江戸時代から続く伝統的な蕎麦と、蕎麦前文化。近年はそんな昔ながらの蕎麦にひと捻りきかせた食材や異国の要素を掛け合わせた進化系蕎麦の店が続々と増えている。なかには蕎麦粉の挽き方や麺の太さを蕎麦によって変え、自分で選べるようにすることで、食感や香りの違いを比較できる店や他業態を掛け合わせた店も登場・・・!ここでは2024年に開店した蕎麦屋の中から特に注目の3軒をピックアップしてご紹介していきたい。
画像ギャラリー江戸時代から続く伝統的な蕎麦と、蕎麦前文化。近年はそんな昔ながらの蕎麦にひと捻りきかせた食材や異国の要素を掛け合わせた進化系蕎麦の店が続々と増えている。なかには蕎麦粉の挽き方や麺の太さを蕎麦によって変え、自分で選べるようにすることで、食感や香りの違いを比較できる店や他業態を掛け合わせた店も登場…!ここでは2024年に開店した蕎麦屋の中から特に注目の3軒をピックアップしてご紹介していきたい。
1.立ち食い蕎麦×ワイン!?意外な組み合わせに仰天
『SUBA VS』@渋谷
2024年9月、東京・渋谷に上陸した京都で行列を作る進化系立ち食い蕎麦屋、『SUBA VS(スバ ブイエス)』。この店が普通の蕎麦屋と比較して何より面白いのは、1階はスタンディングの蕎麦屋であり、2階はワインショップ「ウィルトス」がセレクトするワインショップ&バーであるという点だ。
セルフで注げるワインディスペンサーには、常時48種類以上が揃い、好きなワインを購入した後、1階に移動して立ち食い蕎麦を味わえる。奥のセラーには、1000種類以上のナチュラルワインや日本ワインをラインナップしているほか、ビールをはじめ、定番の酒も揃っているのがうれしい。
蕎麦の麺はその時期一番良質な蕎麦粉を採用し、オリジナル麺を毎日製麺。こだわりの出汁は、利尻昆布や本ガツオ、サバ、ウルメイワシ等を使用しあっさりとした関西風に仕上げている。蕎麦の最大のポイントは「国産牛ホルモンと黄ニラ」(1300円)、「淡路島産ハモ天とからし菜 梅パウダー」(1800円)、「島根県宍道湖のしじみとマンダリンオイル」(1100円)など、馴染みのある食材と意外性のある食材をかけあわせた斬新なメニュー展開だ。
おすすめは、渋谷限定の「とり天毛沢東スパイス」(1000円)。唐辛子やクミン、エシャロットなど数種類の中華スパイスを取り入れた「毛沢東スパイス」を大ぶりのとり天にダイナミックにふりかけたこちらは、サクサクとした衣の食感とだしのまろやかな風味を引き立たせるスパイシーな味わいが病みつきになること間違いなし。
蕎麦のだしをワインで割ったユニークな「だし割り」も寒い冬にぜひ試してほしい一品!グラスの淵には七味がついており、だしとのうま味とワインのうま味が融合した滋味深い味わいの後に、ピリッとしたアクセントが楽しめる。
[住所]東京都渋谷区渋谷1-15-8宮益ONビル1階
[営業時間]12時~23時
[休日]不定休
[交通]JR山手線ほか「渋谷駅」から徒歩3分
2.高級食材を使ったひとくち蕎麦が絶品!蕎麦の種類やつけ汁が自分で選べる粋な新店
『銀座 そばごや』@新橋
2024年の11月に新橋にオープンした注目の蕎麦居酒屋と言えば、『銀座 そばごや』である。麻布十番の人気店『そばごや』の姉妹店となる同店では、木のぬくもりを感じるモダンな店内で粋なつまみと蕎麦を夕方から深夜まで楽しめる。そして、2種の蕎麦粉と細麺・中麺・太麺から好きな蕎麦を自身で選べる点がこの店の最大のポイント。つけ汁は「鴨ちらしつけ汁」、「青唐辛子とろろつけ汁」「銘柄豚のピリ辛つけ汁」など、バラエティ豊かな6種からオーダーできるのがうれしい。
