意外?20周年の「オフィスグリコ」は利用者の7割が男性 「お菓子の箱きたよ~!」強面男性も童心に帰るその理由とは

緊急事態宣言が明け、企業によっては再びオフィスへの出社に切り替える動きが出ています。置き菓子サービスの代名詞「オフィスグリコ」も人流回帰で少しずつ売上は回復傾向にあるそうです。2002年の本格稼働から今年で20周年。オフィスワーカーを癒してきたサービスの利用者の7割は意外(?)にも男性という結果が分かりました。

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オフィスから聞こえてきた拍手と歓声

「対面でお菓子を買う事に抵抗がある男性の利用が多いのではないでしょうか」

オフィスグリコのサービス立ち上げ時(当時は江崎グリコが運営)から携わっているグリコチャネルクリエイト株式会社オフィスグリコ事業部部長の小寺(こてら)貴也さんは、男性に人気の理由をこう推測します。

小寺さんが、かつて首都圏エリアのマネージャーだったころの印象的なエピソードを明かしてくれました。

オフィスグリコ事業部部長の小寺(こてら)貴也さん

「東京のある企業で、オフィスグリコの納品が決まり、初めてリフレッシュボックス(グリコのお菓子が入ったケース)を納品した時のことです。ダンディで強面(こわもて)な男性が対応してくださったのですが、『オフィスグリコです。これからもよろしくお願いします』とお渡ししたところ、その男性は無言で受取られて、オフィスへ戻っていかれました」

エレベーターホールへ向かって帰ろうとしたときのことです。

オフィスの方から先ほどの男性と思しき声で『お菓子の箱きたよ~!』という声と周りから拍手と歓声が聞こえてきたんです」

その場面に遭遇した小寺さんは「あの強面でダンディな男性を喜ばせてしまうお菓子の持つ力の大きさを改めて知りました」と振り返ります。

お菓子の2割はオフィスで食べられていた!

講談社ビーシーの社内に置かれたオフィスグリコ

事業のスタートは、1997年に『お菓子をどこで食べているか?』というリサーチを江崎グリコで行ったことがきっかけです。

「『自宅』という回答が70%だったのですが、『オフィス』という回答が20%を占めていたことにビジネスチャンスを感じました」(小寺さん)。当時はまだ「オフィスグリコ」という名称はありませんでしたが、この調査結果を受けてオフィスでの販売事業を具体的に検討するようになったと言います。

最初に試験的に行ったのは訪問販売形式でした。駅弁販売のスタイルをイメージしていたのですが、実際に試してみると利用者さんがお菓子を望まれる時間は人それぞれであることが分かり、訪問販売は現実的ではありませんでした。そこから今のようなボックス形式になり、本格展開していきます。

「野菜の無人販売をモデルにして、いつでも手に取れるような仕組みにして納品、補充は宅配便のようにすれば良いんだ、となりました」

100円を投入するカエル型の貯金箱。疲れた体が蘇る、生き返る(カエル)という思いが込められている

1999年に大阪市の北区に第1号の設置・補充拠点となる販売センターを開設しています。しかし、グリコというネームバリューがあるにも関わらずその船出は厳しいものだったようです。

「当初は営業活動をしても門前払いという事も珍しくなかったです。オフィスグリコというサービス名もない時でしたので『本当にグリコさんなの?』とも言われましたね

さらに当時は今のように職場でお菓子を食べるという文化や習慣は少ない時代。

「訪問先からは『なぜ職場で菓子なんだ。(社員は)遊びに来ているんじゃない』というお声もいただきました。飛び込み営業して、訪問先からつまみ出された事もありました(笑)」(小寺さん)。

それでもめげずに地道な営業を続け、2002年ごろには事業拡大の手ごたえを得て、東京進出を果たしました。以降、愛知、福岡へと拠点を広げ、現在は全国61の販売センターからサービスを提供しています。

人気のお菓子は「ビスコ」「フレンドベーカリー」「コメッコ」 いずれも幅広い世代に愛されるロングセラー

ビスコ(提供写真)
ビスコ 香ばしアーモンド(提供写真)
ビスコ 焼きショコラ(提供写真)
ビスコ 発酵バター仕立て(提供写真)

オフィスグリコにラインナップされている人気商品のひとつに、江崎グリコを代表するビスケット菓子の「ビスコ」があります。

発売開始は1933年で、当時の日本人の栄養改善を目指し売り出されたという経緯があります。88年の歴史で、その時代に求めに応じて栄養素を配合したり、最近ではフレーバーを増やしたりと改良が重ねられ、多くの人からも支持を得ています。

「ビスコがオフィスグリコでも売れている背景には、多くの世代の男性が子供時代を懐かしんで購入していることがあるようです」(小寺さん)。小寺さんがリフレッシュボックスを渡した男性もそんな一人だったのかもしれません。

ビスコの他ではビスケット菓子の「フレンドベーカリー」、お米でできた生地を薄くチップス状に軽く香ばしく焼き上げたライススナック「コメッコ」(いずれも江崎グリコ)が人気。フレンドベーカリーは1987年、コメッコは1975年の誕生。この2品も大人たちの心をくすぐるロングセラーです。

フレンドベーカリー チョコレートビスケット(提供写真)
フレンドベーカリー ココア&チョコチップ(提供写真)
コメッコ ホタテ味(提供写真)
コメッコ のりわさび味(提供写真)

ちなみに「オフィスグリコ」というサービス名ですが、商品ラインナップはグリコのお菓子だけではありません。

「当初はグリコのお菓子だけで商品展開していましたが、グリコのお菓子だけでは網羅できないジャンルもありますので、他社さんにもお声がけさせていただいて構成しています。割合としては自社と他社さんで5:5くらいでしょうか。傾向としては、デスクワークが多い所、特にコールセンターのようなオフィスでは、ガムのようなよく噛むようなお菓子が売れていますね」(小寺さん)

緊急事態宣言が明け、企業によっては再びオフィスへの出社に切り替える動きが出ています。それに伴い、営業時間を延ばし酒類提供を再開する飲食店も増え、外食産業の経済も少しずつ回りはじめています。中には、接待の機会が復活している職場もあるかと思います。

オフィス勤務が再開した方は、久々の働き方に少々戸惑ってしまうかもしれませんが、休憩時間で上手に活用しながら会社での日常にも慣れていきたいところです。リフレッシュの仕方は人それぞれですが、お菓子の補給を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。

様々なお菓子が詰まっていて、どれにしようかと選ぶのも楽しいオフィスグリコ。お気に入りのお菓子を自分のご褒美に、今日の仕事を頑張ってみるというのもやりがいになるかもしれません。

文・写真/山本孟毅

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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