以前、ご紹介した静岡県焼津の老舗水産加工品メーカー「岩清」から、「焼津 鯖ラーメン」がデビュー! このラーメン、単に「さば節」を使ったラーメンだと思ったら大間違い! なんと、麺にサバを練りこんだという「唯一無二の鯖ラーメン」なのだ……。
画像ギャラリー麵にサバ入り! チャーシューもサバ! 唯一無二の「焼津 鯖ラーメン」
以前ご紹介した静岡県焼津の老舗水産加工品メーカー「岩清」からまたまた、とんでもない鯖グルメが登場!
3月にデビューした「焼津 鯖ラーメン」がいまサバファン、ラーメンファンの間で話題となっている。
このラーメン、単に「さば節」を使ったラーメンだと思ったら大間違い!
なんと、麺にサバを練りこんだという「唯一無二の鯖ラーメン」なのだ。
お疲れさばです、ジェンヌです。
ジェンヌが上半期、ベストサバグルメ大賞として選ぶなら、間違いなく岩清の「焼津 鯖ラーメン」!
焼津・小川(こがわ)港産のサバを使った絶品だ。
ジェンヌさん、じつのところラーメンにはさほど興味がないのですが、このラーメンだけは「超リピ」。
ときどき、むしょうに食べたくなる「発作」が起きるという、「やみつき」状態!
鯖ラーメンを開発したのは、六代目となる岩崎清司社長の娘である岩崎容子さん。
前回、「おしゃれすぎる鯖グルメ」として、ご紹介した「鯖デリ」シリーズを開発した岩崎智子さんの妹さんだ。
岩崎容子さん。
岩清でお客様対応を担当するとともに、
新商品開発にもチャレンジ。
百貨店などの催事で全国各地も飛び回る。
容子さんは、姉の智子さん同様、大学卒業後は東京の外資系企業に勤務。
鯖デリシリーズの開発に邁進する姉の姿を見て、応援のために昨年、実家に戻り家業を手伝うことになった。
鯖ラーメンの開発のきっかけは、たまたまのことだという。
これからの時代、「ハラル」について学んでおかなくては、と大学のセミナーに出かけた容子さん。
インドネシアやマレーシアからやってきた留学生たちの発言が心に刺さった。
「日本の『ラーメン』を食べてみたい」
ムスリム(イスラム教徒)の戒律では、豚肉とアルコールのみならず、派生する食品も口にすることは禁じられている。
これはラーメンにおいては、高いハードルだった。
「なんだかとってもせつなくなってしまって。
ラーメンはとっても美味しいし、食べてもらえる方法があったらなあ」と思った容子さんはひらめいた。
サバでできるんじゃないか!?
そこで「スープにサバを使う」という単純な発想で終わらないのが「焼津サバシスターズ」の凄さである。
なんと容子さんは、「サバを麺に練りこむ」という大胆な方法を思いついた。
麺にサバを練り込むという、サバ好きならではの大胆な発想!
「サバ節でスープ、では、つまらないかな、と思って(笑)。
でも、わたしたちにとって麺はもちろん専門外。どうしたらいいか、悶々としていました」
そんな容子さんに強力な助っ人が現れた。
参加した食品展示会でたまたま知り合った静岡県の製麺メーカー「ムロフシ」に相談してみたたところ、サバを練りこんだオリジナル麺の開発が可能だったのだ。
さっそく新商品開発にチャレンジすることになった容子さん。
「サバ入りの麺」は、粉砕したサバ節を使えば実現できることがわかった。
しかし、岩清では生のサバの加工を行い、サバについての知識はもちろんのことふんだんに持ち合わせているものの、さば節は「専門外」。
すかさず向かったのは「節削り加工メーカー」。
焼津には、かつお節やさば節の『削り』専門の会社がある。
「サバ節をどう扱ったらいいのか」勉強することにしたのだ。
「サバの美味しさを引き出すためには、節の扱いが決め手になると思ったんです」
焼津サバシスターズは、とにかく研究熱心!
サバ節の臭みとなる部分を取り除くなど、ていねいな下処理をしてから粉砕。
「サバのよさだけ」を引き出す方法を確立。
麺にどの程度、サバを練りこんだらいいかを何度も試行錯誤して、ようやく麺は完成した。
サバを練りこんだ麵。
袋から出したときに立ち上がる香りに
いきなりのノックアウト!
