『埼玉屋』@東十条
やきとん一串(170円)写真右からハツ、ネギマ、チレ(おまかせ9本)
取材日に供された中盤の3本は、スッキリした旨みのハツ、ジューシーな岩中豚のネギマ、エスカルゴバターとの相性が抜群のチレ(脾臓)
どれも悶絶級の旨さ焼きとんの最高峰ここにあり!
焼きとん好きなら、誰もが一度は訪れたいと願うのが、東十条の『埼玉屋』だ。着席して酒を注文し、「生野菜」が運ばれたら、串を食べる準備が整った合図。取材をした日の1本目は「アブラ」。牛肉を焼き上げ、タレをたっぷり。とろける旨さで、先制パンチのような衝撃が走る。お次は「シロ」。塩で味わうのだが、サクッとした食感で噛むごとに旨みがこみ上げる。そして「レバ」。こちらも塩だが、上質なフォアグラのような香りと甘みに驚かされること必至だ。
画像上:生野菜(420円)
画像下:写真右からアブラ、シロ、レバ
クレソンと大根に醤油ベースのドレッシングを合わせた生野菜は箸休めにもピッタリ。アブラは牛串の、シロ、レバは焼きとんの概念を覆す逸品
この後も絶妙な焼き加減の串がテンポよく供され、その美味しさに悶絶するばかり。おまかせの串は9本が基本で、一品料理も何が味わえるかは、その日の流れ次第。大将にまかせておけば、間違いなく最上の美味にありつける。そんなゆるぎない幸せを感じさせてくれるここは、やはり紛れもない名店なのだ。
写真手前からカシラ、タン、シャモ
肉の旨みが凝縮したカシラ、アッサリしていながら風味の強いタン、シャモにはピリ辛のトマトソースがかかり、これまた絶品だ
レバステーキ(650円)
オリーブオイルとバルサミコ酢のソースが美しい、フレンチのようなひと皿。フライドガーリックが味のアクセントだ
煮込みパン付(850円)
大きな肉の塊がゴロゴロ入る。驚くほど柔らかく煮込まれ、煮込みというよりビーフシチューと呼ぶのがふさわしい出来栄えだ
煮込みパン付(850円)
店自慢の煮込みに浸せば口の中にスープの旨みが広がる
ポルコ(400円)
豚の耳とキュウリの細切りを、バジルを利かせた特製オイルで和えた小鉢。レバーやハツをオイルに絡めても美味
生レモンハイ(490円)
搾った生レモンにシャーベット状の焼酎と炭酸を注ぎ、ジョッキのフチに塩を少々。氷なしだから、最後まで味が変わらずフレッシュな味わいが楽しめる
TEL:03-3911-5843
営業時間:16時~20時半、土16時~18時(土は16時入店時のお客で終了)
定休日:日・祝
交通:JR京浜東北線東十条駅南口から徒歩3分
『やきとん たつや』@沼袋
画像左上:右から、しろ(120円)、はらみ(120円)
画像下:右から、たん(120円)、たんした(120円)、あみれば(160円)
画像右上:たつやのシャリハイ(450円)
しろ、はらみは醤油ダレ。「シャリハイ」とは、シャリキン×ハイボール
香ばしく焼く串に絶品の味噌ダレはまさに最高!
野方の名店『秋元屋』出身の店主が沼袋に店を構えて10年。今やこの地を代表する人気店だ。まず注文したいのは「冷製の盛り合わせ」。鮮度抜群な上、低温調理でしっとりさせたレバーなど手間をかけ、この店のモツのレベルの高さが伺える。
焼きとんは単品も頼めるが、おまかせにするとその日の旨いところを見繕ってくれる。中でもレバーに網脂を巻き、ニンニクの利いた味噌ダレを絡めた「あみれば」は強烈な美味しさだ。
冷製の盛り合わせ(500円)
手前左から時計回りにレバー、タン、ガツ、コブクロ。内容は日替わり
〆は名物「もつカレー」。下煮をして1日置き、さらにじっくり煮込んだカレーはコク深くスパイシー。これをつまみに、また酒を飲みたくなる危険な味わい。何を食べても飲んでもドンピシャの旨さで、ご機嫌になれる店である。
もつカレー(パン付)(400円)
モツのほか、ニンジンや大根などが入る。おかわりパン100円
トロトロばら軟骨(450円)
その名の通り、トロトロに煮込まれたバラ軟骨は大ぶりで、食べ応え十分。塩ベースでコクのある煮込みに柚子胡椒が合う
TEL:03-5942-9986
営業時間:17時頃~23時(22時頃LO)、土・日・祝16時頃~23時(22時頃LO)
定休日:不定休
交通:西武新宿線沼袋駅南口から徒歩2分
『鏑屋(かぶらや)』@大山