注目のメニューは、見た目にも豪華なひとくち蕎麦。蕎麦といえば〆のイメージが強いが、こちらは一杯ひっかけながら前菜として味わうメニューだ。キャビアの濃厚なうま味と独特の風味がクセになる「キャビア ひとくち蕎麦」(1980円)に時間をかけて仕込んだ自家製からすみを使った「からすみ ひとくち蕎麦」(1380円)、新鮮な生雲丹をたっぷりと乗せた「生雲丹 ひとくち蕎麦」(1480円)と、高級食材をのど越しのよい蕎麦とともに味わう至福のひとときを。
「名物 黄身のせ だし巻き卵」(1280円)や「銘柄豚使用 蕎麦屋のカツ煮」(1780円)など、つまみも充実している。なかでも、「埼玉鴨場」のチェリバレー種の合鴨を使用した「国産鴨のタタキ」(1880円)は、ぜひチャレンジしておきたいメニュー。口当たりが絶妙で、パリッとした皮目との食感の対比がたまらない。
[住所]東京都中央区銀座8-8-7 第3ソワレ・ドビル 8階
[営業時間]月曜日~金曜日16時~6時、土曜日16時~23時
[休日]日・祝日
[交通]JR山手線「新橋駅」から 徒歩8分
3.仲間と昼から乾杯したい、恵比寿のモダンな蕎麦酒場
『蕎麦 いっこん』@恵比寿
ひとりでちょい飲みしたいときはもちろん、複数人で昼飲みを楽しみたいときに最適なのが、恵比寿駅からわずか徒歩4分の場所に2024年5月に開店した『蕎麦 いっこん』だ。つるんとしたのど越しが心地よい〆の二八蕎麦に加え、酒と相性抜群の「鴨わさ」(900円)や「じゃこ天」(700円)などの定番料理のほか、「トマト味噌炒め パルメザンチーズがけ」(890円)、「揚げ茄子ともちの肉味噌炒め」(890円)と、蕎麦前を現代風にアレンジしたメニューも豊富にそろっている。
「名物ぶっかけ蕎麦」は、彩り鮮やかで目でも楽しめる一品。甘辛い味わいのすき焼風牛バラ肉とほどよい辛味の九条ネギがマッチした「牛肉と九条ねぎのぶっかけそば」(1900円)や、蒸し鳥と6種の野菜を濃厚なゴマだれとともにいただく「蒸し鶏と彩り野菜の胡麻ぶっかけそば」(1900円)をはじめ、ここでしか味わえないモダンな進化系蕎麦を満喫しよう。
ぱくりと片手で食べられるサクサクの「おつまみ天ぷら」は、見た目にも愛らしい一品。「海老天(2本)」(1000円)や「茄子天(2ヶ)」(450円)、「きす天(2枚)」(800円)など、好みの蕎麦や酒とともに気軽に天ぷらを味わう新鮮な体験を。
[住所]東京都渋谷区恵比寿1-21-17
[営業時間]11時半~14時半、17時半~23時半
[休日]なし
[交通]JR山手線「恵比寿」駅から徒歩4分
文/中村友美
フード&トラベルライター。東京都生まれ。美術大学を卒業後、出版社で編集者・ディレクターを経験後、現在に至る。15歳からカフェ・喫茶店巡りを開始し、食の魅力に取り憑かれて以来、飲食にまつわる人々のストーリーに関心あり。古きよき喫茶店や居酒屋からミシュラン星付きレストランまで幅広く足を運ぶ。趣味は日本全国の商店建築巡り。
……つづく『東京下町、うまい「絶品そば」ベスト5軒…具たっぷり、風情よし《上野・浅草橋・日暮里・谷中・本所吾妻橋》の老舗を大公開』では、あまたひしめくそば屋の中から、下町にエリアを絞り選りすぐりのお店を紹介します。
画像ギャラリー