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名古屋グルメ_名店は郊外にあり! うどん通も唸る味噌煮込みと、きしめんの実力店『みのや』/名古屋エリア限定情報(74)

名古屋めしのなかでもイマイチ注目度の低いきしめんを見つめ直そうと、地元で昔から営んでいる店を食べ歩くようになり、その旨さに驚愕したお店のうちの1軒が、今回紹介する愛知県西春日井郡豊山町にある『みのや』だ……。

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名店は郊外にあり! うどん通も唸る味噌煮込みと、きしめんの実力店『みのや』

意外と思われるかもしれないが、きしめんやうどんを食べてしみじみ美味しいと思ったのは、40代を過ぎたころだった。
駅のホームやセルフうどんばかり食べていたから、時間がないときにささっと食べるものとしか思っていなかったのだ。

しかし、名古屋めしのなかでもイマイチ注目度の低いきしめんを見つめ直そうと、地元で昔から営んでいる店を食べ歩くようになり、その旨さに驚愕したのである。
今回紹介する愛知県西春日井郡豊山町にある『みのや』も、そんなお気に入りの店の一つだ。

創業は1972(昭和47)年。
店は現在地の近くにあったボウリング場の1階にあり、現在の場所へ移転したのは35年前のこと。
現在は二代目の店主、堀江卓司さんが腕を振るっている。
彼が打ち上げた麺は定評があり、郊外にありながら遠方からも多くの客が訪れる。

「店を移転してから、父は肩と腰を痛めてしまい、手打ちをやめてしまったんです。
私がほかの店で修業しているときに父が亡くなったので、父と一緒に厨房に立つことができませんでした」と、堀江さん。

店を継いでから6年が経ったころ、堀江さんは父親の知り合いを頼り、手打ちの技術を習った。
現在は、うどんときしめん、煮込みうどんの3種類の麺を打っている。
なかでも人気なのは、「親子味噌煮込み」(900円)。

名古屋市内で食べる味噌煮込みうどんは、やさしい味付けをしているところが多い。
しかし、ここのは私が子どものころに食べたような、ガツン!とパンチのある濃厚な味わい。
麺も太くて食べ応えも十分。
太いからといって、どこかの有名店のように芯があるわけではない。
もっちりとした弾力が、濃厚なつゆとよく合うのだ。

「味噌煮込みうどんは、食べすすむうちに麺につゆが染み込んでいって味や食感が変わるといわれています。
私がめざしたのは、最初の一口目から最後まで美味しく感じていただけること。
2年前に麺を1.5倍の太さに変えたんです」
だしにもこだわり、味噌煮込みにはさば節をメインにむろ節と宗田節をくわえたものを使っている。
また、それとは別に本枯節と枯さば節、宗太鰹、日高昆布でとっただしも用意していて、メニューに合わせて使い分けているのだ。
「コクのあるさば節のだしと比べると、すっきりと上品な味わいです。
主にかけきしめんに使用しています。
あ、夏季限定メニューの『すだち冷やかけきしめん』(850円)にも使ってますね」

これが「すだち冷やかけきしめん」。
もう、ビジュアルを見ただけで涼しくなりそう。
注目すべきはやはり、麺。
巷のきしめんとくらべると、かなり幅が広い。
「麺の表面積が大きいほど、つゆも持ち上げてくれますから、幅広のきしめんにしたんです」

実際に食べてみると、噛んだ歯を押し返してくるような弾力がある。
つるっとしたのど越しも実に心地良い。
なによりも、スライスしたすだちの味と香りがつゆに広がって、味わうごとに清涼感でいっぱいになるのだ。
添えられた紅ショウガの天ぷらもアクセントとして最高。
こりゃ旨い!

夏季限定メニューでもう一つ、オススメがある。
それが熱々の味噌キーマのたれで冷たいきしめんを味わう「冷やし味噌キーマきしめん」(950円)だ。
実は、堀江さんは無類のスパイス料理好き。
それが高じて、味噌煮込みに使用する味噌との融合を試みたのだ。
「炒めた玉ネギと鶏ひき肉、クミン、クローブ、コリアンダー、赤唐辛子、ガラムマサラなどを味噌と合わせました。
薬味のすだちを搾ったり、冷たいかけつゆをかけたりして味の変化もお楽しみください」

では、実食。
おおっ、味噌が熱々なのでスパイスの香りが立っている!
それだけで食欲がそそられる。
幅広麺を橋で持ち上げると、麺の表面に味噌キーマがたっぷり。
ガマンできずに頬張ると、味噌のコクとともにスパイスの香りと刺激がふわっと広がる。
うん、旨いっ!
堀江さんがおっしゃる通り、すだちを搾ると清涼感がくわわり、すっきりとした味わいに。
また、かけつゆをかけると一気に和のテイストに。もう、たまらん!
今年の夏も暑くなりそうなので、「親子味噌煮込み」も「すだち冷やかけきしめん」も「冷やし味噌キーマきしめん」も恋しくなる。
これらをローテーションで楽しみたい。

みのや
愛知県西春日井郡豊山町豊場流川189
[TEL]0568-28-2857
[営業時間]11時半~13時40分(L.O.)、18時~20時半(L.O.)
[定休日]木曜、第2・第3水曜、祝日夜

永谷正樹(ながや・まさき)
1969年生まれのアラフィフライター兼カメラマン。名古屋めしをこよなく愛し、『おとなの週末』をはじめとする全国誌に発信。名古屋めしの専門家としてテレビ出演や講演会もこなす。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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