撮り鉄の『車中食・車外食』

撮り鉄の「食」の思い出(9) 朝うどんは瀬戸大橋・快速マリンライナーのグリーン車に乗って/2010年撮影

中国地方を放浪しているときに、瀬戸大橋の本州側の町“児島”へ朝早くに訪れることがあります。目的は寝台特急“サンライズ”の撮影です。目的の列車を見送ったある日、瀬戸内海を見れば四国らしき姿(島か四国か区別がつきづらいので)が見えています。「あっ、四国だ」と思ったら無性にうどんが食べたくなりました……。

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朝うどんは瀬戸大橋・快速マリンライナーのグリーン車に乗って/2010年撮影

中国地方を放浪しているときに、瀬戸大橋の本州側の町“児島”へ朝早くに訪れることがあります。
目的は寝台特急“サンライズ”の撮影です。
撮影ポイントは瀬戸大橋と瀬戸内海が見える丘の上、特に秋から冬にかけては“サンライズ”が通過する朝7時前の太陽高度が低くて、真横から光が当たるので美しい写真を撮ることができます。

[朝の瀬戸大橋を走る“サンライズ瀬戸”現在定期で走る唯一の夜行寝台特急]

特急“サンライズ”は寝台列車。といっても、北斗星などで有名になった機関車が牽引するブルートレインではなく、寝台のついた電車特急です。
なんと、現在定期的に走っている夜行列車はこの列車のみになってしまいました。
東京から14両という長大編成で走り、岡山駅で切り離し、“サンライズ出雲”の7両が山陰の出雲市駅へと向かいます。
残りの7両が“サンライズ瀬戸”で、瀬戸大橋を渡り予讃線を通って高松駅へと走ります。
“サンライズ”というだけあって、夜明けの薄明かりのパープルカラーで、朝の瀬戸大橋でキラリと光る姿はグッときます。
最後の夜行列車、現在のところ廃止の話はありませんが、最後の砦としていつまでも残ってほしい鉄道風景です。

ふと見ると、そこは四国。であれば、もちろん「食」の寄り道を!

さて、目的の列車を見送ったある日、思いのほか冷え込んでいました。
瀬戸内海を見れば四国らしき姿(島か四国か区別がつきづらいので)が見えています。
「あっ、四国だ」と思ったら無性にうどんが食べたくなりました。
このまま香川までクルマで向かえば30分とかからないのですが、瀬戸大橋を渡る高速料金は片道3600円(児島~坂出北)。
さすがに庶民派代表のうどんに往復7000円オーバーはきついです。
そこで児島駅前にクルマをとめて列車で渡ることにしました。
片道520円、これならOKです。

[快速マリンライナー 1号車はパノラマのグリーン車と指定席の車両]

ここで以前から乗ってみたかった車両を選択。
快速マリンライナーの下り側1号車は2階建てで1階が指定席と2階がグリーン席の車両です。
実はもうひとつ席があって、運転手のすぐ後ろに4席だけの個室(グリーン席)があります。
席の番号は1A~1Dで運転席に邪魔されずに前方風景が楽しめる1C、1Dがラッキーにも空いていました(乗車するときには、駅で指定席を買うときに番号を言って買ってみてください)。
グリーン料金は770円、瀬戸大橋の風景を楽しんで十分満足できる料金です。
ちなみに、快速マリンライナーの通常の指定席(1号車1階)は、2階建ての下なので視点が低くて柵が邪魔になり風景が見づらいです。
景色を見たいときには避けたほうが良いですヨ。

快速マリンライナーの1号車1A~1Dは前方展望が楽しめる。
瀬戸大橋の様子を堪能できるのが、マリンライナーで先頭車両に乗る最大の魅力。

いよいよ「うどん県」に突入したものの……!?

そうしてたどり着いた、早朝の坂出駅でちょっと問題が発生!
駅前のうどん屋で食べようと思っていたのですが、見える範囲はすべて開店前でした。
やはり昼前から始める店が多いようです。
開いたばかりの駅の観光案内所で、朝5時から営業しているという店を聞き、徒歩約10分で到着です。
ダシの香りがする店内に入り、ぶっかけ温うどん中を選びます。

セルフでいろいろかけ放題で、380円!
うれしい価格です。
店内で打っている麺で、ノド越しもばっちり!
ダシもやさしい味で、来てよかったぁと思わせてくれます。

坂出駅から近く朝5時から営業しているうどん店。

秋の冷えた朝、寝台列車撮影後に向かった坂出でうどんを堪能し、
帰りの瀬戸大橋は、マリンライナーの普通車に。
車両横の窓から見る瀬戸内海は、真下の足元まで見えるようで、
行きの、先頭車両のフロントウインドー越しの景色とは、また違う良さがあります。
風景もうどんも楽しんで、身も心も温かくなる、秋の旅でした。

佐々倉実(ささくら みのる)
 鉄道をメインにスチール、ムービーを撮影する“鉄道カメラマン”。初めて鉄道写真を撮った小学生のころから約50年。鉄道カメラマンなのに、列車に乗ると走るシーンを撮影しにくいので、撮影の8割はクルマで移動。そんなワケで1年のかなりの期間をクルマで生活しています。ちなみに、鉄道の他に“ひつじ”の写真もライフワークで撮影中、ときどきおいしいひつじの話も出てきます。
 主な著作に「富士鉄」(講談社)「新幹線ぴあ」(ぴあMOOK)「鉄道ムービー入門」(玄光社)「ひつじがすき」(山と溪谷社)など多数、映像集に「感動の美景鉄道」(MAXAM)「日本の新幹線・特急」(シンフォレスト)など、担当番組に「素晴らしき日本・鉄道の旅」(BS-TBS)など

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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