ティモンディ前田裕太の“おとな”入門

【ティモンディ前田裕太の“おとな”入門】第22回 「勉強」編(3)ティモンディのスーツの色が「青」と「オレンジ」になった深い理由

ティモンディ前田裕太

「補色」関係にある“心の色”を持った相手はいるか こうして今の我々の衣装の色が決まったのだけれど、この色彩学は学びを深めていくとまた面白い。 色が人に与える影響って大きいのだ。 このコラムも、もし全部の色を赤色にした場合…

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お笑いコンビ「ティモンディ」前田裕太さんの、「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げた連載コラム。30代に突入した前田さんが「大人」を目指して過ごす日々を、食・趣味・仕事など様々な視点で綴ってくださいます。連載は、第1・3木曜日に更新です。「(理想の)大人ってなんだろう?」を一緒に考えながら、前田さんの成長を見守りましょう!
ティモンディのスーツの色は、なぜいつも「青」と「オレンジ」なのか。「勉強」編の第3回では、その深~い理由が明かされます。「色彩」に対する前田さんの興味深い考察です。

衣装の色合いを決めるため、「色彩学」を勉強

私はメディアの仕事に出る時は基本的に青色のスーツを着ている。

いつもスーツを着る時は青色を選んでいるのだけれど、
別に青色が好きな訳ではない。

では何故青色を着ているのかというと、単に仕事のため。
隣にいる大男が全身オレンジ色をしているからだ。

お笑い芸人は、まず舞台しか自分達の活動の場が無い。
東京・中野のキャパ7人という家のリビング程度の広さでライブをやったり、
我々の場合は池袋の路上で漫才をしたこともある。
そんな若手時代から(現時点で芸歴8年目なので芸能界ではまだまだ若手なのだけれど)
ついて回るのは衣装の問題なのだ。

先輩の見様見真似(みようみまね)で、とりあえず買える安いスーツを着てみたり、
長年色々と試行錯誤はしてきたのだけれど、
結局、正解のないものを模索してもキリがないので、
衣装の色合いを決めるためにも色彩学を勉強することにした。

色彩学は面白かった。

高岸の方は見る人が元気になるような色にしようと話になり、調べたら、
どうやら色彩心理では、赤、黄色、オレンジがそれに該当することが分かった。
太陽や火、朝焼けや物から反射する光など、明るい印象から、
目にした人が明るくなるように感じる色だそうだ。

いや、人によるだろ、と私のような性根ひん曲がった輩は思うかもしれないけれど、
不特定多数に見られる職業なので、統計的に比較的多くの人が感じる効果を優先するのは仕方ない。
オレンジ色で胸糞悪くなる人は、もう仕方ないと割り切って我慢してもらいたい。

他にも、赤はカズレーザーさんいるし、黄色はダンディさんいるし、と私なりに被らないように考慮して、
色彩学的に思考しながら、安い服を試着したり買って舞台に立ってみたり試行錯誤があった末、
ご存じの通り高岸はオレンジ色の衣装を着ることになった。

私の衣装は、それに応じて、オレンジ色をより活かすような色があればそうしよう、と思ったのだけれど、
それが調べたら青色だったのだ。

今の衣装の理由は、それだけだ。

混ぜた時に無彩色となる2つの色のことを補色というのだけれど、その補色同士を並べると鮮やかさが強調される効果がある。オレンジの補色が青色だったのだ。

「補色」関係にある“心の色”を持った相手はいるか

こうして今の我々の衣装の色が決まったのだけれど、この色彩学は学びを深めていくとまた面白い。

色が人に与える影響って大きいのだ。

このコラムも、もし全部の色を赤色にした場合、
黒色よりも同じ文章だったとしても攻撃的に感じるし、
黒髪の人よりも、紫色の髪をした人の方が警戒はするらしい。
もう、大体の人間は、そう脳が処理するように作られているのだ。
髪の話で言えば、色というより、単に髪を紫にしたと選択をした人間性に警戒をする気もするけれど。

要は、人は目から入る情報に頼っていて、
色はその視覚的情報の内訳で大きな割合を占めているのだ。

女性化粧品で「もうほぼ同じような色だろ」と思わず口にしてしまうようなリップやら口紅やら、
私には何に使うか分からない色のついた粉たちも、
相手に与える印象が少しでも変わるのだから、
よりベストなチョイスをするためにあれだけ選択肢があるのだと納得もいく。

この色彩学における補色というのは、日常の様々なところで利用されていて、
広告でも、インパクトのあるものを作ろうとする際には、
この補色を意識して配色され、目立つように作られているし、
デザイナーの衣服のコーディネートでも参考になったりするようだ。

世の中にあるものを今後は色の観点から見てみるのも面白いだろう。

加えていうと、日本の固有の名前のついている色は約2100種類もあるというけれど、
海外問わず人間の認識できる色は、750万種類にものぼるらしい。

そんなにたくさんの色があるのに、
それぞれの色に補色と呼ばれる、相手を(場合によっては双方を)引き立てる色が存在するのだ。

なんだかロマンチックではないか。

750万も種類があるのに、どの色にも、引き立て合う色が1色は存在するのだ。

沈殿物で澱んだ私の心の色にも、補色関係にある心の色を持った相手がきっといるに違いない。

不思議と、そう思えてくる。

私が薄汚れているから、せめて補色の人には綺麗な心でいてもらいたいものだけれど、
読者諸兄姉にも、自分の補色を探すつもりで意中の相手を見てみるといい。

まあまずは自分の色を自分で把握するところから始めないといけないのだけれど。

前田裕太(まえだ ゆうた)
1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。愛媛県の名門、済美高校野球部の同期である高岸宏行とのお笑いコンビ「ティモンディ」のツッコミ担当。趣味はサッカー観戦、読書。テレビ番組で画力を披露したり、複数メディアでコラムを執筆するなど、マルチな活動で注目を浴びている。

ティモンディ
高岸宏行・前田裕太によるお笑いコンビ。コンビ結成は2015年、グレープカンパニー所属。高岸のポジティブなキャラクターや、二人の野球経験と身体能力などがバラエティ番組で引っ張りだこに。コンビの野球経験をいかしたYouTubeチャンネル『ティモンディチャンネル』の登録者数は約28万人。

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