ようやくの、秋本番。時間も穏やかに流れるこの時期は、無性に本を読みたくなりませんか?読書の秋、食欲の秋でもありますし、本のエキスパートたちが選ぶ“おいしい”本を厳選してご紹介します。今回は、東京・代官山の旧山手通りに面したお洒落スポットにある『代官山蔦屋書店』でコンシェルジュを務める間室道子さんおススメの5冊です。
【『代官山蔦屋書店』コンシェルジュ 間室道子さん】
ダークなユーモアを忍ばせたセレクト
「代官山 蔦屋書店には私が密かに“本屋のお客様のプロ”と名付けている本好き・本屋好きの方々がいらっしゃるんです」という間室さん。その方々を棚の前でニヤッとさせようと毎回フェアの選書に刺客を偲ばせているという。
ちょうど始まった食欲の秋のフェア『食べる本』では、レストラン小説や食エッセイにこっそり人間が食材になっている物語を混ぜ込んだ。そのひとつが『注文の多い料理店』。他にも、洋食がご馳走だった世代にはたまらなく懐かしくも恋しい『にっこり洋食』など、大人が読んでそうそう、うんうんと共感できる、エスプリがきいた敏腕コンシェルジュのセレクトに脱帽!
【recommend1】『注文の多い料理店』宮沢賢治 著
宮沢賢治唯一の童話集。ふたりの紳士が山奥で見つけた西洋料理店で出合った料理とは!?「人間を“できるだけおいしく”食べようとするところにユーモアと、そして恐怖も感じます」
【recommend2】『あなたに似た人 新訳版1』ロアルド・ダール 著、田口俊樹 訳
短編小説の名手が贈る絶品短編集。『味』は、ワインの銘柄を当てる賭けにとんでもないものを賭けてしまう話。「ブラックユーモアと意外な結末がいいんです。『おとなしい凶器』もおすすめ」
【recommend3】『君がいない夜のごはん』穂村弘 著
料理ができず、味音痴。そんな人気歌人・穂村 弘が身近な食の違和感を描いたクスリと笑えるエッセイ。「“食い違い”の衝撃は全人格に響きます。笑いでお腹がはち切れそうになりますよ」