プチ旅気分で埼玉うどんを楽しむ 池袋から高崎線快速に乗って約1時間。日本一暑い街(?)で有名な熊谷駅に降り立った。「なんだ、意外と近いし、都会なんですね」と編集・戎。“意外と”ってどういうことよ? そんな中から出合ったの…
画像ギャラリー日本有数の小麦の産地かつ農林水産省の統計等で全国2位のうどん生産量を誇る埼玉県(全国1位は“うどん県”の香川県)。それもあってか県内には20種類以上のご当地うどんが存在しています。その一部を食べてきました。東京から車や電車で約1時間、プチ旅気分でご堪能あれ!
『めん工房 久良一(くらいち)』 @鴻巣(川幅うどん)
”とぅるん”と”もっちり”冷と温で表情が変わるうどんの食感
まるで一反木綿のような姿に圧倒される。その幅、およそ8センチ!これが鴻巣市の西の境、吉見町との間を流れる荒川の川幅が2008年に日本一に認定されたことにより、翌年誕生した「川幅うどん」だ。
冷製川幅うどん 720円
市内にはこのうどんを出す店が10軒ほどあり、元祖がこちら。鴻巣産を中心に3種類の小麦粉をブレンドして手打ちする麺は、ワンタンの皮のように“とぅるん”と口に飛び込んできて、シコシコとしたコシが歯にも快感だ。
また「みそ煮込みうどん」などの温メニューに使う麺は、やや厚めに打って、もっちりとした歯応えと小麦の強い香りが素朴な風情を生んでいる。
[住所]埼玉県鴻巣市人形4-1-36
[電話]048-542-5542
[営業時間]11時半〜15時(14時半LO)、17時半〜20時(19時半LO)
[休日]木、日の夜
[交通]JR高崎線鴻巣駅東口から徒歩19分
『水織(みおり)うどん』 @北本(トマトカレーうどん)
トマトカレー ライスもいいけどうどんもハマる 旨さに感服
あまり知られていないけど、北本市はトマトの名産地。そこで開発されたのが「北本トマトカレー」なのだ。しかも2014年には全国ご当地カレーのグランプリも受賞し、埼玉B級グルメ界の雄として今も君臨。市内にある15軒ほどでメニューに載せているそんなカレーをうどんにアレンジしたのが地元で人気のこちらのお店。
元祖トマトカレーうどん(並) 750円
豚のミンチにトマトがたっぷり入り、炒めた玉ねぎの甘みを効かせたルウは、子供でも食べられるよう、スパイス自体の香りや辛さは控え目。もっちりとしたコシに仕上げた自家製うどんと合わせると、どこかミートソース・スパゲッティを思わせる懐かしい味わいでぐっとくる。
[住所]埼玉県北本市本宿4-33-3
[電話]048-590-1122
[営業時間]10時半〜15時半(15時LO)、17時〜22時(21時半LO)
[休日]水(祝は翌木休)
[交通]JR高崎線北本駅東口から徒歩14分
『手打ちうどん こんこ屋』 @県広域(武蔵野うどん)
地粉で打った力強いコシ オリジナルのつけ汁も絶品!
まずはうどんだけ食べてほしい。茶色みを帯びたそれは、つるっとした舌触りも心地良く、どっしりとしたコシのある食感から噛むほどに香ばしさが広がっていく。手揉みで仕上げた縮れが唇に当たる感覚も気持ちいい。
肉汁うどん 680円
県北産の地粉が8割で、残りの2割は北海道産や全粒粉などを緻密に組み合わせ、味を追求している。
この麺に合わせたつけ汁も多彩で、武蔵野うどんでは定番の豚バラがたっぷり入る「肉汁」のほか、つけ麺風の「魚介豚骨」や背脂でコクを持たせた「濃厚肉汁」など、オリジナルも用意。これらから2種類選べる「Wスープうどん」(1080円)で堪能しよう。
[住所]埼玉県熊谷市肥塚1392-8
[電話]048-598-8829
[営業時間]11時〜15時、17時〜21時(夜は金・土・日のみ)
[休日]無休
[交通]JR高崎線ほか熊谷駅北口から徒歩37分
『手打ちうどん 和(かず)』 @志木(舟運(しゅううん)いろはうどん)
新顔のご当地うどん 色鮮やかで食感多彩なつけ汁で味わう
定年退職をきっかけにうどんの道へと踏み出したのが店主の朝倉和彦さん。川島町にある武蔵野うどんの名店「庄司」で学んだというその麺は、修業先ゆずりのコシの強さの上に、麺肌はまるで絹のようになめらかだ。
いろは汁うどん 1045円
この麺で食す昨年誕生したご当地グルメが「舟運いろはうどん」。新河岸川の舟運で栄えた街の風景を表現し、航行の目印となった神社の赤稲荷や水車をイメージした食材を使うのが決まり。
こちらでは甘めに炊いた油揚げと赤酢に漬けたレンコンなどを盛り込んでおり、甘みや酸味、多彩な食感や香りがグラデーションのように広がって、最後まで箸が止まらない!
[住所]埼玉県志木市本町6-11-12
[電話]048-423-5632
[営業時間]11時〜14時半LO ※うどんが無くなり次第終了
[休日]週2日不定休
[交通]東武東上線志木駅東口から徒歩9分
プチ旅気分で埼玉うどんを楽しむ
池袋から高崎線快速に乗って約1時間。日本一暑い街(?)で有名な熊谷駅に降り立った。「なんだ、意外と近いし、都会なんですね」と編集・戎。“意外と”ってどういうことよ?
そんな中から出合ったのが『こんこ屋』。埼玉では定番の「武蔵野うどん」なのだが、麺には何とも言えない香ばしさがある。しかもツユも魚介豚骨のつけ麺風や、まぜそば風のメニューもあったりして、武蔵野うどんとしての実力が十分な上に、その進化もひしひしと感じさせてもらった。
『手打ちうどん こんこ屋』熊谷まぜうどん 750円
この“武蔵野”以外にも、埼玉にはご当地うどんがわんさかあって、その数は細かく分類すると20種類以上とも。多くが街おこし的に開発されたもので、熊谷から東京方面へ少し戻った鴻巣は「川幅うどん」だ。
『めん工房 久良一(くらいち)』川幅みそ煮込みうどん 1000円
いちばん最初にこのうどんを始めた店が『久良一(くらいち)』。麺というか“面”のような幅広のうどんは、ピロピロとした口当たりがクセになる。
鴻巣の隣が北本。市が推しているのが「北本トマトカレー」。レトルトも販売されていて、埼玉では割とメジャーなご当地グルメなのだ。『水織(みお)りうどん』では、それをうどんにぶっかけた「トマトカレーうどん」も食べられる。
『水織(みおり)うどん』合いがけ北本トマトカレー 730円
以上3軒はすべて高崎線。打って変わって東武東上線が走る志木市で、昨年誕生したニューカマーが「舟運(しゅううん)いろはうどん」。その取り組みに、市内で人気の武蔵野うどん店『和(かず)』も賛同し、新メニューとして打ち出した。
旦那さんが打つ、太く力強いうどんも見事ながら、女将さんが五味五色を意識して考案したつけ汁も絶品だ。地域振興の部分は置いといても、どの店もうどん自体のクオリティがとにかく高い。すぐに行ける“東のうどん県”埼玉をプチ旅気分で食べ歩いてみては?
撮影/小島昇、取材/菜々山いく子
※2022年12月号発売時点の情報です。
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