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サバジェンヌが行く!

サバジェンヌが行く! 第21回
鳥取市「究極の塩鯖」が
東京に殴り込み!

鳥取東部・因幡地方の伝統食である「因幡の塩鯖」。鳥取市でいま、一大ブレイク中の塩鯖グルメを楽しめるとして人気のイベント「SHIOSABAR」が、さる2月6日、東京で開催に! これまで東京では食べられなかった「因幡の塩鯖」の、満を持しての東京入りを全日本さば連合会のサバジェンヌ池田がレポートします。

鳥取駅前が「渋谷109」状態になる一大イベント

「SHIOSABAR」など鳥取の塩鯖イベント時に、はためく「塩鯖のぼり」

「お疲れさばです!」

すでに「お疲れさま」は「お疲れ“さば”」と“公式ご挨拶”と化している鳥取情報文化研究所の植田英樹さんからの電話だ。

「池田さん、ついに、因幡の塩鯖が東京進出です! 『SHIOSABAR IN TOKYO』が決定しました!」

おおっ。な、な、な、なんと!  本連載第6回でもご紹介した、鳥取市の激ウマ塩鯖「因幡の塩鯖」を楽しむ、イベント「SHIOSABAR」。一昨年より開催され、焼き立ての塩鯖や塩鯖料理の提供、塩鯖トークなどが実施され、全さば連も鳥取でのトークショーやサバンドの演奏で参加してきた。

「SHIOSABAR」の盛り上がりは、回を重ねるごとに熱さを増している。ふだんであれば人口日本最下位の鳥取県らしい、極めて「空白の多すぎる」哀愁漂う鳥取駅前が、瞬間風速的に「渋谷109」前状態になるという、奇跡の盛り上がりを見せているのだ。

「やっと、東京のみなさんに因幡の塩鯖の実力を見ていただけます!」
興奮気味の植田さん。SHIOSABARをはじめとするイベントや、塩鯖丼、塩鯖創作料理の提供など、塩鯖で町おこしに取り組む「鳥取の新・ご当地グルメを創る会」の会員はかねてから、東京進出をひとつの目標にしていた。全さば連でも、販促ワークショップなどを実施するなどの応援で「いつか」と思っていただけに、サバジェンヌ的にも「おっしゃ、きたかー!」とサバ無量だ。

それだけに「塩鯖といえば、弁当についている1切れ、2切れの“なんとなく塩鯖”のイメージを覆したい!! 因幡の塩鯖はそんなもんじゃない! 塩鯖の凄さを思い知ってほしい!」と熱く語る植田さん。

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東京のみなさんの『塩鯖人生』を変える!

因幡の塩鯖は、100年近い歴史をもつ名品。そのこだわりは「徹底した血抜き」。一般的に市場に流通している塩鯖の作り方は、サバを開いたらすぐに塩をふる。しかし、鳥取では、サバを開いたあとにしっかりと血抜きをしてから、塩をふる。それはすべて手作業。職人の熟練した技術によって、絶妙な味わいが生まれる。

因幡の塩鯖に対して 「ジュワッと広がる脂、口を“支配”する旨み」という名キャッチコピーを生み出した植田さんがきっぱり宣言する。

「東京のみなさんの『塩鯖人生』を変えますから!」

かくして、「NO SHIOSABA NO LIFE」の「鳥取の新・ご当地グルメを創る会」一同が因幡の塩鯖を従えてやってきたのは、昨年新橋にオープンした鳥取県のアンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」。

「きょうはやりますよ!」と意気込み十分、塩鯖ゴングをぶんぶん鳴らす植田さん。そして、その横では東京でのサポートにあたる、都内在住の鳥取県出身者で結成された「若い鳥取県応援団」の団長である辻堅太郎さんが「塩鯖は、必ず鳥取から全部取り寄せて食べています。この美味しさを伝えたい」と熱き塩鯖愛を語る。

今回の「SHIOSABAR IN TOKYO」では、因幡の塩鯖を使った、和・洋風の創作料理を、鳥取のお酒とともに楽しんでもらおうという趣旨だ。

そして和風創作料理は、鳥取市内の居酒屋『もぐら屋』の岩本慎司さん、洋風創作料理は、イタリアンレストラン『ペペネーロ イタリア館』の木下陽平さんが担当。「塩鯖料理」東京切り込み番長として登場だ。

左から『ペペネーロ イタリア館』木下陽平さん、『もぐら屋』岩本慎司さん、「鳥取情報文化研究所」植田英樹さん

今回のメニューのコンセプトについては、岩本さんは「お酒に合う塩鯖料理」。そして、木下さんは「鳥取ならではの食材をアレンジした塩鯖料理」。ふたりとも、工夫に工夫を重ねたという。

会場を訪れた鯖ファン約60名の反応やいかに!?

