2016年の土用丑の日、ひつまぶし激戦区にオープンしたのが『ひつまぶし う家 名駅店』。しかも、明治や大正から続く老舗ではなく、新規参入。それゆえに有名店との差別化が必要だった。そこで山本英稔社長が目を付けたのが、大サイズの鰻だった……。
土用の丑。通常より1.6倍の大サイズの鰻に驚愕! /名古屋エリア限定グルメ情報(3)
2017年の土用丑の日は、7月25日(火)と8月6日(日)の2日間。と、いうことで、またまた鰻ネタを。食傷気味かもしれないが、私としては名古屋の鰻の美味しさを伝えずにはいられないのだ。 ビジネスや観光で県外から大勢の人が訪れる名古屋駅界隈には、多くの有名鰻店が出店している。どの店も「ひつまぶし」を求める客が行列を作っている。週末ともなれば、1時間以上待つこともざらだ。 2016年の土用丑の日(7月30日)、そんなひつまぶし激戦区にオープンしたのが『ひつまぶし う家 名駅店』。しかも、明治や大正から続く老舗ではなく、新規参入。それゆえに有名店との差別化が必要だった。そこで山本英稔社長が目を付けたのが、大サイズの鰻だった。
看板メニューは、大サイズの鰻2/3尾を使った「大ひつまぶし」(3410円)。初めてこれを見たとき、鰻のあまりの大きさに驚愕した。ここまで肉厚の鰻は焼くとかたくなるのでは?とも思った。 が、実際に食べてみて、それは杞憂に終わった。身はしっかりと脂がのっていて、フワフワの食感。皮のパリパリ感とのコントラストがすばらしい。鰻のポテンシャルをさらに高めているのがタレ。甘すぎず、辛すぎず、バランスが秀逸。研究を重ねたことが伝わってくる。鰻について一家言ある方もきっと満足するだろう。 『う家』にとって、今年の土用丑の日は、老舗や有名店が建ち並ぶなか、新規参入して1年間やってきた結果が出る日でもある。そこで山本社長は、次の一手を打った。新メニューを投入したのだ。
それが1日限定5食の「金シャチうな丼」(4500円)。大サイズの鰻を一尾分、それも蒲焼きと白焼きが2切れずつ、どーんとのっている。丼のてっぺんには肝焼きが鎮座し、丼全体に豪華絢爛な金粉がふりかけられている。うん、実に名古屋らしい(笑)。 ちなみにご飯は700gもあり、通常のうな丼のように丼を片手にご飯を掻き込むのは不可能(笑)。取り皿が付いてくるので、鰻やご飯を取り分けて食べるのが賢明だ。吸い物と香の物のほか、味が単調にならないように、薬味のワサビとショウガ、ネギも付く。これも嬉しい配慮だ。 鰻屋に限らず、老舗には味と伝統を守り続けるという努力が必要だ。が、世の中にはそれを怠り、看板だけで商売している店がいかに多いことか。伝統や格式に縛られず、愚直に味を追求する店が私は好きだ。
永谷正樹(ながや・まさき) 1969年生まれのアラフィフライター兼カメラマン。名古屋めしをこよなく愛し、『おとなの週末』をはじめとする全国誌に発信。名古屋めしの専門家としてテレビ出演や講演会もこなす。
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