「食」のクイズ

2月14日はバレンタイン・デー、その由来とは 「食」の三択コラム

3世紀、ローマ帝国・皇帝クラウディウス2世の時代 答えは(3)です。2月14日は、ローマ皇帝の迫害により、聖ウァレンティヌスが処刑された日だとされています。 バレンタイン・デーの原型は、古代ローマにおけるルペルカリア祭だ…

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「おとなの週末Web」では、食に関するさまざまな話題をお届けしています。「『食』の三択コラム」では、食に関する様々な疑問に視線を向け、読者の知的好奇心に応えます。今回のテーマは「バレンタイン・デー」です。

文:三井能力開発研究所・圓岡太治

キリスト教司祭の記念日

2月14日は言わずと知れたバレンタイン・デー。その由来としてもっとも有力なのは、ローマ時代におけるキリスト教の司祭ウァレンティヌス(英語読み:バレンタイン)にちなむ記念日だという説です。ウァレンティヌスは兵士たちのために結婚式を行ったと言われています。その説によると、バレンタイン・デーの起源は以下のうちどれでしょうか。

(1)ウァレンティヌスがキリスト教史上初めて教会で結婚式をとり行った日
(2)ウァレンティヌスの生誕日
(3)ウァレンティヌスが処刑された日

バレンタイン・デーに、チョコレートを贈る

3世紀、ローマ帝国・皇帝クラウディウス2世の時代

答えは(3)です。2月14日は、ローマ皇帝の迫害により、聖ウァレンティヌスが処刑された日だとされています。

バレンタイン・デーの原型は、古代ローマにおけるルペルカリア祭だとする説があります。ローマでは、2月14日は結婚の女神ユーノーの祝日でした。そして翌2月15日からは豊穣を祈願するルペルカリア祭が行われました。ルペルカリア祭では、未婚の男女がくじ引きでペアとなり、祭りの間パートナーとして一緒にいることと定められていました。それを機にそのまま結婚する男女も多かったそうです。しかし5世紀になり、若者の風紀を乱すとしてローマ教皇グラシウス1世によってルペルカリア祭は廃止され、代わりにバレンタイン・デーが創設されました。そこには以下のような言い伝えがありました。

3世紀、ローマ帝国の皇帝クラウディウス2世は、故郷に愛する人を残していると兵士の士気が下がるという理由で、兵士たちの婚姻を禁止していました。キリスト教の司祭だったウァレンティヌスは、兵士たちを不憫に思い、ひそかに多くの兵士たちの結婚式を行っていました。そのうわさを耳にした皇帝は怒り、二度とそのような行為をしないよう命じ、改宗を迫りましたが、ウァレンティヌスはその命令に従わなかったため、最終的に西暦269年2月14日に処刑されました。処刑の日は2月14日があえて選ばれ、ルペルカリア祭に捧げる生贄とされたそうです。その後、人々はウァレンティヌス司祭の勇敢な行動をたたえ、2月14日を聖バレンタインの日として祈りをささげるようになったといいます。

それから1000年以上経った14世紀、有名なイングランドの詩人ジェフリー・チョーサーの詩「百鳥の集い」に、バレンタイン・デーの記述が見られます。この頃にはバレンタイン・デーは恋人たちの日として、贈り物を交換する風習が見られたようです。

2月14日には、悲しい背景が…

ローマ帝国で初めてキリスト教を信仰した皇帝

ウァレンティヌス司祭を処刑した皇帝クラウディウス2世は、ガリエヌス帝を暗殺し、西暦268年に帝位につきました。ドナウ川地域に侵攻するゴート族を破り、多数のゴート人を傭兵やコロヌス(小作農民)とした功績で、ゴティクス(ゴート人征服者の意)の異名を得るなど、人々からの信望は厚かったようです。

ところがクラウディウス2世は陣中で疫病にかかり、270年1月に亡くなりました。したがって帝位についていたのはわずか2年に満たないことになります。ウァレンティヌス司祭の伝承が史実であれば、彼はこの短い期間に殉教したことになります。もしその間にウァレンティヌス司祭の行いがクラウディウス2世の耳に入らなかったら、あるいはその期間にウァレンティヌス司祭がもう少し行いを控えていとしたら、司祭は処刑されることも、また後世にバレンタインの日としてその名を残すこともなかったかもしれません。

ちなみに、4世紀にそれまで複数の皇帝によって分割統治されていたローマ帝国を再統一したことで有名なコンスタンティヌス1世は、クラウディウス2世の後裔(これは史実ではないとする見方もあります)を名のったといいます。ところがこのコンスタンティヌス1世は、ローマ帝国の皇帝として初めてキリスト教を信仰した人です。ウァレンティヌス司祭に改宗を迫って処刑したクラウディウス2世の子孫が、ローマ帝国で初めてキリスト教を信仰した皇帝だったとすれば、なんという歴史の皮肉でしょうか。

これらが史実だとしても、そうではない偶然の一致だとしても、このようにストーリーが絡み合ってくるところが、歴史の複雑さの織り成す不思議さを感じさせます。

人類の長い歴史の中では、さまざまな戦争、迫害、その他無数の悲劇が繰り返されてきました。今現在もいくつもの国を巻き込み戦争が進行中です。このような歴史に思いを馳せ、本命チョコだろうと、義理チョコだろうと、この平和な日本で生きていられることの幸せを噛みしめながら、バレンタイン・デーのチョコレートを味わいたいと思います。もちろん、誰かチョコをくれる人がいたらの話ですが。

いろんなストーリーが絡み合って…
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