商品名は鶴の一声で急遽「月見バーガー」に なるほど、発売が秋に決まったので、その時に卵=月見のイメージで「月見バーガー」の名前が与えられたのか……と思いきや実はこれも違う。命名の背景はさらに意外なものだった。 「こんなふ…
画像ギャラリー“マックの月見”はもともと月見じゃなかった!? 秋の風物詩となった個性派バーガーが生まれた意外なきっかけとは。
マクドナルドは9月7日に「月見バーガー」を発売、全8種類の「月見ファミリー」を期間限定で順次発売する。
このほかケンタッキーでは「とろ~り月見フィレサンド」など、ロッテリアは「半熟月見絶品チーズバーガー」などを発売。さらに今年はモスバーガーも9月14日から初めて「月見フォカッチャ」を発売予定と、“月見系バーガー”は飛ぶ鳥を落とす勢いだ。
秋の風物詩となった月見バーガーだが、その端緒となった“マックの月見”はそもそもなぜ卵を使ったバーガーなのか? 月見というネーミングはどのように生まれたのか? 日本マクドナルドに取材した。中秋の名月に知る、月見バーガーの意外な裏側とは。
1996年以降毎年登場!2022年の「月見バーガー」は全8種に進化
マクドナルドの月見バーガーが誕生したのは1991年。31年前に遡る。
日本マクドナルド広報部によると、その後1996年以降は毎年秋に提供する形で定着。2022年は定番の「月見バーガー」(360円)を筆頭に全8種類におよぶ月見ファミリーを期間限定発売する。
なかでも今年のトピックは新登場の「こく旨 すき焼き月見」(440円)。こちらは、月見バーガーの味わいに、牛肉と野菜の旨味を感じる甘辛いすき焼きフィリングを加え、ふわふわ食感の新バンズでサンドした、ビーフのおいしさを堪能できる一品だという。
「月見だから卵」で商品化したわけじゃない? 開発当初の意外な目的
そんな月見バーガーだが、そもそもなぜ「月見」というネーミングになったのか? そして、なぜ卵なのか? その理由は意外と知られていないのではないだろうか。そこで編集部では真相を知るべく、日本マクドナルド広報部へ取材。その理由について次のような回答が返ってきた。
「開発当時、月見バーガーを秋の代名詞にしていこうという考えはまったくありませんでした。“バーガーに入っているとうれしい食材ランキング”上位のたまごを使ったメニューを作るという目的で、商品開発がスタートしたのです。
ではどうして秋の販売に決まったのか。その理由の一つに“たまごの需要と供給”が関わっています。たとえば年末年始はクリスマスやおせちの具材として需要が高まり、多くのたまごを安定的に手に入れることが困難になります。
より多くのお客様においしい商品をお届けしたいという想いから、1年の中ではたまごを比較的安定して仕入れることができる秋の販売を決めたのです」(日本マクドナルド広報部)
なんと、当初は「月見」というネーミングも、秋に発売する構想もなかったという。あくまで人気がある卵を使ったメニューを作ることが出発点だったのだ。
商品名は鶴の一声で急遽「月見バーガー」に
なるほど、発売が秋に決まったので、その時に卵=月見のイメージで「月見バーガー」の名前が与えられたのか……と思いきや実はこれも違う。命名の背景はさらに意外なものだった。
「こんなふうに販売時期は決まったのですが、“秋バーガー”としての運命が決定づけられたのは商品が完成した段階での試食会でした。
当初、メニュー開発のメンバーはこの新バーガーを「ベーコンチーズエッグバーガー」というネーミングで販売したいと考えていました。
しかし、試食会で当時の社長、藤田 田は新商品のバーガーをひとくち食べるとしばらく黙り込み、そして突然こう叫んだのです。
『これは月見バーガーや!』
まんまるなたまごから「お月見」を連想し、しかも秋の販売ということで藤田は、“月見”というネーミングを主張しました」(同)
卵を訴求した新商品「ベーコンチーズエッグバーガー」は、まさに鶴の一声で「月見バーガー」に。今に続く秋の風物詩の運命を決定づけた出来事だった。
ただ、当時バーガーとしてあまりに和風な名前だったため、社員のなかには売れるか心配になった人もいたのだとか。
そんな不安をよそに月見バーガーはたちまちヒット商品に。昔から馴染み深い“月見”という名前とたまごを月に見立てたキャッチーな見た目、たまごのまろやかなおいしさが人々の心をくすぐり、晴れてヒット商品の仲間入りを果たしたという。
◆ ◆ ◆
データをもとにした商品開発と感性的なひらめき――ふたつの相反する要素が重ならなければ、このあと数多くの月見バーガーたちが生まれることはなかっただろう。
2022年9月10日、今宵は中秋の名月。
秋の夜長にそんな“美味しい偶然”を思い出しつつ秋の風物詩を頬張れば、いつもよりちょっと趣深い味わいを感じられるかもしれない。
取材・文/高瀬雄士(おとなの週末Web編集部)、写真提供/日本マクドナルド
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