団体旅行ブームで敦賀のラーメンが繁栄 敦賀のラーメンのルーツは昭和20年代後半に京都方面から来た屋台が国鉄敦賀駅前で営業したことが始まりとされています。その後、屋台が次々に開業し、約10軒の屋台が駅前につどい、駅に降り立…
画像ギャラリー新横浜ラーメン博物館(横浜市)は、30周年を迎える2024年へ向けた取り組みとして、過去に出店した約40店舗が2年間かけて3週間のリレー形式で出店するプロジェクト「あの銘店をもう一度」を2022年7月1日から始めています。このプロジェクトにあわせ、店舗を紹介する記事の連載も同時に進行中。新横浜ラーメン博物館の協力を得て、「おとなの週末Web」でも掲載します。
第4弾は、福井・敦賀「中華そば一力」です。
地元では知らない人がいないほどの人気
第4弾は、地元では知らない人がいないほどの超有名店で、「ミシュランガイド北陸2021特別版」にも選出された「中華そば一力」さんです!
店舗名:福井・敦賀「中華そば一力」
住所:福井県敦賀市中央町1-13-21
電話:0770-22-5368
営業時間:11時~19時
定休日:火曜日(月曜日は隔週休み)
創業:昭和33年
創業者:故・菅井幸二、二代目:菅井宏治
・過去のラー博出店期間
2008年5月18日~2009年2月28日
岩岡洋志・新横浜ラーメン博物館館長のコメント
「『ふるさとラーメン』というシリーズのトップバッターでご出店いただきました。一力さんは屋台からスタートし、地元敦賀では知らない人がいないほど地域に根差しており、繁盛もしておりました。まさに『ふるさとラーメン』という言葉がぴったりです」
天然の良港を抱える敦賀
福井県の中央に位置し、北に敦賀湾口を開いて日本海に面し、他の三方は山岳が連なり、敦賀湾と平野部を囲んでいます。
東西約14km、南北約26km、面積は251.41平方km(令和元年7月1日現在)で若狭湾に大きく張り出た敦賀半島と54kmに及ぶ海岸線が、敦賀湾を日本海の風や波浪から防ぎ、天然の良港を形成しています。
日本三大松原の一つに数えられる気比の松原は、敦賀湾の最奥部に位置し、海とのすばらしい景観を織り成しています。
(※敦賀市HPから引用)
中華そば一力の歴史 昭和33年、屋台からの創業
中華そば一力の創業は昭和33年。製粉会社に勤めていた創業者の菅井幸二さんが当時2万円で売り出していた屋台を購入し、脱サラしたことに始まります。創業当時、敦賀のお客さんが中華そば自体を知らなかったこともあり、1杯40円の中華そばを売るのに大変苦労しました。
そこで菅井さんは福井県内にある高浜海水浴場まで移動し、中華そばを売り始めたのです。場所を固定しない流しの屋台で色々な場所を転々としたことで、徐々に評判となり、開業から5年もすると「中華そば一力」は行列ができる屋台となったのでした。
その後、国鉄敦賀駅前に屋台を固定すると瞬く間に人気店となり、屋台が到着する前から行列ができるほどになりました。当時を知る人によると「寒さの厳しい北陸で雪が降る中、焚火にあたり暖を取りながら1時間待ってでも食べたかった」というくらい美味しかったそうです。
開業から20年後の昭和52年、ついに敦賀市役所の並びに店舗を構えることとなりました。
この時、長年使用していた屋台を店舗前に飾り、厨房も屋台に限りなく近づけるように設計し、屋台を辞めるときに出ていた多くの惜しむ声にこたえていました。その後、フレンチ出身の二代目・菅井宏治さんが継ぎ、創業者亡き後、研究を重ねさらに進化を遂げております。
中華そば一力は地元で知らない人はいないほど知られている銘店であり、このラーメンを食べに県外からも多くのお客さんが訪れています。
団体旅行ブームで敦賀のラーメンが繁栄
敦賀のラーメンのルーツは昭和20年代後半に京都方面から来た屋台が国鉄敦賀駅前で営業したことが始まりとされています。その後、屋台が次々に開業し、約10軒の屋台が駅前につどい、駅に降り立つ乗客や国鉄職員のお腹を満たしていました。
昭和40年代になり、団体旅行ブームが敦賀ラーメンを大きく繁栄させることになります。高速道路やドライブインのない時代、富山方面からの観光バスはトイレ休憩のために敦賀駅に立ち寄ったのです。その乗客乗員の多くはチャルメラの音と中華そばの香りに誘われて屋台を訪れました。多い日にはなんと50台のもバスが深夜の敦賀駅にやってきたのでした。
その後、トラック輸送全盛時代が訪れ、屋台は国道八号線沿い(北陸と関西・中部を結ぶ大動脈)に移ることとなりました。そうするとトラック運転手、海水浴客、スキー客が殺到して人気に火が付き、さらに屋台が増えて「ラーメン街道」と呼ばれ大賑わいとなりました。しかし、その後、深夜営業店の台頭や高齢化による廃業などから、現在では数える程度となりました。
「中華そば一力」のラーメンの特徴
スープは豚骨・鶏ガラをベースとしたとんこつ醤油。屋台時代の特注寸胴で作り上げます。鶏と豚の脂がまじりあい、黄金色にキラキラと輝いています。現在のラーメンは、2008年当時からさらに使用食材を増やし、改良がくわえられ、より奥深い味わいに進化しています。
麺もさらに改良がくわえられ、北海道産超強力小麦ゆめちからをベースに中力粉などをブレンドした「穂のちから」を使用した多加水熟成ウェーブ麺で、温度・湿度に合わせて最高の状態のものを提供。麺は敦賀より直送します。
具材はチャーシュー、メンマ、ネギに、彩を添える紅ショウガ。そして香りづけのため、粗挽きの胡椒を使用。2008年当時の中華そばのチャーシューは「もも肉×3枚」でしたが、現在は「ロース肉×大判2枚」に変更となっております。ロースは豚の中で最も高価な部位です。
「ミシュランガイド北陸2021特別版」に掲載
2021年5月、富山・石川・福井3県を対象としたミシュランガイド北陸2021特別版が発売され、「中華そば一力」本店が選ばれました。
二代目・菅井宏治さん曰く「これまでの傾向から掲載されるラーメンは、どちらかというと淡麗系のラーメンが主体でしたので、私たちのお店が掲載されるというのはないだろうと思っていました。屋台から始まったソウルフードがこうして掲載されたことは大変うれしいことです」とのことです。
あの銘店をもう一度・第4弾・「中華そば一力」
出店期間:2022年9月2日(金)~9月22日(木)
出店場所:横浜市港北区新横浜2-14-21
新横浜ラーメン博物館地下2階
※旧RYUS NOODLE BAR跡地
営業時間:新横浜ラーメン博物館の営業に準じる。
※「中華そば一力」の出店は、2022年9月2日~9月22日で終了しています。
『新横浜ラーメン博物館』の情報
住所:横浜市港北区新横浜2-14-21
交通:JR東海道新幹線・JR横浜線の新横浜駅から徒歩5分、横浜市営地下鉄の新横浜駅8番出口から徒歩1分
営業時間:平日11時~21時、土日祝10時半~21時
休館日:年末年始(12月31日、1月1日)
入場料:当日入場券大人380円、小・中・高校生・シニア(60歳以上)100円、小学生未満は無料
※障害者手帳をお持ちの方と、同数の付き添いの方は無料
入場フリーパス「6ヶ月パス」500円、「年間パス」800円
※協力:新横浜ラーメン博物館
https://www.raumen.co.jp/