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東京の鯖ファンの心を掴みにした“塩鯖グルメ”

こんがり焼けた「因幡の塩鯖」。ほどよい塩加減とジューシーな脂がたまらない!

目の前にずらりと並んだ渾身の塩鯖料理は「塩鯖概念」を覆す逸品揃い!

まず和食から「塩鯖けんちん焼き」。
一見、鯖寿司のように見えるが、塩鯖の下にあるのは米ではなく「豆腐」! 水気をきって、崩した豆腐に細かく切ったニンジンやしいたけ、きくらげなど合わせて混ぜたものを、開いた塩鯖に詰めて焼き上げた一品だ。「サバの塩気を考えて、豆腐はあっさりした味付けにしてあります」と岩本さん。香ばしく力強い塩鯖に、ふわっと寄り添う豆腐。まるで「おしどり夫婦」のような、サバらしい、あ、素晴らしいマリアージュ!

(上)「塩鯖けんちん焼き」。精進料理からヒントを得た一品
(左)「塩鯖酒蒸し~梅酢仕立て」。彩りも美しく、初春の宵の一献にぴったり♪
(右)クリーミーなコクが塩鯖と相性がバツグンの「塩鯖酒粕煮」

「塩鯖酒蒸し~梅酢仕立て~」は、梅酢に漬け込んだ、紅色のサバが美しい。岩本さんが「梅の季節を迎えて旬を感じていただくとともに、冷酒に合うものをと考えました」というメニュー。塩鯖に季節感を求めたのは前代未聞! もはや春のときめきすら感じる風流すぎる塩鯖。サバらしい!! ぜひ「四季を彩る塩鯖カレンダー サバだじゃれ入り」を作ったら、サバ業界で修造より売れると思うよ(たぶん)。そしてほんのり甘酸っぱく、さっぱりした風味が、おっしゃるとおり鳥取の銘酒・日置桜をエンドレスリフレイン状態に!

「塩鯖酒粕煮」は「鳥取では酒蔵が多いためか、粕汁は家庭でも定番です。そこからヒントを得て作りました」(岩本さん)という一品。酒粕、味噌で煮た塩鯖もとろけるようなコクがあって美味しいが、サバの旨みが出た酒粕がこれまたつまみになる旨さ! 我を忘れて皿までなめそうになりましたさ。

いやいや、塩鯖のポテンシャル恐るべし。ふだんは「白めしの友」の塩鯖が、ぎゅんぎゅん日本酒を進ませる料理に仕上がっていて、会場の日本酒の減り方は急ピッチ!

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サバガール歓喜「塩鯖とワインが合うなんて! 」

ミルクの優しい味わい、シナモンの風味がワインをよぶ「塩鯖のマンテカート」

一方の洋食は、見るからにワインをよびそうな「塩鯖のマンテカート」。
「本来、タラを使うイタリア料理『マンテカート』をアレンジしました。店でも人気のメニューです」と木下さん。塩鯖をミルクでくたくたになるまで煮て、ペーストに。そしてシナモンを利かせるのがペペローネ流。やさしいミルク風味の塩鯖の味わいとほのかなシナモンの風味がクセになる味わい。 サバヴィア~ン♪
 
「塩鯖のトマト煮トスカーナ風」は、素揚げした塩鯖をトマトソースで煮込み、さらに鳥取名物の「砂丘長いも」をプラス。塩鯖のみっしりした旨み、さわやかなトマトの風味、そしてナガイモのサクサクが絶妙な一品。鳥取マリアージュに感動!

