ワインを楽しむ店のメニューでよく目にする“シャルキュトリー”。シャルキュトリーは肉の加工品全般であり、それらを使った料理もまたしかり。どう味付けるか、何を付け合わるかで表情が一変する自家製自慢のビストロをご案内します。
画像ギャラリーワインを楽しむ店のメニューでよく目にする“シャルキュトリー”。シャルキュトリーは肉の加工品全般であり、それらを使った料理もまたしかり。どう味付けるか、何を付け合わるかで表情が一変する自家製自慢のビストロをご案内します。
飾り気はないがどれもが味わい深い手塩にかけた料理『プレ ド ショウイン』@松陰神社前
松陰神社からほど近い路地に、“ごく日常のフランス”への入口がある。『プレ ド ショウイン』だ。
こちらはフランスの郷土に根差した、なかでも美食の街で知られるリヨン地方の普遍的な料理を中心に、通年定番で用意する。その主軸に据えているのが、前菜からメインまで揃える自家製のシャルキュトリーだ。
シャルキュトリーの盛り合わせ 2000円、パン 400円(おかわり自由)
盛り合わせを頼むと、サラミ、生ハム、リエット、ソーセージ、鶏白レバーのムースが、無骨な銀色の皿の縁ギリギリまでのってくる。直球勝負な見た目もいいが、何よりガツンと効かせたその塩気が印象的。これをワイン泥棒と呼ばずして何と言うか!
「日本人の舌に合わせた味とかは考えてなくて(笑)、僕の中にあるフランス“らしさ”を一番にイメージしてます」と、店主の大杉さん。
この言葉と、きっちり剃られた坊主頭に一瞬怯むかもしれないが、大丈夫。絶妙な抜け感を醸すその関西弁と、部室のように居心地のいい空間が、気取りのないフランスへと導いてくれる。
[住所]東京都世田谷区若林4-20-10 テラ・コート1階
[電話]03-5787-8507
[営業時間]18時~24時(食事は22時半LO)
[休日]日
[交通]東急世田谷線松陰神社前駅から徒歩1分
ストレートに肉のおいしさを追求したシャルキュトリー『ビストロ トポロジー』@目黒
この店の黒板メニューは2枚ある。そのうちの1枚にはびっしりとシャルキュトリーメニューが書き込まれていて、並々ならぬシャルキュトリーへの愛を感じさせる。それはもう、肉好きならメニューをつまみにワインが飲めそうなくらい。
店主の小田さんは店をやるなら「シャルキュトリーで勝負をしたい」と心に決めていたという。そこでシャルキュトリーの名手といわれるシェフの元で腕を磨いた。
魅力的すぎるメニューに迷ったら、冷製8種の盛り合わせがおすすめだ。見るからにおいしそうなソーセージ類やリエットがこんもりと盛られた豪快な皿は、目の前に運ばれてくると思わず歓声があがる。優に3~4人分はあるが、ワイン片手にふたりで満喫するツワモノも少なくないとか。
冷製シャルキュトリー盛り合わせ(8種) 6350円
常時20種類以上のシャルキュトリーの他にビストロ料理もあって、どれもシンプルでボリュームたっぷり。これぞ本場フランスというスピリットがこもっていて、ビストロ好きの心を射抜くのだ。
[住所]東京都目黒区目黒1-23-15 1階
[電話]03-6420-0136
[営業時間]18時~22時半(20時半LO)
[休日]月
[交通]JR山手線ほか目黒駅西口から徒歩11分
レストランらしい気品をまとった ここならではの味『シャルキュ』@虎ノ門
店名に冠した通り、ここはシャルキュトリーが主役のビストロ。店主の町筋さんは、ニースでの修業時代に食べたシャルキュトリーのおいしさに感動し、再び渡仏して改めてシャルキュトリーを学んだ。そんな町筋さんの手によるシャルキュトリーは、レストランらしい華やかさをまとっている。
「カイエット・プロヴァンサル」はまるでモザイクタイルのように美しく、「パテ・アン・クルート」は端正。その姿の良さからは丁寧な仕事ぶりがうかがえる。
パテ・アン・クルート 2530円、グラスワイン 800円~
「自家製だからこそ“自分のおいしい”に合わせて作れます。そして手をかけた分だけおいしくなってくれる」と町筋さん。
シーズンにはジビエを加えたり、付け合わせのピクルスに季節の和野菜を使ったりとここならではの工夫も怠らない。冬には店頭で乾燥させるサラミ類を一年分仕込み、白カビチーズも作ってしまうという町筋さん。その職人気質と朗らかな人柄を慕って集まる食いしん坊で、店はいつも賑わっている。
[住所]東京都港区虎ノ門1-11-5 森谷ビル地下1階
[電話]03-6205-4177
[営業時間]18時~22時(金は〜23時)
[休日]日
[交通]地下鉄銀座線ほか虎ノ門駅1番または4番出口から徒歩2分
ひとりでもあれこれつまんで飲めるポーションがうれしい『ビストロ スマイユ』@代々木上原
「ワインも料理もクラシックなものが好きなんです」という店主の石谷さん。実はフランス郷土料理の会を隔月で開くほどマニアックで勉強熱心な料理人である。
シャルキュトリーとの出合いはまだ料理人として駆け出しの頃で「いつかは作ってみたい」と強い憧れを持ったとか。その情熱からシャルキュトリーの名店へ飛び込んで修業し、2年前にこの店を開いた。
黒板に並ぶのは「パテ・ド・カンパーニュ」、「アンドゥイエット」など王道のメニューばかり。でも盛り付けやアレンジでモダンなニュアンスを加えているのが新鮮だ。
丹波黒どり、豚、フォアグラ、ピスタチオのパテアンクルート 1100円、グラス赤ワイン 1500円
ドカンとしたボリュームが定番のシャルキュトリーだが、この店ではポーションはやや控えめ。さらにできるものはポーションを調整してくれるから、ひとりであれこれ食べたいときにもうれしい限り。カウンターおひとり様が常連に多いというのもうなずける。
遅い時間にはワインを主体に軽くつまむのもよしと、肩の力の抜けた気軽さも魅力なのだ。
[住所]東京都渋谷区上原1-3-8 ルパルク上原1階
[電話]070-4466-3968
[営業時間]18時~翌1時(22時半最終入店)
[休日]日 ※不定休あり
[交通]小田急線代々木八幡駅から徒歩4分
撮影/西崎進也(プレ ド ショウイン)、貝塚隆(トポロジー、シャルキュ、スマイユ)、取材/編集部(プレ ド ショウイン)、岡本ジュン(トポロジー、シャルキュ、スマイユ)
※2024年10月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
…つづく「門前仲町の良店5選 日本酒、ワインが美味しい店で自在に楽しむ」では、覆面調査隊がなんともグッとくる人情の街「門前仲町」で見つけた良店を実食レポートしています。