東京には散歩したくなる魅力的な商店街がたくさんあります。その中から「GW東京グルメ散歩」と題して、注目エリアをご案内します。第4回は、小田急線沿線の「豪徳寺」です。
画像ギャラリー“招き猫発祥の地”
豪徳寺といえば真っ先に思い浮かぶのは地名由来の由緒あるお寺「豪徳寺」。だが、この寺が“招き猫発祥の地”だと知っている人は案外少ないのでは? そんなわけで、駅を出ると右手をあげた招き猫が出迎えてくれる、何やら縁起のいい街・豪徳寺。
その駅前から南に、かつては豪徳寺への参道だったという豪徳寺商店街、北には山下商店街と南北に商店街が伸びている。この商店街が昔ながらでいい雰囲気。のみならず、近年、若いオーナーの新店が少しずつ増えてどうもいい感じらしいのだ。
というわけで、まずはふらりと商店街を行く。歩き回るのにちょうどいいサイズ感。で、古書店や銭湯、精肉店とどこか懐かしい風景の中にあるある、個性がきらりと光る、ちょっと立ち寄って食べたり、買って帰りたくなるようなショップが。 しっとりふわりと生地が軽く、やけに旨い今川焼、八百屋の中にあるサンドイッチスタンド、自家製のハムが揃うデリカテッセン、人気ネパール料理店の2階にオープンした本格スパイスショップ……。かなり楽しい!
『ketoku(ケトク)』 ビストロ的にして自由な居酒屋 ちょこちょこつまんで一杯!
ビストロ的なセンスを持ちながら和とか洋とかこだわらない、目にも口にも楽しいお皿の数々。ナチュラルワインや日本酒、レモンサワーと飲み物もご自由に。店主の松岡悠さんの言葉を借りれば“ちょっと一杯な感じの居酒屋”となる。何気なく工夫された、ちょっと長いメニュー名から何にしようか選ぶのもかなり楽しい。カウンターでタッフと話すもよし、奥のテーブル席もよし。その空気感ごと楽しみたい。
生ほたてとカリフラワーピュレ、金柑900円、芽キャベツの素揚げ、温泉たまご、パルメザンチーズ900円
店主・松岡悠さん「居酒屋が好きなんでなるべく日常的なちょこちょこつまめるものを!」
住所:東京都世田谷区宮坂2-26-4 豪徳寺コーポラス1階
TEL:03-6413-7569
営業時間:17時~24時
定休日:日・祝
交通:小田急線豪徳寺駅から徒歩2分
『きたの』 一品一品気合の入ったつまみに、今宵の一杯が俄然盛り上がる
知らないと少し入って行きにくいビルの2階奥。だけど長く続いちゃうのが店のよさを物語っている。店主の北野さん曰く「ふらっと来てその日の気分で何でもありな“ちょっといい居酒屋”」。薄味の蓮根のきんぴらにザーサイやクルミの食感も楽しい白和えとか、軟骨やモモ、セセリなどの粗挽きが混在した鶏塩つくねとか、何気に気合いの入ったつまみ。お造りから〆のご飯まであって使い勝手も抜群の1軒だ。
鶏塩つくねと生ピーマン850円、蓮根とアボカドの白和え720円
店主・北野将司さん「おひとり様用少量盛りにも対応しているのでお気軽に!」
住所:東京都世田谷区豪徳寺1-45-10 富士ビル203
TEL:03-6324-7843
営業時間:17時~23時LO(24時)
定休日:日
交通:小田急線豪徳寺駅から徒歩1分
撮影/鵜澤昭彦、取材/池田一郎
『焼とりダービー』 表面カリカリ、中はジューシー 長崎津島地どりがバリ旨い!
開店は2020年8月とまだ新しいが界隈ではすっかり人気だ。福岡で修業をした大将が焼くのは、長崎対馬地どりと赤鶏の佐賀みつせ鶏。気前よく大ぶりなカット、備長炭で焼かれた串は、いずれも勢いを感じる旨さ。表面がカリリとしてジューシーなムネ肉や自慢のつくねなどを頬張れば、誰しもニンマリするはず。おまけに本日のおばんざいの小皿も充実。八串コースが2980円とリーズナブル。行くしかない!
八串コース2980円
店主・福田侑樹さん「どの串も1本1本真剣に向き合って焼いています」
住所:東京都世田谷区豪徳寺1-44-8
TEL:03-6804-4214
営業時間:17時~24時、日14時~22時
定休日:無休
交通:小田急線豪徳寺駅から徒歩2分
『sunya(スンニャ)』 少量から買える上質スパイス、オリジナルのミックススパイスも
豪徳寺で人気のネパール料理店『OLD NEPAL』。その2階に昨年7月にオープンしたスパイスのセレクトショップだ。店内には南アジアのスパイスを中心に常時30種類以上、オリジナルのミックススパイスやチャイ、雑貨なども販売されている。各スパイスにはんな料理に合うか説明書きもあり、実際に香りを確かめることもできる。より質のいいスパイスを少量から買えるのはうれしかぎりだ。
ティムルコチョップ(50g)1080円
店主・本田遼さん「良質なスパイスは少量使うだけでも料理を美味しくしてくれます」
住所:東京都世田谷区豪徳寺1-42-11 2階
TEL:03-6413-6618(OLD NEPAL)
営業時間:金・土・日12時~18時
定休日:月~木
交通:小田急線豪徳寺駅から徒歩3分
『八百屋 旬世』 新しい八百屋のカタチ!? ボリューミーサンドに驚き
一見普通の八百屋さんかと思えば、ショップ・イン・ショップで、人気のョーケースには、果物たっぷりのフルーツサンドやボリューミー&野菜たっぷりなサンドイッチ、季節の果物満載のパンナコッタやスムージーまでテンション上がること間違いなし!
