答えは… 「ぽんべつ」と読む三笠市(みかさし)の地名です。 札幌から高速で旭川方面に約1時間走ると、三笠市に入ります。その三笠市の中にある地名の一つが「奔別」です。 一億年の旅ができる三笠ジオパーク 地理が好きな私は、個…
画像ギャラリー民間調査会社による47都道府県魅力度ランキングで13年連続1位に輝く「北海道」。
観光地として圧倒的な人気を誇り、豊富な海の幸や新鮮な牛乳やチーズなどの酪農製品、札幌ラーメンなどのご当地グルメ、雄大な自然、スキーなどのアウトドア…とにかく”非日常的“な魅力がいっぱいです。
そんな北海道には、漢字の一般的な読み方から想像するのが難しい地名がいくつもあります。
九州の2倍強という広い大地ゆえ、馴染みのないエリアだと道産子でも読めないものも少なくありません。「おとなの週末Web」では北海道の難読地名を取り上げながらその周辺の観光スポットやグルメも紹介していきます。読み方を学びながら束の間の旅気分を味わってみませんか?
今回は道央エリアの「奔別」です。何と読むでしょう?
答えは…
「ぽんべつ」と読む三笠市(みかさし)の地名です。
札幌から高速で旭川方面に約1時間走ると、三笠市に入ります。その三笠市の中にある地名の一つが「奔別」です。
一億年の旅ができる三笠ジオパーク
地理が好きな私は、個人的に三笠市が好きでよく訪れます。なぜかというと、日本ジオパークに選ばれていて、アンモナイトが海を泳いでいた一億年前から、炭鉱のまちとして栄えた現在まで、一億年時間旅行を気軽に楽しむことができる場所だからです!
約4年前に、主宰する地理の普及を目指す「地理女net」という団体で、旅行会社さんと提携し、三笠市の協力を得て「三笠ジオパーク&ワイナリー」のバスツアーを行いました。
三笠市では、明治元年に三笠の幌内地区で良質の石炭が発見され、明治12年に官営の幌内炭鉱が開鉱しました。市内には炭鉱施設の遺構が残り、日本の近代化を支えた石炭産業のまちの面影を感じることができます。中でも、バスツアーで特別に入れていただいた「旧奔別炭鉱跡」は圧巻でした(私有地のため、通常は立ち入り禁止です)。昭和35年に建築された立坑櫓(たてこうやぐら)で、高さ51mもあり、当時東洋一と呼ばれた立坑です。
ジオを体感できる野外博物館
ぜひおすすめしたいのが、博物館です。三笠市立博物館は、国指定文化財の「エゾミカサリュウ」の化石をはじめ、1000点ものアンモナイトなどの化石が展示されおり、日本一の化石博物館として知られています。
野外博物館エリアは、全長1.2km、歩いて往復約1時間のコース。コースには、大正時代に完成し、現存する立坑櫓では道内で最も古い「旧幾春別炭鉱錦(きゅういくしゅんべつたんこうにしき)立坑櫓」や、約1億年前と5000万年前にそれぞれできた地層が隣り合い、一歩で時空を超えられる「ひとまたぎ5000万年」などの見どころがあります。はるか昔に地面が押し上げられてできた垂直の珍しい地層に思わず見入ってしまいました。
山の斜面を利用したワイナリー
近年、北海道のワインが注目されています。道内には現在50か所あまりのワイナリーがあり、中でも栽培が難しいとされてきたピノ・ノワールの栽培面積が最も拡大し、三笠地域の人気が高まっています。
ピノ・ノワールの栽培に適した気温が、温暖化の影響で三笠市が適温域に入ったことが大きいといいます。また、地形の影響も大きく、ワイナリーのある達布山(たっぷやま)の斜面は、石狩平野から吹く風がブドウ栽培によい影響を与えているそうです。(出典:「北海道の教科書 大人のための地元再発見」JTBパブリッシング)
バスツアーでは「TAKIZAWA WINERY」を訪れ、ブドウ畑の見学をさせていただきました。TAKIZAWA WINERYは2004年に開墾したワイナリーで、ピノ・ノワールやソーヴィニヨン・ブランなどの木が育っています。
参加者の皆さんはバスツアーということもあり、たくさん試飲をしていました。ワイン好きの私はガイドサポートを務めていたにも関わらず、しっかりと皆さんに交じってワイン2本購入しました(笑)
三笠市では、5月~10月のジオツアーほか、1月~2月には冬期ジオツアーも開催しています。ぜひ大昔の大地の歴史の体感や、そこから育まれた大地の恵みを味わってくださいね。
文・写真/森順子
森 順子
元テレビ北海道アナウンサー。現在は教育サービスの会社を運営しながら地理の楽しさを普及する活動も行っている。地理女net代表/札幌国際大学短期大学部講師/札幌観光大使
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