ようやくの、秋本番。時間も穏やかに流れるこの時期は、無性に本を読みたくなりませんか?読書の秋、食欲の秋でもありますし、本のエキスパートたちが選ぶ“おいしい”本を厳選してご紹介します。今回は、『レボリューションブックス』店主・西谷将嗣(まさつぐ)さんおすすめの5冊です。
【食の本専門書店・立ち飲み『レボリューションブックス』店主・西谷将嗣(まさつぐ)さん】
バラエティに富んだ食本が楽しい
食の専門書店として、絵本からレシピ、食育など幅広いラインナップ。そこから西谷さんが推す5冊を紹介する。「『キッチン・コンフィデンシャル』は小説よりも面白いと思える、数少ないノンフィクションなんです。秘境ではなく、大都市ニューヨークの片隅で繰り広げられる冒険の日々にハラハラします」と西谷さん。
おばんざいという言葉が商品化された今、改めてその言葉の本当の意味を知ることができるという『おばんざい』、情報を追うのではなく、自分の中に確固たる判断基準を持つ著者の生き方に共感したという『貧乏サヴァラン』、身近な食の問題から社会問題に切り込む著者の方法論に新しさを感じるという『縁食論』など、西谷さんの人柄が垣間見えるセレクト。
【recommend1】『キッチン・コンフィデンシャル』アンソニー・ボーデイン 著
ニューヨークの人気ブラッスリーの料理長を務めた著者の半生を、飲食業界の裏側と共に描き出した自伝的作品。「下手な冒険小説を読むより刺激的です。事実は小説より奇なり」
【recommend2】『おばんざい 京の台所歳時記 秋と冬』秋山十二子、大村しげ、平山千鶴
昭和初期、台所を預かる京女3人が持ち回りで書いた新聞エッセイの書籍版。「人の生活が今よりずっと不便な時代、不便ゆえに、日々の生活と季節の移ろいがより結びついていたことを感じます」
【recommend3】『貧乏サヴァラン』森茉莉 著
作家・森茉莉の日々の食事とそれにまつわる想いを綴るエッセイ。「決して裕福では無かった晩年に、身の丈にあった生活の中で自分の感性に素直に生きる著者の日常に清々しさを感じます」