人工舌『味覚センサーレオ』が選ぶ“人間をダメするような美味しさ”を提案したレシピ本『悪魔の食べ合わせレシピ』(鈴木隆一著、講談社)が話題です。まさに、食べ始めたら止まらない、脳を狂わすような「88のレシピ」を収録。その中から3つを厳選し、3回に分けて『おとなの週末Web』で特別公開します。第3回は、ひと手間でグッとおいしく、食材のポテンシャルを引き上げる簡単調理の例として、「すき焼き+レモン」をオススメします。
画像ギャラリーおいしさを可視化 人口舌『味覚センサーレオ』が科学的にはじきだした驚きの味
食べ物や飲み物を、多くの日本人に味わって点数評価してもらい、アンケート結果をAI(人工知能)に学習させたのが、人工舌『味覚センサーレオ』。
「おいしい」は国や地域でも嗜好が異なりますが、『味覚センサー』は日本人の平均的な味覚を基準に作られており、食品、飲料の商品開発や支援など「味」に関する企業向けビジネスで幅広く活躍中です。
味覚分析は、5基本味(甘味・塩味・酸味・苦味・旨味)で行いますが、すべての味が強い正五角形は「おいしくない」と判断されることもわかりました。
なぜなら、4つ以上の味が強い場合、甘くてしょっぱくて酸っぱくて苦い……と、どの味も感じにくくなるためです。本書では、日頃は食べ慣れていないけれど、実はおいしい食べ合わせを『味覚センサーレオ』によってはじき出し、提案します。
すき焼き+レモン
ちょっといい肉が手に入ったから今日はすき焼きにしよう!
こんなシーンでのサシの入った霜ふり肉はおいしいのですが、脂もたっぷり。せっかくのごちそうなのに胃がもたれて食べたいけれど食べられない。そんな悲しい胃弱なあなたに朗報!意外なアイテムを投入です!
それはレモン。皮をよく洗い、5mm程度の輪切りにして2切れほど鍋に入れますが、入れるタイミングは最後、煮込むのはNGです。
味変アイテムとして、溶き卵にレモンを入れるのもあり。レモンの酸味と香りで、いっとき口中に清涼感も。
同じくさっぱり感を足すために、溶き卵に細かい角切りのトマトを入れるのもおすすめです。卵の旨味にトマトの食感、酸味や旨味も加算され、牛肉の旨味がピークに達します。新時代のすき焼きの登場です。
感知可能な5つの基本味
人間の舌が感知できる5つの基本味とは、甘味・塩味・酸味・苦味・旨味を指します。(本書では、すべて漢字表記します)
よく「おいしさ」を「旨味がある」と表現する人がいますが、味覚センサー的には“旨味=おいしさ”ではありません。旨味は他の味覚同様に、身体に受容体が存在する味覚の1つです。実際問題、旨味成分だけを摂取してもおいしくはありません。
旨味はおいしさを作る要素ではありますが、「おいしさ」には味の組み合わせが重要。
ちなみに、旨味は甘味と構造が似ていて、少しの塩味を加えると旨味が強調されます。例えるなら、スイカに塩をかけると甘味がより強く感じるのと同じです。
肉や野菜など、すべての食材には旨味が含まれますが、おいしく食べるにはプラス塩味が欠かせません。
鈴木隆一
すずき・りゅういち。AISSY株式会社・代表取締役社長と慶應義塾大学・特任講師を兼務。慶應義塾大学院理工学研究科修士課程修了後、AISSY株式会社を設立。「味覚センサーレオ」を慶大と共同開発。味覚の受託分析や食べ物の相性研究を実施している。著書に『味覚力を鍛えれば病気にならない』(講談社)などがある。「味博士の研究所」を運営している。
twitterは@ajihakase
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