旬世サンドイッチ486円
住所:東京都世田谷区宮坂2-26-31
TEL:080-8910-2227
営業時間:11時~19時
定休日:無休
交通:小田急線豪徳寺駅から徒歩2分
※野菜は通販でも購入可 HP https://shunse.thebase.in
『Art Gallery&Cafe RARASAND(ララサンド)』 「匠の技×厳選素材」が美味しい“おやつ”の秘密だ
アートと食にこだわったこちらはギャラリーでもあるのだが、まずは匠の技によって作られてるという「おやつ」が美味しいのだ。しっとり、もっちりひと味違う今川焼きは冷めても旨いし、さくりパリリ食感が粒あんを包む招き猫のもなかにも唸る。ぜひ頬張ってみて。
食べる今川焼き(ハムマヨ)300円
住所:東京都世田谷区豪徳寺1-8-5
TEL:03-6881-0903
営業時間:10時~22時
定休日:不定休
交通:小田急線豪徳寺駅から徒歩3分
『冨永オリジナル デリカテッセン』 レパートリーは200種以上 本格の手作りシャルキュトリ
ショーケースに所狭しと並ぶのは、すべて手造りの本格的なハムやソーセージ。地元でも大人気のデリカテッセンだ。ドイツでも研修し、オリジナルに工夫を重ねたバイスヴルストやモルタデッラ、シンケンや手作りコンビーフ。迷っているだけでも楽しくなる。
バイスヴルスト390円、季節のソーセージ(486円)、モルタデラソーセージ(410円)など(価格は100g単位)
住所:東京都世田谷区豪徳寺1-50-18
TEL:03-3420-0973
営業時間:10時~19時(土は18時)
定休日:日・月
交通:小田急線豪徳寺駅から徒歩2分
赤提灯は裏切らない
豪徳寺を歩いてるってえと、ちょいちょい気になるのが赤提灯。ふらりと覗きたくなる風情充分。思い切って暖簾を潜ってみれば……期待を裏切らないあったかさが待っていた。
まずはビル奥、ちょっと入りづらい『大勇』だが、入ってみれば焼鳥、やきとん、鮮魚に一品料理がリーズナブルに充実。聞けば開業以来50年、今は2代目が頑張る。いい店だ。
ズズッと世田谷線・宮の坂駅寄りで出合ったのが『龍宮亭』。まず名前がいいわけだが、中身もいい。まずはコレで飲みなよ、と大将が出す最初のつまみ、これだけで何杯もいける。常連さんがフレンドリーですっかり馴染む。そして宮下駅前の『おやこや』。名前通りお母さんと娘さんのふたりでやってる間口の狭い店だが、なんともあったかい空気感。ネギ入りの卵焼きも旨いでえ。いやあ、実にいい街だ。
回遊するようにハシゴも楽しい規模感
ほかにもコーヒースタンドやベーカリー、焼き芋屋さんや焼き菓子屋、などなど。小さなお店が多いのでお見逃しなく。
さて、お次は夜の部に突入。ちょっと路地に入ったり、看板もなくビルの2階にあったり、意外な場所にいい店が潜んでる。
まずは世田谷線山下駅前の路地にて『焼とりダービー』。若い大将が焼く長崎対馬地どりは、パツリと勢いがあって確かに旨い。まだわりと新しいがすでに地元で人気ってのも納得!
駅前から世田谷線の踏切をこえた見落としがちな場所にあるのが『ketoku』。ビストロのようでいて和洋の垣根を超えた居酒屋。ナチュラルワインもレモンサワーも似合う。肩の力が抜けた感じがくつろげるなあ。
そしてビル奥2階のアジトみたいな『きたの』は、知らぬと損な“ちょっといい”居酒屋。一手間かかったつまみは、その日の気分でどれを選んでも旨し。
等身大のエリアゆえか、横のつながりもあるといい、いろんな店が共存している雰囲気もいい。回遊するようにハシゴも楽しいのだ。豪徳寺いいじゃん!
撮影/小澤晶(sunya)、鵜澤昭彦、取材/池田一郎
※2022年3月号発売時点の情報です。
※全国での新型コロナウイルスの感染拡大等により、営業時間やメニュー等に変更が生じる可能性があるため、訪問の際は、事前に各お店に最新情報をご確認くださいますようお願いいたします。また、各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いいたします。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
画像ギャラリー