答えは… 答えは「てしかが」です。町名です。 北海道東部に位置する弟子屈町(ちょう)は、札幌中心部から約340km。車の場合、高速道路を使って約5時間。道中、広大な十勝平野の中を進む爽快な気分を味わえます。 一車線の区間…
画像ギャラリー民間調査会社による47都道府県魅力度ランキングで13年連続1位に輝く「北海道」。
観光地として圧倒的な人気を誇り、豊富な海の幸や新鮮な牛乳やチーズなどの酪農製品、札幌ラーメンなどのご当地グルメ、雄大な自然、スキーなどのアウトドア…とにかく”非日常的“な魅力がいっぱいです。
そんな北海道には、漢字の一般的な読み方から想像するのが難しい地名がいくつもあります。
九州の2倍強という広い大地ゆえ、馴染みのないエリアだと道産子でも読めないものも少なくありません。「おとなの週末Web」では北海道の難読地名を取り上げながらその周辺の観光スポットやグルメも紹介していきます。読み方を学びながら束の間の旅気分を味わってみませんか?
今回は、道東に位置する「弟子屈」。何と読むでしょう?
答えは…
答えは「てしかが」です。町名です。
北海道東部に位置する弟子屈町(ちょう)は、札幌中心部から約340km。車の場合、高速道路を使って約5時間。道中、広大な十勝平野の中を進む爽快な気分を味わえます。
一車線の区間もあり、冬期間は路面の凍結や視界が悪くなったりするのでもう少し時間がかかりますが、一面の銀世界を楽しむこともできるので、どの季節もおすすめです。
弟子屈町には、大自然を感じる見どころがたくさんあります。
町内には2つの大きな湖があります。一つは「屈斜路湖(くっしゃろこ)」、もう一つは「摩周湖(ましゅうこ)」です。
どちらも阿寒(あかん)国立公園内に位置しているカルデラ湖です。
カルデラとは、火山が噴火してできた凹地のことで、そこに水が溜まったものがカルデラ湖です。
国内最大のカルデラ湖の屈斜路湖
屈斜路湖は国内最大のカルデラ湖。その名称はアイヌ語で「喉口(のどぐち)」を意味する「クッチャロ」からきているといわれ、キャンプやカヌーなどを楽しめる夏はもちろんなのですが、冬もぜひ訪れてみてください。
屈斜路湖を一望できる弟子屈町と美幌町(びほろちょう)の境にある国道243号の峠「美幌峠」から、冬は真っ白に凍った湖面が見られるのです。
冬の間は白鳥の飛来地にもなっており、湖畔の「砂湯」には多くの白鳥が。湖岸から温泉が湧き出ていて凍らないので、まるで湯舟に浸かってくつろいでいるような姿も。人に慣れているようで、近くまで寄って撮影できました。白鳥、意外と大きくてびっくりします!
霧でお馴染みの摩周湖のジンクス 夏の晴れた時に見ると…
摩周湖は世界でも有数の透明度を誇り、湖の深い青は「摩周ブルー」とも呼ばれ、訪れた人を幻想的な世界に引き込んでくれます。
晴れた日には青空が湖面に映り込んで、より青さを感じることも。湖をぐるっと囲むように数か所の展望台があり、違った角度から景色を楽しむことができます。中でも摩周第一展望台は一年を通して摩周湖の絶景を望むことができ、多くの観光客が訪れています。
四季を通じてさまざまな顔を見せてくれる摩周湖は周辺の地形環境から霧が発生しやすく、「霧の摩周湖」とも呼ばれ、特に夏にその神秘的な光景を見ることができます。
昔、夏に旅行で訪れた際、晴れて美しい摩周湖を見ることができたのですが、ツアーガイドさんが「夏に晴れた摩周湖を見ると婚期が遅れるそうなのよ」と笑いながら教えてくれました。そんな都市伝説が生まれるくらい、霧が多いということなのでしょうね。
川湯温泉と硫黄山とご当地グルメ
この2つの湖の間に位置するのが道東を代表する「川湯温泉」です。強酸性のお湯で、美肌の湯としても知られています。ゆっくりお湯につかるのも良いのですが、各所に足湯があり、長距離ドライブのときなど、硫黄の香りを感じながら短時間でリラックスできるので活用しています。
その硫黄の香りの源が、川湯温泉の南側にそびえる、標高512mの硫黄山(いおうざん)。
今なお火山活動を続け、間近で大地の鼓動を感じることができます。6月~7月には山麓に北海道の固有種「エゾイソツツジ」が咲き誇り、白い花の群生は見事です。
大学生のとき、同級生が弟子屈町に帰省していたので、夏休みに一人で遊びに行ったことがあります。町を拠点に友人の車で雄大な釧路湿原をドライブしたり、網走監獄に行ったりと、周辺の自然アクティビティや観光地を満喫したのを今でも懐かしく思い出します。
またご当地グルメも忘れてはいけません。人気が高いのは摩周湖の水をスープに使った「弟子屈ラーメン」や「摩周そば」です。中でも、寒暖差と夏の冷涼な気候を生かしてつくられた蕎麦は、薄緑色で風味豊かな一品。町内の各店舗で食べることができます。
大自然を感じながら、その自然が生んだグルメを現地で楽しんでみてはいかがでしょうか。
文・写真/森順子
森 順子
元テレビ北海道アナウンサー。現在は教育サービスの会社を運営しながら地理の楽しさを普及する活動も行っている。地理女net代表/札幌国際大学短期大学部講師/札幌観光大使