まさに“ハリネズミ”の人付き合い そうした袋小路に自分で自分を追い詰めた結果、この間、まだあまり仲良くない後輩と一緒の空間にいた時に、何か話をしなければと思い、咄嗟に、「彼女いるんだって?!見せてみろ!お前のこと好きなん…
画像ギャラリーお笑いコンビ「ティモンディ」前田裕太さんの、「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げた連載コラム。30代に突入した前田さんが「大人」を目指して過ごす日々を、食・趣味・仕事など様々な視点で綴ってくださいます。連載は、第1・3木曜日に更新です。「(理想の)大人ってなんだろう?」を一緒に考えながら、前田さんの成長を見守りましょう!
今回は、「人付き合い」編の第5回。後輩との接し方に悩んだ結果、かなり迷走してしまった前田さん。皆さんは、先輩と後輩、どちらと付き合う方が得意ですか?
後輩との正しい接し方がわかりません
後輩付き合いが難しい。
気を遣うことが苦ではないし、先輩であれば、こちらが気を遣えば、それで上手くいく場合が多い。
気楽だ。
向こうに合わせながら、自分も楽しめば、両者楽しくいられるので、(おそらく、きちんとした気を遣えていないのだろうけれど)先輩と遊んでいる時は、純粋に楽しい。
ただ、後輩となると、話は変わってくる。
本当に楽しんでくれているのだろうか、心配になってしまうのだ。
あははと笑っていても、その笑顔は本当か?
この場を楽しそうにした方がいい、という配慮の笑顔であって、心の中では、あまり楽しくない、と思っているのではないか?
本心では無理して楽しそうにしているだけなのではないか?
と勘繰ってしまう。
もしもそうなのであれば、周囲はそこまで楽しんでいる訳でもないのに、自分だけ楽しいなんて環境、耐えられない。
その点、楽しくなければ、楽しくないっすね、とか口にしてくれる後輩であれば、こっちも気兼ねなく接することができるのだけれど、まあそんな後輩は少ない。
失礼だしね。
ただ、そんな失礼な奴の方が、私の場合は楽しくいられるのだ。
だから、一緒に遊ぶ後輩は、周囲からあまり好まれていない子が比較的多い。
まあ普通は失礼な子って遠ざけたかったりするもんね。
私の場合はそれが心地良かったりするのだ。
内心は見えないからこそ、相手が気を遣うかもしれない環境が苦手と感じてしまう。
どうしたらいいのだろうか。
後輩に対して、普通に優しく接するだけだと、それはそれで向こうも対応に困るのではないかと思う。
なんか全然話しかけてくれなかった、と思われても悲しいし、かといって、普通の会話をして、なんだか盛り上がりもしなかったし面白くない先輩だ、とも思われたくない。
これは難問だ。
まさに“ハリネズミ”の人付き合い
そうした袋小路に自分で自分を追い詰めた結果、この間、まだあまり仲良くない後輩と一緒の空間にいた時に、何か話をしなければと思い、咄嗟に、「彼女いるんだって?!見せてみろ!お前のこと好きなんて、どうせ物好きな変人なんだろう!」と鬼ハラスメントムーブを発揮してしまうということがあった。
我ながら、最悪なファーストタッチだった。
「あなた頭おかしいんですか」とツッコんで笑ってくれたので、よかった…ボケとして捉えてくれた…とホッとしたけれど、普通に嫌われても仕方ないことを言ってしまった。
仲良くなりたいのに、近づこうとすると相手に棘を向けてしまう。
一般的には、ハリネズミのジレンマとは相手を傷つけたり傷つけられることを恐れて近づけない、という意味で使われるけれど、本物のハリネズミ達は、きっとこの私の気持ちの方が、ハリネズミのジレンマだと同調してくれるに違いない。
傷つけたい訳ではないのだ。
何より、本心ではそんな思ってもいないことなのに、なんだか話の口実にそんなことを無理に口にしなければならないのは正直、疲れる。
本当は、別に後輩に彼女がいたって嫉妬もしないし、顔も知らない女性のことを悪く言うのも気がひけるというのに。
読者諸兄姉は、そんなこと言わなければいいのに、と思うだろう。
そんなことは分かっている。
もっと他にもふざけたことを言える余地はたくさんあるのかもしれないけれど、何か、ワイワイ騒げるようなこと言わないと!と思い、咄嗟に口に出てしまったのだ。
普通の会話を普通にしてみたこともあるけれど、その会話の最中に、あれ、こいつ普通のことしか言わねぇな、とか思われてるんじゃないか、と不安になる。
病気なのだろう。
先輩である自分が、楽しそうにしていなければ、後輩も気を遣ってしまう可能性がある、と思い、無理にはしゃいでしまったりもする。
良かれと思って、反射的にしてしまうのだ。
先輩と一緒にいれば、無理をしてそんなことを言ったりしたりしないのだけれど、同じように、後輩の子達とも、あまり変な気を遣わずに接していければいいなあ、と思う。
前田裕太(まえだ ゆうた)
1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。愛媛県の名門、済美高校野球部の同期である高岸宏行とのお笑いコンビ「ティモンディ」のツッコミ担当。趣味はサッカー観戦、読書。テレビ番組で画力を披露したり、複数メディアでコラムを執筆するなど、マルチな活動で注目を浴びている。
ティモンディ
高岸宏行・前田裕太によるお笑いコンビ。コンビ結成は2015年、グレープカンパニー所属。高岸のポジティブなキャラクターや、二人の野球経験と身体能力などがバラエティ番組で引っ張りだこに。コンビの野球経験をいかしたYouTubeチャンネル『ティモンディチャンネル』の登録者数は約25万人。