ラーメンには必須のチャーシューは、ミラクルな「鯖チャーシュー」で!
スープは「サバ麺」の旨みをいかすために、チキンベースの塩味に決定。
それだけではない。
なんと「チャーシュー」も「サバ」で作ってしまった。
「鯖チャーシュー」を担当したのは、姉の智子さん。
なんてったって、焼津サバシスターズ。
できあがったのは単純な商品ではない。
味付けに使ったのは「トマト」である。
鯖チャーシュー。
トマトとハーブが旨みを引き立て、
しっとり、ふんわりした食感が魅力。
このまま食べても美味しい。
「サバに含まれるイノシン酸と、トマトのグルタミン酸の相乗効果でより美味しく」と、サバをトマトソースで煮込んだのだ。
さらに、鯖デリ開発で身に着けた智子さんならではの、巧みなハーブ使いで、さわやかに仕上げた。
鯖ラーメン。作ってみると、いちいちミラクル体験だ!
まず、麺を袋から出すと、「香ばしく豊かな」香りを放つ麺に驚き!
焼津 鯖ラーメン
2食セット(麵、スープ)で980円。
鯖チャーシューセット(1360円)もある。
特製濃縮スープは、そのままだとシンプルな塩味。
しかし、麺を入れると香りと旨みが溶け出して「どう考えてもサバ節入りでしょ!」としか思えない、際立った美味しさに!
その味わいはまろやかで、ひたすら「やさしい」。
サバ香るラーメンはどこかホッとする、まるで温泉につかっているかのようなおだやかさ。
「男性も女性も、そしてお年よりも、子どもも魚嫌いの人も食べていただける味わいを目指しました」という容子さんの言葉がうなすける味。
けれど、しっかりした旨みがあるので、麵をたぐるたび、「ああ、もうひと口!」と、猛烈な「後引き」ウェーブが押し寄せる!
そしてですよ。
例の鯖チャーシューをのせますと……。
焼津 鯖ラーメン。
麵、スープ、チャーシューが一体となったときの、「サバランスのよさ」は、
研究熱心なサバシスターズの研鑽の賜物!
あれ?
かじってみると、トマトを使っているのに「トマト感」控えめ。
みっしりコクのあるサバの旨みを引き立てて、後味にさわやかさを残すという、見事な「トマト使い」に感動!
そして、スープを飲むと……?
あれ?
あれあれ?
コクが増している!!
鯖チャーシューから出た旨みで、いっそう味わいが複雑化!
またもサバミラクルが!!
「おかげさまでリピーターのお客様が増えています。
男性のラーメンファンの方も多いですね」と容子さん。
ちなみに鯖ラーメン、カロリーは麵とスープで400Kcalギリ!
美味しくヘルシー。
食べるしかないでしょ!
そして、鯖ラーメンはこれからの季節、クールに味わっても絶品!
冷やし中華や、冷製パスタにしても美味しくいただける。
麵にサバが入っているからこそ可能なアレンジ!
鯖ラーメンを、冷製パスタ風にアレンジした「冷やし鯖ラーメン ラタトゥイユ風」。
ちなみに、「つけ麵」スタイルで食しても美味しい。
サバを知り尽くし、サバのさらなる可能性を追求してやまない焼津サバシスターズ「渾身の一杯」。
サバファンも、ラーメンファンも、ぜひお試しを!
創業は天保三年の「岩清」。
塩鯖、しめさば、鯖麹漬けなど
絶品の鯖グルメがそろう。
焼津 鯖ラーメンは通販、店舗で販売。
定期的に百貨店などの催事にも出店。
詳細はHPを。
https://www.iwasei.com/
池田陽子(いけだ ようこ)
サバファンの集い「鯖ナイト」や、日本中のサバ好きが集まる「鯖サミット」などの活動を担う「全さば連(全日本さば連合会)」広報担当/サバジェンヌとして活躍。本業は薬膳アテンダント/食文化ジャーナリスト。著書に『ゆる薬膳。』(日本文芸社)、『缶詰deゆる薬膳。』(宝島社)、『春夏秋冬ゆる薬膳。』(扶桑社)、「ゆる薬膳。」はじめたらするっと5kgヤセました!(青春出版社)、『サバが好き!』(山と渓谷社)など。
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