映画にとって料理や食べ物は大切な脇役。ときには「これは是非とも食べてみたい!」と思わせるものが登場する。今回は、そういうシズル感を刺激する映画をご紹介。なかにはレシピが公開されている作品もあるので、GWに作ってみることも出来る。今回はGW向け番外編。
画像ギャラリー映画にとって料理や食べ物は大切な脇役。ときには「これは是非とも食べてみたい!」と思わせるものが登場する。今回は、そういうシズル感を刺激する映画をご紹介。なかにはレシピが公開されている作品もあるので、GWに作ってみることも出来る。今回はGW向け番外編。
韓国はやっぱりチキンが大人気『エクストリーム・ジョブ』
今回は3本を選んでみた。まずは、お国柄なのかドラマも映画も食事シーンがやたらと多い韓国映画から『エクストリーム・ジョブ』をチョイス。
存続の危機に晒されるドジ続きの5人の麻薬捜査班が、起死回生の張り込みのため偽装チキン屋を開店。ところが、苦肉の策で作った“水源カルビ味チキン”が大ヒットしてしまい、本業よりもそっちが忙しくなるというアクションコメディだ。
韓国のチキンと言えば甘辛味付けのヤンニョムチキンが主流なのだが、こちらはタレ付きをオーダーした客のため急遽、焼肉のタレを使って作ったもの。もしかして簡単に再現できる?と思った人が多かったのか公開時にはそういう経験談がたくさんネットにアップされ、公式サイトでもレシピが公開されたほど。確かに、これはちょっと食べてみたくなる。
●エクストリーム・ジョブ(2019年/韓国/111分)
監督/イ・ビョンホン
出演/リュ・スンリョン、イ・ハニ、チン・ソンギュ
Blu-ray & DVD発売中:発売元:クロックワークス、販売元:TCエンタテインメント
捜査をするたびに警察に多大な被害を被らせてしまう麻薬班の5人。このままでは解体されてしまうと、最後の大きな賭けに出る。麻薬組織の大物を捕えるため、そのアジトの前で偽装チキン屋を開店。ところが、これが大ヒットしてしまい大忙しに!ハリウッドでのリメイクも決まっている大ヒット作。
大富豪が選んだトップシェフに危機が迫る『料理長(シェフ)殿、ご用心』
もう1本はヨーロッパの料理長が腕を揮う『料理長(シェフ)殿、ご用心』。
大富豪で超グルメのイギリス人が世界中から4人のトップシェフを召喚。バッキンガム宮殿の王室晩餐会で腕を奮わせる。ところがそのシェフがひとりずつ、得意料理を模した方法で殺されて行く。
アイヴァン&ナン・ライアンズのミステリ小説の映画化で、ローストが得意なシェフはオーブンでローストされ、ロブスター料理が得意のシェフは水槽でその死体が発見されるという具合。全編にユーモアと皮肉が利いていて、まさにスペシャル料理の味わい。さらに犯人とその意図が判明したときには「なるほど!」と膝を叩きたくなるはずだ。
ズラリと並んだ高級料理の監修を務めたのは3つ星シェフの故ポール・ボキューズ。料理にかけた予算は当時としては破格の18万ドルだったという。また、自前の肥満体で超グルメの紳士を演じたイギリス人役者ロバート・モーレイはその美味しそうな食べっぷりが公開当時話題となり、ハインツ・スープのCMに駆り出されたというから面白い。
●料理長(シェフ)殿、ご用心(1978年/米・伊・仏・独合作/112分)
監督/テッド・コッチェフ
出演/ジョージ・シーガル、ジャックリーン・ビセット、ロバート・モーレイ
Blu-ray & DVD発売中:発売元:映像文化社、販売元:orustaksoft
美食家で知られるイギリスの大富豪、マックス。医者からは食事を制限するよう厳しく注意されるが、そんなことお構いなしに今日も豪華料理に舌鼓。そんなとき、4人の名シェフを厳選して晩餐会を開くことになる。パティシエのナターシャもそのひとりに選ばれる。
奇をてらわない料理がなんともおいしそう『千と千尋の神隠し』
3本目は宮崎駿の『千と千尋の神隠し』に登場するオニギリ!
宮崎作品で描かれる料理は基本、ベーコンエッグやスパゲッティ等のシンプルなもの。にもかかわらずメチャクチャ美味しそうに見えるのはキャラクターたちが本当に美味しそうに食べるからだ。そういう演出にかけて宮崎駿は天下一品なのだが、そのなかでも印象深かったのが『~神隠し』のオニギリだろう。
異界に迷い込んだのみならず、ブタになってしまった両親を目にして途方に暮れる千尋は、異世界で唯一の理解者、ハクから差し出されたオニギリを食べる。最初はちょっとだけ、でも、美味しさに気づいてからはむしゃぶりつく。そして、大粒の涙を流し嗚咽しながら、今度は両手にオニギリを取ってまたむしゃぶりつく。
ただそれだけなのに、このオニギリの美味しそうなことと言ったら!
だからなのか同作のDVD発売時には特典として“ハクのおにぎりフィギュア”が付けられたほど。しかも、宮崎監督自らの手で握ったオニギリを原型にして再現したというから凄い。
『千と千尋の神隠し』はスタジオジブリ作品の興行収入ではトップの316憶円を誇る。映画を観たあと、ついコンビニでオニギリを買ってしまった人も多いはずだ。そういうのも映画を観るお楽しみなのは言うまでもない。
●千と千尋の神隠し(2001年/日本/124分)
監督、脚本、原作/宮崎駿
製作/鈴木敏夫
10歳の少女、荻野千尋が両親とともに迷い込んだのは八百万の神が暮らす異世界。両親は食堂で勝手に料理を食べてブタに変身。残された千尋は、謎の少年ハクと出会い、彼が務める油屋で働くことになる。
文/渡辺麻紀(わたなべまき):映画ライター。SF雑誌の編集を経てフリーに。雑誌は『SFマガジン』『アニメージュ』等、WEBは『ぴあ』『TVブロス』等に執筆中。
写真/『エクストリーム・ジョブ』TCエンタテインメント、『料理長(シェフ)殿、ご用心』 orustaksoft 、『千と千尋の神隠し』ジブリ
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