皆さん、『へべす』を知っていますか? この珍妙で愛らしい響き……。ちなみに漢字で書くと『平兵衛酢』です。その正体は、香酸柑橘という果実。レモン、ゆず、かぼす、すだちの仲間なんですよ。これが2~3年前から吉祥寺&三鷹で局地的ブームなんだよね……。
画像ギャラリー吉祥寺で局地的な超ブーム!? 『へべす』を知らずして夏は来ないよ、の件
皆さん、『へべす』を知っていますか?
この珍妙で愛らしい響き……。
ちなみに漢字で書くと『平兵衛酢』です。
その正体は、香酸柑橘という果実。
レモン、ゆず、かぼす、すだちの仲間なんですよ。
これが2~3年前から吉祥寺&三鷹で局地的ブームなんだよね。
おっさん女子と『へべす』の出会いは吉祥寺ではなく、実は三鷹であった……。
2017年の夏の終わり、三鷹方面を散歩していたら、とあるバーの入り口に貼られた『へべすサワー』の文字。
しかも、ていねいに『平兵衛酢』という表記も。
なんですか? これは? と思った私は、そのバーにすかさずイン。
飲んでみました、へべすサワー。
ちなみに、へべすジンリッキーもありました。
さっぱりしてて、ウマいじゃん!
イラスト/スタジヲワンツー
この『へべす』ですが、なんでも宮崎県で栽培されている果物で、緑色。
『すだち』よりは玉が大きく、『かぼす』よりは小さい。
そんな奥ゆかしいルックスです。
2017年は、夏の終わりに出会ってしまったので、満喫できなかった『へべす』。
でも今年の夏は『へべすサワー』をたくさん飲むぜ! と思い、『へべす』の秘密を解明すべく、取材を申し込んでみましたよ。
吉祥寺で局地的ブレイク中! へべす農家の黒木さんに突撃取材!
宮崎県日向市で『へべす』を生産している黒木洋人さん(黒木園芸代表/農業生産法人日向百生会 代表取締役/morimichi オーナー)です。
ーー東京ではまったく未知の果実ですが、宮崎ではポピュラーなんでしょうか?
「宮崎県日向市でしか栽培されていないので、県内でも知らない人がたまにいます。年間の生産量は約150トン。
かぼすとすだちが、それぞれ約6000トンなので、あまり世の中には出回らない貴重な香酸柑橘です。
焼酎に絞る、焼き物にかける、醤油にプラスする、という香りと酸味を楽しむという使い方が一般的です」
ふむふむ。
ーーで、何で吉祥寺と三鷹で広まったのでしょうか?
「日向市の出身で、東京でカメラマンをやってる松木さんという方が、帰省のお土産として、吉祥寺で飲食店を経営している松江さんにおすそ分けをしたのが始まりです。
松江さんが、へべすを気にってくださって、松木さんのご実家づてに、僕にへべす の注文が入り、さらに松江さんのお人柄と人脈、パワーでハモニカ横丁を中心にへべすが広まったんです。
それでへべすサワーなどを出す店が増えて、現在は吉祥寺と三鷹で約50店舗に広まっています」
なるほど~。
それで私も『へべすサワー』の貼り紙を見た、飲んだ……、そしてファンになった、というコトですね!
これがへべすだ!
かぼすとすだちのちょうど中間くらいの大きさ。
種が少ないので料理に使う時のストレスが少ないし、果実がたっぷり絞れるよ!
へべすは、ハウス物が6月から出回って、8月中旬~10月中旬ごろが路地物の旬だそう。
ちなみに路地物は香りが強く、果汁がたっぷり!
この時期が『へべすサワー』の飲みごろだ!
さらに11月~11月中旬には、完熟した黄色いものもあり、こちらは酸味がマイルドになるそうで、薄くスライスして鍋に入れちゃって『へべす鍋』も楽しめるそうです。
出荷されるへべす。
もうネーミングが愛おしいですね。へべす。
さらにジャム、100%果汁、サイダー、リキュール、ドレッシングなども加工品もあるようです。
お店で体験するのもいいですが、家での楽しみ方ってありますか?
と黒木さんに尋ねると
「へべすミルクがおすすめです。
へべす1個、甘味シロップ30ml、牛乳150mlを用意していただきます。
へべすは果汁をしぼります。
そして、①へべす果汁 ②シロップ ③牛乳の順番に混ぜます。
そうすると牛乳が乳化して、とろみのついたヨーグルト風のドリンクになります。
お子様におすすめですよ。
夏にぴったり。
牛乳を炭酸水に変えるとへべすスカッシュとして楽しめます。
お酒を召し上がらない方におすすめのレシピです」
なんだか夏バテに効きそうだわ、このレシピ!
そして今年の夏も吉祥寺&三鷹でへべすサワーが楽しめるよ!
いつも混んでいる吉祥寺の人気店『藁ウ鴨ニハ福来ル』などで取り扱っているので、興味を持った人は、お店にGO!
最近、都内各所の居酒屋ではレモンサワーが人気を集めているようだが、吉祥寺ではへべすサワーだ!
取材協力/黒木洋人さん(黒木園芸 代表/農業生産法人日向百生会 代表取締役/morimichi オーナー)
農家の10代目長男として生まれ、幼いころから、ことあるごとに農作業に駆り出されたため、絶対農家にはならないと決めて宮崎を飛び出す。
しかし、20歳のとき、あっさりと農業の専門学校に通うことに……。
そこから農業の魅力にとりつかれ今に至る。
日々学んでいくなかで、農業は食べ物を自ら作り出すことができる産業であり、人間にとって必要不可欠な食べ物を作るという仕事に誇りを感じている。
最新のへべす情報は以下のアドレスから!
Instagram:morimichi https://www.instagram.com/morimichi_/
Blog: greens.totto http://superyasaijin.com
天野七月/あまのななつき
ライター&ときどきエディター。吉祥寺在住、ざっくり30年くらい。基本おっさん女子、たま~に乙女マインド。いつも吉祥寺をふらふらしています。ちなみに無芸大食。
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