“呑める”書店『レボリューションブックス』の“おいしい本”5選 食の本専門書店の店主が「小説より面白い」と思うノンフィクションとは?

【recommend4】『ショージ君の「料理大好き!」』東海林さだお 著 ユーモア抜群のエッセイで知られる著者が様々な料理を作って食べる話をコミカルに描く。「内容が面白いだけでなく、初期のエッセイはもはや民俗学的資料とし…

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ようやくの、秋本番。時間も穏やかに流れるこの時期は、無性に本を読みたくなりませんか?読書の秋、食欲の秋でもありますし、本のエキスパートたちが選ぶ“おいしい”本を厳選してご紹介します。今回は、『レボリューションブックス』店主・西谷将嗣(まさつぐ)さんおすすめの5冊です。

食の本専門書店・立ち飲み『レボリューションブックス』店主・西谷将嗣(まさつぐ)さん

食の本専門書店・立ち飲み『レボリューションブックス』店主・西谷将嗣(まさつぐ)さん

バラエティに富んだ食本が楽しい

食の専門書店として、絵本からレシピ、食育など幅広いラインナップ。そこから西谷さんが推す5冊を紹介する。「『キッチン・コンフィデンシャル』は小説よりも面白いと思える、数少ないノンフィクションなんです。秘境ではなく、大都市ニューヨークの片隅で繰り広げられる冒険の日々にハラハラします」と西谷さん。

おばんざいという言葉が商品化された今、改めてその言葉の本当の意味を知ることができるという『おばんざい』、情報を追うのではなく、自分の中に確固たる判断基準を持つ著者の生き方に共感したという『貧乏サヴァラン』、身近な食の問題から社会問題に切り込む著者の方法論に新しさを感じるという『縁食論』など、西谷さんの人柄が垣間見えるセレクト。

【recommend1】『キッチン・コンフィデンシャル』アンソニー・ボーデイン 著

『キッチン・コンフィデンシャル』アンソニー・ボーデイン 著、土曜社/2035円

ニューヨークの人気ブラッスリーの料理長を務めた著者の半生を、飲食業界の裏側と共に描き出した自伝的作品。「下手な冒険小説を読むより刺激的です。事実は小説より奇なり」

【recommend2】『おばんざい 京の台所歳時記 秋と冬』秋山十二子、大村しげ、平山千鶴

『おばんざい 京の台所歳時記 秋と冬』秋山十二子、大村しげ、平山千鶴、河出書房/792円

昭和初期、台所を預かる京女3人が持ち回りで書いた新聞エッセイの書籍版。「人の生活が今よりずっと不便な時代、不便ゆえに、日々の生活と季節の移ろいがより結びついていたことを感じます」

【recommend3】『貧乏サヴァラン』森茉莉 著

『貧乏サヴァラン』森茉莉 著、ちくま文庫/660円

作家・森茉莉の日々の食事とそれにまつわる想いを綴るエッセイ。「決して裕福では無かった晩年に、身の丈にあった生活の中で自分の感性に素直に生きる著者の日常に清々しさを感じます」

【recommend4】『ショージ君の「料理大好き!」』東海林さだお 著

『ショージ君の「料理大好き!」』東海林さだお 著、文春文庫/737円

ユーモア抜群のエッセイで知られる著者が様々な料理を作って食べる話をコミカルに描く。「内容が面白いだけでなく、初期のエッセイはもはや民俗学的資料として価値があると思えます」

『ショージ君の「料理大好き!」』東海林さだお 著、文春文庫/737円

【recommend5】『縁食論 孤食と共食のあいだ』藤原辰史 著

『縁食論 孤食と共食のあいだ』藤原辰史 著、ミシマ社/1870円

孤食とも共食とも異なる「新しい食のかたち」を歴史学の立場から探りつつ、経済至上主義にメスを入れる。「縁食という食事の形を通して、ポスト資本主義の食の在り方を考えさせられます」

『縁食論 孤食と共食のあいだ』藤原辰史 著、ミシマ社/1870円

食の本専門書店・立ち飲み『レボリューションブックス』

京都にあるユニークな“呑める”書店。扱っているのは食の本のみ。店主の西谷さんが作る気が利いた酒の肴と酒が楽しめる立ち飲み屋であり、シングルオリジンのコーヒーが飲めるカフェスタンドという顔も持つ

食の本専門書店・立ち飲み『レボリューションブックス』

[住所]京都府京都市下京区西木屋町通船頭町235 集まりC号
[電話]075-341-7331
[営業時間]16時〜23時、土日:15時〜23時
[休日]月
[交通]阪急京都線京都河原町駅1B出口から徒歩5分

撮影/松浦稔、取材/岡本ジュン

2023年11月号

※2023年11月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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