奥から時計回りにしろ(300円)、ホルモン焼き(300円)、スタミナ焼き(300円)(各2本)
焼きとんは約10種類。その日の朝処理したばかりの群馬産豚を使う。テッポウの肉厚の部分を用いた「しろ」も必食
名酒場激戦区につき、 迷ったらまずはココへ行くべし
大山という街を歩くのはキケンだ。居酒屋、定食屋、もつ焼き屋……見るからに“旨安”オーラびんびんの赤提灯が手まねきしてくる。そんな激戦区の中でも『鏑屋』の実力はピカイチだと思う。
焼きとんの旨さも折り紙付きで、豚ハラミを秘伝のニンニクダレに漬け込んだ「スタミナ」、新鮮なテッポウ(直腸)をピリ辛味に仕上げた「ホルモン」、どちらも2本で300円という良心価格。煮込み、揚げ物、刺身といったザ・大衆酒場なラインナップも抜かりがない。
それでいて、日替わりメニューに目をやると、パクチーやラム肉を使ったエスニック料理(これまた超本格派!)もあったり。通い詰めたくなる誘惑、ココなら許されよう。
画像上:コーンのかき揚げ(460円)
画像下:刺身盛り合わせ(490円)
破格と言っても過言ではない「刺身盛り合わせ」。この日はカツオ、ブリ、生しらす、九十九里産のナガラミ貝など7種類。「コーンかき揚げ」はトウモロコシのみずみずしい甘みと、衣のサクサク感がたまらない。サワーとの相性も格別
煮込み(400円)(小辛+50円)
豚のテッポウと豆腐だけのシンプル・イズ・ベストな煮込み。味はホッとやさしい白味噌仕立て。コチュジャンで辛さがトッピングできる
TEL:03-5995-9941
営業時間:17時~23時、土・日・祝16時~23時
定休日:月
交通:東武東上線大山駅南口から徒歩3分
『もつやき 優貴』@経堂
写真手前から牛マルチョウ (320円)、コリコリ(230円)、はらみ(160円)、はつ(160円)、あみれば(230円)
豚モツは毎朝芝浦から仕入れる。食欲そそる甘辛ダレも旨いが、鮮度に自信があるので「おすすめは塩」とのこと。「マルチョウ」など牛ホルモンのメニューも揃う
目からウロコの感動を呼ぶもつ焼きパラダイス
品書きを眺めているだけで心躍る。とりあえず「ればテキ」をもらおうか。歯応えはプリっと小気味よく、濃厚な甘みが舌にまとわりつく。臭みやえぐみは皆無。月並みだが、「レバーが苦手」とおっしゃる方にぜひ食べてほしい。
ればテキ(550円)
たっぷりのせたニンニクとネギの薬味が、レバーの味わいを見事に引き立てる
そして串焼きも多彩。代表的なハツ、しろ、タンを筆頭に、シキン(食道)やぶれんず(脳)といった希少部位も並ぶ。むっちり、コリコリ、さっくり……いやっもう、楽しい! ひと口ごとに目からウロコが落ちる。なぜこんなに旨いの!?代表の五十嵐さんに言わせれば、「朝締めの新鮮なものを、真面目に丁寧に下処理する。これに尽きます」。この店はスタッフの気配りまで完璧なところが、またニクい。
つくピー(400円)
軟骨入りの豚つくねを、生のピーマンの上にのせて食べる斬新な逸品。パリッジュワッの食感がやみつきに
もつ煮込み(450円)
野菜入りの味噌モツ煮。シロとガツを中心に様々な部位が入る。1日寝かせてモツや野菜に味をしみ込ませる。チーズ入りも人気
塩もつ煮込み(480円)
具は牛のマルチョウのみと至ってシンプル。和ダシの香る塩スープと、ぷるぷるの脂が口の中でとろけ合う
TEL:03-3420-0429
営業時間:17時半~24時、土・日・祝17時~24時
定休日:無休
交通:小田急小田原線経堂駅南口から徒歩2分
『もつ焼 こん平』@西大島
画像上:手前からテッポウ、しろ、レバ(各1本160円)
画像左:ホッピーそと(280円)、ホッピーなか(220円)
画像下:手前からたん、かしら、こぶくろ、なんこつ(各1本160円)
噛み締めるほどにその旨さを堪能できる塩焼き。「テッポウ」や「しろ」などの脂の美味しさを引き出すコクのある甘めのタレも魅惑の味
焼きも刺しも輝くような美しさ路地に潜む名店
「鮮度抜群のものが近隣で入手できるから」とこの場所で店を開いて約30年。店主の金野さんが毎日目利きして仕入れているのは、千葉県産の朝締めのモツ。紀州備長炭で絶妙に焼き上げられた1本1本の凝縮された旨みに惚れ惚れする。
もつ刺小盛り合わせ(800円)
