【ゆるキャン△に登場!?】山梨県のご当地グルメ『青春のトマト焼きそば』が激うまだった!! 認証店でしか食べられないレアメニューを実食

あなたの青春は何味だろうか。ロマンスの甘い味だろうか。情熱の血潮の味だろうか。挫折と涙のほろ苦い味だろうか。いずれにせよ、一陣の風のような爽やかさを伴うのがアオハルというものではないだろうか。『青春のトマト焼きそば』(税込800円)は、トマトのみずみずしい酸味を前面に押し出した、爽やかな刺激に満ちている。誰もが抱く青春への郷愁が味わえる、かもしれない、山梨県発祥の一品をご紹介しよう。

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あなたの青春は何味だろうか。ロマンスの甘い味だろうか。情熱の血潮の味だろうか。挫折と涙のほろ苦い味だろうか。いずれにせよ、一陣の風のような爽やかさを伴うのがアオハルというものではないだろうか。『青春のトマト焼きそば』(税込800円)は、トマトのみずみずしい酸味を前面に押し出した、爽やかな刺激に満ちている。誰もが抱く青春への郷愁が味わえる、かもしれない、山梨県発祥の一品をご紹介しよう。

名産のトマトの爽やかな酸味が世界を彩る!

トマトの酸味が前面に出た青春のトマト焼きそば。暑い夏でも箸が進む爽やかさだ。

ご当地焼きそばといえば、有名なものが多数あるが、『青春のトマト焼きそば』というラノベ(ライトノベル)のタイトルのような、山梨県発祥の料理をご存じだろうか?

「トマトが使われているんだろうな」ということ以外名前からはわからない、漫画『ゆるキャン△(あfろ著/芳文社)』のファンの間でも話題のご当地料理をレポートしよう。

『青春のトマト焼きそば』は山梨県中央市商工会の登録商標。現在11店舗ある認証店の中から今回紹介するのは、道の駅とよとみの内部にある『ふるさとカフェ・シルク』の『青春のトマト焼きそば』(税込800円)だ。

セットのサラダも新鮮で美味。道の駅とよとみには、農家からとれたての野菜が集まるので、納得の味だ。

認証店の間でもアレンジの違いは存在し、シルクの場合は小さなサラダがつく。このサラダが美味で、本丸である焼きそばに箸をつける前に驚かされた。道の駅とよとみには農家が直に卸す新鮮な野菜も集まるので、そうした背景も有利に働いているのかもしれない。新鮮な野菜の食感はザクザクと小気味良くて、噛むたびに楽しくなる。

そして肝心の焼きそばは、トマトの風味を前面に押し出した爽やかな味だ。なるほど土地の名産だけのことはある。並のトマトとは違う鮮烈さだ。薄味の焼きそばにマッチして、口の中を彩る。軽やかでありながら力強い印象だ。

季節は真夏。強い冷房を効かせない店内で熱い焼きそばを食べるのだから、汗がすごいことになるのではないかと心配したが、それもなかった。店内は出入りしても客の体に負担がかからない程度の控えめな涼しさに調整されているが、熱い焼きそばを啜っていても嫌な気分にならない。それだけ爽やかな食感なのだ。

『青春のトマト焼きそば』が楽しめるのは、ふるさとカフェ・シルクを含む11店舗のみ。

そもそも『青春のトマト焼きそば』とは?

道の駅とよとみ内、ふるさとカフェ・シルクの『青春のトマト焼きそば』(税込800円)

『青春のトマト焼きそば』公式サイトによれば、それは以下のように定義されている。

  1.  焼そば麺にトマトソースをかけるのが中央市流
  2. トマトソースには中央市産のトマトを使用する
  3. 山梨県産甲州富士桜ポークを使用する
  4. どんなに素材・製法にこだわっても価格は一千円前後に抑える
  5. どこか懐かしく、食べると元気になる青春の味である

そもそも、商工会青年部が祭りに出展した屋台が『青春のトマト焼きそば』のきっかけなのだそうだ。フィーチャーする材料は、山梨県産ブランド豚の甲州富士桜ポークと、山梨県中央市特産のトマト。トマトで知られている土地なのだから、これは必然的な話だ。

そして、開発にあたり意識したのは ”昭和40年代〜50年代によく食べた、今はなき、山梨県内のチェーン喫茶店で提供されていた「ミート焼きそば」” とある。

ああ、あれか、と地元民ならこの記述にピンとくる。これはつまり『きねやの焼きそば』を意識したということだ。後に『キネドールきねや』と名前を変え、昭和後期の山梨県を席巻した洋菓子/喫茶チェーン店が『きねや』。店頭で洋菓子を売り、バックヤードが喫茶空間という店舗スタイルで大成功を収めた『きねや』は、昭和の山梨の若者たちに熱狂的に受け入れられていた。

当時のきねやの看板メニューはふたつある。洋菓子店としてのボンシュー(今でいうエクレア)と、喫茶店としての焼きそばだ。さらに昔を知っている人は団子というが、ここでは割愛しよう。

喫茶店としての看板メニューであった『きねやの焼きそば』を言葉で説明するには、「スパゲティ・ミートソースを焼きそばの麺で作った一皿」というのが最も近いだろう。中太の角麺と、野菜の爽やかさよりもソースのくどさが前に出たミートソースを、金属の皿とフォークで食べさせるきねや独特のスタイルは、焼きそばという言葉から離れた無国籍感を醸し出していた。

感覚的な物言いを許してもらえば、これは長崎のトルコライスの立ち位置に近い。トルコライスと違うのは、地元の食文化として定着しなかった点だ。一時は隆盛を誇ったきねやも、時代の波にさらわれるように店舗数を減らし、昭和の末期に救済合併される形で喫茶業態を終えてしまった。独特の焼きそばの味も、当時のヤングたちの記憶に残るのみである。

令和の『青春のトマト焼きそば』はアオハルの爽やかさ

懐古趣味とは違う、現代の青春が味わえる。

「では『青春のトマト焼きそば』は、きねやの焼きそばと同じなのか?」と問われれば、明らかに違う味だ。

これはある意味当然で、地元産のトマトの魅力を引き出すことを目指せば、昭和のカリスマ焼きそば同様の重さになるわけがない。あくまで爽やかさが主役だ。令和と昭和では時代の背景も違う。認証店の中には金属の皿をサンプル写真に用いている店もあり、ニヤリとさせられるが、シルクの皿は陶器。そしてフォークではなく割り箸だ。

ただ、全く関係がないとも思わない。焼きそばとトマトソースの取り合わせは、中華料理とも日本食ともつかない印象を残す、もちろんイタリアンでもない。国籍不明の美味という意味では通じるものがある。

この「なんだかよくわからんが旨い」感覚が、青春のトマト焼きそばを『青春』たらしめているのかもしれない。もしかすると貴方の青春も「いろいろあったけど、振り返ると楽しかったよ」というものではないだろうか。

文・写真/深澤紳一(ふかさわ しんいち):PCゲーム雑誌から文芸誌、サブカルチャー誌まで幅広い寄稿歴をもつライター。レーシングスクールインストラクターなども務めつつ、飼犬のために日々働く愛犬家。

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