ティモンディ前田裕太の“おとな”入門

【ティモンディ前田裕太の“おとな”入門】第24回 「勉強」編(5)飼い猫から学ぶ固定観念にとらわれない生き方

ティモンディ前田裕太

固定観念を捨てる第一歩 これは良くない。飼い主としてではなく、人間として良い姿勢とは言えない。 一度、頭でっかちな自分の価値観を捨てるべきだ。 猫と同じ気持ちになって、湯船の水を飲んでみようではないか。 そう思い、思い切…

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お笑いコンビ「ティモンディ」前田裕太さんの、「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げた連載コラム。30代に突入した前田さんが「大人」を目指して過ごす日々を、食・趣味・仕事など様々な視点で綴ってくださいます。連載は、第1・3木曜日に更新です。「(理想の)大人ってなんだろう?」を一緒に考えながら、前田さんの成長を見守りましょう!
人間には思いもよらない行動をとるのが、動物ですよね。前田さんも、人間には信じられない飼い猫の行動を見て、自由な価値観に感服し、驚きの行動に出ます…!

欲求のままに生きる猫

猫は自由だ。

我が根城には2匹の愛猫が起居していて日々家主の心配を気にかけることもなく自由奔放に生きているのだけれど、この気ままに生きている姿勢は、現代をサヴァイブする人間としては見習わなければならない点がいくつもある。

例えば、私が湯船に浸かり風呂場で籠城していると、ドアの前でニャーニャーと責め立てて、彼らは風呂場への侵入を試みようとしてくる。

行ってみたいなあ、と思った場所があったとして、果たして他人に直訴できるだろうか。

正直、私はそこまで自分の欲求に正直になれない。不満に思っているくせに、そこまで主張できないことすらあるからタチが悪い。

どこか行きたい場所があっても「○○日にお休みもらってもいいですか」と言い出せない私からすれば、風呂場へ入らせろ!と声を大にして主張できるその姿勢には勉強させられる。

お風呂の水は飲めないもの?

長時間にわたる彼らの鳴き声に根負けして、風呂場のドアを開けると“ねこ、まっしぐら”とはこの事と言えるスピードで湯船に顔を突っ込み、風呂の水をガブガブ飲みはじめる。

コラ!やめなさい!と咄嗟に注意するものの、ふと冷静になり考えてみる。

何故、湯船の水を飲むのはやめた方がいいのだろうか。

きちんと清潔にバズタブは掃除しているし、雑菌が繁殖しないように水回りは小まめに洗浄したりしている。

出てくるお湯も、水道から出てきたものだし、飲んではいけない、というほど危険なものではないではないか。

当然、私が入浴しているので、水道水よりは飲水に適してはいないけれど、私は私で身体を洗ってから入浴しているので、寿命が縮むような毒水になっている訳でもない。少量の出汁が出ているかもしれないけれど。

ただ勝手に、固定観念で、湯船の水はなんだか飲めるものではない、飲むものではない、と勘違いしているのだ。

実際、こう目の前で美味しそうに湯船の水をガブガブ飲んでいる姿を見ると、もしかすると水道水よりも湯船の水の方が美味しいのではないかと錯覚してくる。

いや、最早錯覚ではなくて、自分が固定観念に支配されているだけで、本当に湯船の水の方が美味しいのではないか。

私は自分で自分の当たり前を他人に押し付け、更には、湯船の水を自分以外の存在が飲むという行為すら否定しようとしている。

固定観念を捨てる第一歩

これは良くない。飼い主としてではなく、人間として良い姿勢とは言えない。

一度、頭でっかちな自分の価値観を捨てるべきだ。

猫と同じ気持ちになって、湯船の水を飲んでみようではないか。

そう思い、思い切って湯船の中の水を、しっかりと口に含んでみた。

ぬるい。

普段、熱々のコーヒーを飲んでいるからか、40℃のお湯はぬるく感じる。

元は水道水なので、特段何か臭かったりする訳でもないのだけれど、なんだか身体が受け付けない。

決して美味しいとは思えないし。

頑張って飲み込もうとしてみても、喉を通らない。

これは、固定観念なのだ。

これは湯船の水だ、と知らない状態でこの水がコップに注がれていれば、きっと何も気にせずに飲み干せるだろう。

それを湯船から直接口を開けて摂取すると、ここまで拒絶反応が出てしまうものか。

なんだか気持ち悪いとまで思う。

結局、水は喉を通らず、ぺえと排水溝に吐き出してしまった。

その横で、まだ猫はガブガブと水を飲んでいる。
そんなものも飲めないのか、と言わんばかりの姿勢だ。

生き物として逞しいのはどちらか、と聞かれたら、間違いなく彼らだろう。

悔しい。

はやく凝り固まった自分の狭い視野を脱して、もっと器の大きい大人に、ひいては湯船の水を飲めるくらい固定観念を捨てられるような人間になりたい。

固定概念のせいで、芸人としての自分の完成形を枠にはめて、自分自身で自分の可能性を潰してしまわないようにしたいと思う。

まずはその第一歩として、私が嫌悪を感じる毎日ウェイウェイ飲み会をして能天気に毎日過ごしている大学生や、無駄に高い寿司や焼き肉の写真をあげている謎のインスタグラマーに対して、もう少し寛容な心でいれるようになろうと思う。

前田裕太(まえだ ゆうた)
1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。愛媛県の名門、済美高校野球部の同期である高岸宏行とのお笑いコンビ「ティモンディ」のツッコミ担当。趣味はサッカー観戦、読書。テレビ番組で画力を披露したり、複数メディアでコラムを執筆するなど、マルチな活動で注目を浴びている。

ティモンディ
高岸宏行・前田裕太によるお笑いコンビ。コンビ結成は2015年、グレープカンパニー所属。高岸のポジティブなキャラクターや、二人の野球経験と身体能力などがバラエティ番組で引っ張りだこに。コンビの野球経験をいかしたYouTubeチャンネル『ティモンディチャンネル』の登録者数は約28万人。

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