷凍庫が釘煮で占められてますよ(笑)」なんて声も、いただきました。

 釘煮上手なおかんは、「いかなごおかん」の称号がもらえるのだとか。醤油と砂糖で煮るだけのシンプルな料理なので、腕の差が出るのでしょうね。若いお母さんで上手な人は「クギニーネ」なんて呼ばれるとの情報も!

 まさに、兵庫のソウルフード。現在では全国の大手スーパーでもたまに見かける、いかなごの釘煮。兵庫の母の味、味わってみてはいかがですか?

神戸『近藤亭 きっしゅや』のいかなごの釘煮キッシュ。釘煮は洋風メニューにも活用されています!

●文:白央篤司(はくおう あつし)/
東京都出身。フードライター。大学卒業後、編集者を経てフリーに。本誌『故郷レシピ』『死なないレシピ』を始め、食記事・レシピ記事を手掛けつつ、日本酒やアジア料理のイベントを企画している。


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