大根の花は「白い菜の花」 属は異なりますが、大根もアブラナ科です(アブラナ科ダイコン属)。アブラナ属ではないため、大根の花は菜の花ではなく、色も黄色ではなく白です。しかし花の形状が似ているところから、「白い菜の花」と呼ば…
画像ギャラリー「おとなの週末Web」では、食に関するさまざまな話題をお届けしています。「『食』の三択コラム」では、食に関する様々な疑問に視線を向け、読者の知的好奇心に応えます。今回のテーマは「菜の花」です。
文:三井能力開発研究所・圓岡太治
「菜の花」は「アブラナ科アブラナ属」の花の総称
そよ吹く風も暖かみを増し、菜の花の咲き誇る季節となりました。菜の花の開花時期は、基本的には2月から5月で、桜と同じく南から北へと北上します。
ところで、菜の花はキャベツからも咲くというのはご存じでしょうか。収穫時期が過ぎた後、そのまま栽培していると、キャベツの真ん中から茎が伸び、たくさんの小さなつぼみをつけ、そこから菜の花が咲きます。通常見かける菜の花はアブラナまたはセイヨウアブラナで、多くの人が描くのはそれらのイメージだと思いますが、実は「菜の花」というのは特定の品種名ではなく、「アブラナ科アブラナ属」の花の総称です。アブラナ科アブラナ属の植物の中には、キャベツのように、野菜として日常的に食べられているものも少なからずあり、小松菜や野沢菜などの花も菜の花なのです。
さて、次の野菜のうち、1つだけ菜の花を咲かせないものがあります。それはどれでしょうか。
(1)白菜
(2)レタス
(3)ブロッコリー
まったく異なるキク科
答えは(2)のレタスです。
「白菜」と「ブロッコリー」は、キャベツと同じアブラナ科アブラナ属です。そのほかにもアブラナ科アブラナ属の野菜には、小松菜、水菜、高菜、カリフラワー、カブ、チンゲン菜、ザーサイ、カラシナ(辛子菜)などがあります。これらのアブラナ属の花は、黄色くて形状も似ているものが多く、ほぼすべて「菜の花」と呼ばれています。
一方、「レタス」は、キャベツや白菜と同じく結球(葉が重なり合って球状になること)する種類があり、見た目はキャベツに近いのですが、植物学上の分類では、まったく異なる「キク科」となります。そしてその花は、キクに似た淡い黄色の花です。
大根の花は「白い菜の花」
属は異なりますが、大根もアブラナ科です(アブラナ科ダイコン属)。アブラナ属ではないため、大根の花は菜の花ではなく、色も黄色ではなく白です。しかし花の形状が似ているところから、「白い菜の花」と呼ばれることもあります。
また、菜花(なばな)という言葉がありますが、これは菜の花とイコールではありません。菜の花はアブラナ科アブラナ属のすべての花のことですが、菜花は、アブラナ科アブラナ属のうち、花や葉茎を食用とするものを指します。具体的には、キャベツ、白菜、ナタネ、カブ、小松菜などの花となります。通常は春先に、花茎とつぼみを食用にする種類が、「菜花」として市場に流通します。
(参考)
[1] もっと知りたい葉物野菜(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2301/spe1_01.html