森下『中華や』 取材日の午後、店を訪れると「今日の昼はウマニソバが一番出たよ」と店主の小川さん。あんかけ系ラーメンは王道の陰に隠れがちな存在だったりするけど、ここでは上位を争う人気メニュー。 うずらの玉子がちょこんと乗っ…
画像ギャラリー肉や海鮮とたっぷり野菜をとろみでまとめた「あんかけラーメン」。具材の旨みたっぷりのあんはラーメンのフタにもなっていて、いつまでもハフハフの熱々が食べられる冬にこそ真の魅力を発揮する一杯です。口の火傷に注意しつつ、いざすすらん!
成城学園前『桂花』
酸味入り辛子つゆそば。都内で3本の指に入ると言われる人気の酸辣湯麺だ。昭和60年オープン。上海、広東、四川を中心に中国各地の料理を出す同店では、開店以来化学調味料を使わず、体にやさしいものを提供している。
大切にしているのは「ていねいにいいダシとスープをとること」だ。このラーメンも然り。昆布とカツオ、貝柱などの魚介と、鶏・豚ガラを合わせたスープはすっきりした中に深い旨みを湛えている。きれいな麺線とラー油の赤、ねぎの緑が映える。
はしづめ製麺のオリジナルという細めのストレート麺をほどよいとろみとともに啜り上げると、白黒のペッパーの風味と黒酢を使った旨みのある深い酸味、ほどよくパンチの効いたそのバランスが絶妙だ。餡の中には、椎茸、中国春雨、木耳、鶏肉……。旨みがきれいに詰まって、熱々の中にもじんわり体に染みていくような品のいい美味しさ。これはクセになる!
表参道「中華風家庭料理 ふーみん」
湯気と一緒に上がってくる香りのよさがたまらない。ごちそう感あふれる五目うまにそばだ。昭和46年の開業以来、3~4世代通う人もいる同店の変わらぬ信条が「食で心を癒すこと。そのために手作りにこだわっている」と、教えてくれたのは料理長の白井次男さんだ。
たっぷりの鶏ガラと丸鶏が活き、豚ガラ、昆布も使って仕込まれる透き通ったスープが全体を支える。上にのるあんの調理は手際のよさが命だ。
油を通さず強い火力でさっと炒めるからこそ野菜にシャキシャキ感が残る。あんの中には、エビ、イカ、ホタテ、豚肉、干し椎茸やシメジ、木耳、タケノコ、白菜、にんじん……。どれも存在感があって、各具材からの旨みが感じられる。
ごま油や自家製ねぎ油の香りも鼻腔をくすぐる。歯応えのあるかなりの細麺をツツツとすすると、そこにさまざまな旨みが絡んでくる。熱々を感じながら最後まで旨みのハーモニーを楽しみたい!
森下『中華や』
取材日の午後、店を訪れると「今日の昼はウマニソバが一番出たよ」と店主の小川さん。あんかけ系ラーメンは王道の陰に隠れがちな存在だったりするけど、ここでは上位を争う人気メニュー。
うずらの玉子がちょこんと乗って、豚肉に木耳、白菜と具材たっぷりでちょっと贅沢な気分。ふうふうと湯気を吹きつつ挑めば、あったかくてコクのある旨みが体中に充満してくる。
決め手のひとつはさまざまな野菜と調味料を加えて作る独自の醤油ダレだろう。継ぎ足しで守るそれはチャーハンの香り付けにも使う店の基本。さらに最大の要、鶏ガラや豚足などでダシを取るスープは徹底的に素材を洗って臭みが出ないよう仕込むとか。
「料理は段取りが大事」。そんな真面目な味を受け止める麺がこれまたラーメン専門店もこぞって使う「浅草開化楼」の中細縮れ。卵麺だがきちっと小麦を感じる風味は麺好きも唸るはず!
『おとなの週末』2024年2月号より(本内容は発売時のものです)
…つづく「東京、本当うまい「町中華のラーメン」ベスト6店…なんと一杯《600円》、スープ絶品《浅草・大森・人形町・大井町・千歳烏山・清澄白河》で覆面調査隊が発見」では、あまたひしめく町中華のなかから、おいしいラーメンの店を紹介します。