右から「コブクロ刺」、「シロ刺」、「ガツ刺」。口の中で弾けるような旨さと美しさにノックアウト。サッと振りかけられたゴマ油がより風味を増す
酒呑み心をくすぐる豊富な一品料理も魅力で、外せないのはその新鮮さがわかる刺身。単品もあるが、盛り合わせでのオーダーをぜひ。ぷりんとやさしい食感の「コブクロ」や、歯切れのいい「ガツ」などをニンニク醤油かショウガ醤油でいただけば、素材それぞれが持つピュアな味わいに箸が止まらなくなる。この味を知らずに、もつのなんたるかを語るべからず。それほどの旨さだ。
もつ煮込み豆腐(400円)
シロやガツ、テッポウなど、とろりと柔らかな食感になる白系のモツを赤味噌ベースで煮込んでいる。素朴な美味しさが魅力
TEL:03-3638-7219
営業時間:16時〜23時(22時半LO)
定休日:日、不定休
交通:都営新宿線西大島駅A2出口から徒歩4分
『もつ焼 のんき 堀切本店』@堀切菖蒲園
画像上:手前からハラミ(ポン酢)、はつもと(塩)(1皿4本440円)
画像中央:ハイボール(290円)
画像下:手前からしろ(タレ)、レバネギ(1皿4本440円)
ひと皿1種類4本での提供が基本だが、2種類で4本のオーダーも可。写真の調味料「辛みそ」など裏メニューが多数
鮮度抜群の焼きとんで今宵も乾杯。常連で賑わう人情酒場
高知県産の備長炭で手をかけて焼き上げる焼きとんが絶品。なかでも名物の「しろ」はとろけるようなふわふわの食感で、65年以上継ぎ足されたタレの旨さも相まって鮮烈な印象だ。美味しさの秘密は肉厚で脂のりのいい直腸の部分にこだわって丁寧な処理を行っていること。
もちろんその他のメニューも抜かりなしの味わいだ。堀切本店の風情ある佇まいと目を引くニの字型カウンターも魅力。常連さん同士の会話が弾む様子も楽しげで、地元密着型ならではの光景だ。3代目である店主の山㟢さんも実は元お客さん。2代目も元お客さんで、タスキが繋がれたこの店が、この地でどれほど愛されているかがわかるだろう。
画像上:タヌキ冷奴(450円)
画像下:がつ刺(440円)
「タヌキ冷奴」は堀切本店限定。近隣の『埼玉屋』の安曇野産大豆を使った豆腐と立石の蕎麦店の揚げ玉を使用。ぷりぷり食感の刺身はニンニク醤油かショウガ醤油、酢味噌で。写真はニンニク醤油と酢味噌をかけた「スペシャル」
もつ煮込み(550円)
初代から受け継がれた味で、10月から3月までの季節限定品。味噌ベースでシロとコンニャク、大きなジャガイモ入り。イモはほくほく
TEL:03-3601-4052
営業時間:17時〜23時(22時LO)、日・祝17時〜22時(21時LO)
定休日:水
交通:京成本線堀切菖蒲園駅から徒歩4分
『一力(いちりき)』@小岩
画像下:手前からしろ、かしら、たん、なんこつ(各1本110円)
チューハイ(レモン)(350円)
「小さいと見栄えも悪くて情けないでしょ」と店主が言うように、大ぶりで満足度が高い
町の風景に馴染む、漂う香りと約60年変わらぬ味
店頭で焼き上げている焼きとんの香りに誘われ、ふらりと入らずにはいられない。そしてその誘惑にのった自分を褒めてあげたくなるのがここ『一力』だ。この道50年の2代目店主・鈴木さんの見事な捌きなどの仕込み、炭での焼きの技により、開店直後は山積みされていた串があれよあれよとなくなっていく。
特長は朝挽きしたモツを仕入れ、店の冷蔵庫で一日寝かせて熟成させること。噛み締めるたびに溢れる旨みに満ちた1本に出合えるのだ。「ここが休みの日は困るんだよ」と笑う常連さんの指定席があるコの字型カウンターなど、風情のある店内で昭和にタイムスリップしたような感覚も満喫できる。
極上のレバー焼(400円)
サッと炙ったぷるっぷるの極上レバーは、写真のゴマ塩タレかニンニクタレで。鮮度の良さに納得の美味しさだ
煮込み豆腐(400円)
味噌ベースでとろとろになるまで煮込まれたモツ。豆腐にまでしっかりと味が染みていて、ついつい汁まで飲み干したくなる
TEL:03-3672-4129
営業時間:16時〜21時(20時LO)※売り切れ次第終了
定休日:月・火
交通:JR総武線小岩駅南口から徒歩4分
※店のデータは、2020年11月号発売時点の情報です。
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