「塩鯖のテリーヌ」は、塩鯖のアラでとったブイヨンに、塩鯖の身、日本唯一のきのこ専門研究所「日本きのこセンター菌蕈研究所」がある鳥取が誇る美味しいシイタケを入れた、これまた木下さんの鳥取愛に満ちたメニュー。塩鯖の「すべて」を詰め込んだテリーヌはとろける味わいだ。

会場からは「塩鯖がこんなに洋風料理に使えるなんて!」「ワインに合うなんて」との声があがる。とくに女子から大絶賛!

めくるめく塩鯖七変化。いやー、おふたりともさすが塩鯖市民。「塩鯖テクニシャン」である。

(左)塩鯖イタリアンの決定版!「塩鯖のトマト煮トスカーナ風」
(右)「塩鯖のテリーヌ」。塩鯖の旨みのきいた西洋にこごり風。ああ、またまたワインが飲める……

ここでふと「生のサバでもいいんじゃないの?」と思う人がいるかもしれない。しかし、そうではない。木下さんは塩鯖を料理に使うことに対してこう語ってくれた。

「塩鯖はすでに水気がとんでいる分、旨みが凝縮しているので、じつにいい味わいに仕上がります」

たしかにどの料理も「旨み」の濃さが違う。

そして、どの塩鯖でもいいわけではない。ふたりともキッパリこう語る。

「この味わいができるのは伝統の技術に裏付けられた、サバの旨みを絶妙に引き立てる『因幡の塩鯖』だからこそ」。“弁当の上”から多彩な料理に羽ばたけるのは、因幡の塩鯖だからこそ。

因幡の塩鯖のさらなる可能性を感じまくる一夜。会場も塩鯖概念が覆った参加者で盛り上がりを見せた。因幡の塩サバンザイ!!

植田さんも「サバらしい夜でした! サバサバとは真逆な熱い夜でうれしい」と、サバワードでその喜びを語る。鳥取といえば「梨」「らっきょう」「カニ」そして「塩鯖」となる日も近い!?

そして、なんと! 東京での好評を受けて、3月13日(金)、鳥取市でSHIOSABAR IN TOKYOのメニューも楽しめる「SHIOSABAR IN 鳥取」の開催が決定!! 塩鯖料理7品のフルコース(飲み放題付き3800円)が楽しめる。さらなる新たな塩鯖料理も登場予定。ぜひ「Shiosaber」として参加してくれたまえ! ジェンヌも行くよ!

因幡の塩鯖で、ぜひあなたの塩鯖人生に新たなるドラマを!


■もぐら屋
住所:鳥取県鳥取市南吉方1-50/電話番号:0857-29-8339/営業時間:11時半〜13時45分L.O.、17時半~22時L.O.
※通常の塩鯖メニューとしては、塩サバ味噌煮丼(890円)、塩サバ ガスパチョ仕立て(680円)を提供。

■ペペネーロ イタリア館
住所:鳥取県鳥取市弥生町308-2 /電話番号:0857-27-4736/営業時間:11時半~13時50分L.O.、18時~22時L.O.、日・祝~21時L.O./休み:第1第3第5日曜、第2第4月曜
※通常の塩鯖メニューとしては、「イタリアン塩サババーガー」(540円)、「塩サバのマンテカート」はコース料理の前菜として提供。

■「SHIOSABAR IN 鳥取 ~シオサバー inもぐら屋~」
【日時】3月13日(金)18時半~
【場所】もぐら屋
※3月10日(火)までに要予約
問い合わせ/予約:もぐら屋
電話番号:0857-29-8339
anabamoguraya@gmail.com

■SHIOSABARについての詳細
鳥取の新・ご当地グルメを創る会 電話番号:0857-28-1004


2015年3月5日公開

●池田陽子(いけだ ようこ)/
サバを楽しみ、サバカルチャーを発信し、サバで日本各地との交流をはかることを趣旨に活動し、イベント「鯖ナイト」を実施する「全さば連」(全日本さば連合会)広報担当「サバジェンヌ」。本業は薬膳アテンダント/食文化ジャーナリスト。本誌では「元気になる若返り薬膳」を連載。著書に『ゆる薬膳。』(日本文芸社)、『缶詰deゆる薬膳。』(宝島社)、『春夏秋冬ゆる薬膳。』(扶桑社)。


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