『前野原温泉 さやの湯処』で天然温泉×枯山水を満喫!【プロに学ぶ庭園の歩き方入門その3】

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前回(https://otonano-shumatsu.com/articles/372504)と前々回(https://otonano-shumatsu.com/articles/372330)ですっかりハマったオレ、「おとなの週末」ライター池田は、ついにイトウさんも未訪という素敵な日本庭園を発見。調子に乗って逆に紹介しちゃうことに。テーマは“湯と庭園”だったりするのだ。

【今回の水先案内人】「おにわさん」by カレンフジ(庭園情報メディア)イトウ マサトシさん

「おにわさん」by カレンフジ(庭園情報メディア)イトウ マサトシさん

2016年より日本全国の庭園を紹介しているウェブメディアの編集者。これまでに足を運んだ庭園は2000カ所以上。
[HP]https://oniwa.garden

『前野原温泉 さやの湯処』 @志村坂上 ノスタルジックな昭和の家屋から枯山水の庭園の四季をのぞみ 温泉に身を浸す

ついにイトウさんも未訪という素敵な日本庭園を発見。調子に乗って逆に紹介しちゃうことに。テーマは“湯と庭園”だったりするのだ。

『前野原温泉 さやの湯処』“京都を超える東京の庭”を目指して再生されたという枯山水の苔庭。建主の雅号から「柿天舎(してんしゃ)」と名付けられた食事処が特等席だ。源泉掛け流しの湯とともに身も心も癒される

池「実は僕、かねてから銭湯好きで、湯上りに昔からの銭湯にはよくある坪庭の縁で涼むのが好きなんです」

イ「ああ、それもいいですね」

池「で、見つけちゃったんです。板橋は志村坂上の『さやの湯処』。ここ素敵な天然温泉があるだけじゃなく、昔ながらの日本家屋と枯山水の庭園があってたまらんというか」

イ「ああ、そこ、僕も一度足を運びたいと思っていたところです!確か創業者の社長が終戦直後に建てた住宅と翌年造った庭園が、当時の面影を残したまま温泉施設の中にあるという……」

池「さすがお詳しい。平成17年に隣接した事務所移転の跡地に『さやの湯処』が新築されるんですが、その際に住宅と庭も整備・再生されてるんですね」

イ「で、お庭は枯山水庭園なんですって?」

池「東京で枯山水ってのがいいですよね。もともとあった樹木や石、堀は生かしたまま、なんでも小口基實さんという作庭家が再生されたそうです」

『前野原温泉 さやの湯処』“京都を超える東京の庭”を目指して再生されたという枯山水の苔庭。建主の雅号から「柿天舎(してんしゃ)」と名付けられた食事処が特等席だ。源泉掛け流しの湯とともに身も心も癒される

イ「小口さん!庭園の賞の受賞歴や本も出版されている、素敵な作庭家のひとりですね。お気に入りの庭が見つかったら作庭家に注目して庭を見るのもいいですよ。[おにわさん]でも、庭師から探せます」

池「苔や砂も印象的なんですが、もともと全国の銘石が集められているみたいで、それも素晴らしい。京都の鞍馬石やら愛媛の伊予石やら……」

イ「ほほう、石にも目がいくようになりましたか」

池「い、いやあ(照)。で、住宅は食事処に再生されているんですが、寄木や建具、ゆらぎのある昔のガラスなどが当時のまま。庭に大きく開けた座敷で、食事しながらのんびり眺める庭がいいんですね」

イ「源泉かけ流し、加水なしという温泉も、うぐいす色のきれいな湯でよさそうですよね?」

『前野原温泉 さやの湯処』うぐいす色の湯が溢れる露天風呂や薬草塩蒸風炉、貸切風呂(予約)などが揃う日帰り温泉。建主の住まいを再生した食事処ではこだわりの十割蕎麦や四季の味覚を味わいつつ、のんびりと庭を楽しめる

池「そこなんです!地下1500mからの新鮮な湯。庭は春の桜やツツジから秋の紅葉、冬の椿や雪景色まで季節や時間帯で表情が変わるので、湯上りにぼんやりノスタルジーを感じながら見たいなと」

イ「ぜひ(笑)。思い思い、自由に楽しめる懐の深さもお庭の魅力ですから」

『前野原温泉 さやの湯処』

[住所]東京都板橋区前野町3-41-1
[電話]03-5916-3826
[営業時間]9時〜24時(最終入館は〜23時)
[休日]無休
[交通]都営三田線志村坂上駅A2出口から徒歩8分

「おにわさん」に聞く ゆるりと楽しむ庭園めぐりのコツ

僕は「庭ってなんかいいな」っていう感覚、言語化できなくても、そういう感覚をまず大事にしたいなと思っています。その上で、庭園をより楽しむためのおすすめがふたつ。

ひとつ目は、ボランティアガイドを利用したり、施設の方にお話を聞いたりすること。たとえば手入れの仕方とか見どころを質問してみてください。所有者の方の思いが溢れるように出てきたりして、発見があったり、見方も広がります。

ふたつ目はゆっくり歩く。周囲を見渡しながらあえて倍の時間をかけるくらいのつもりで。そうすると「あの花何だろう?」とか「立派な石だな」とかいろんな要素が目に入ってきます。心も落ち着いてより五感で楽しめます。

また、何度も足を運ぶのもいいですね。季節ごとにそのときにしか見えない景色がありますし。今回文化財や石の話をしていますが、見るポイントを「水」にしても面白いです。

「東京の名湧水57選」で検索すれば湧水を利用したお庭も探せます。たとえば国分寺の『殿ケ谷戸庭園』などがおすすめ。武蔵野台地と関東平野の境目の崖線とそこから湧き出る水をデザインに生かしている。

好きな庭園ができたら庭師に注目するのもやはりよく、有名どころでは「七代目小川治兵衛」とか。

都内では麻布十番に近い『国際文化会館(旧岩崎邸)庭園』など、和のお庭がモダン建築や東京タワーを借景にしているのもとても魅力的です(談)

撮影/鵜澤昭彦、取材/池田一郎

2024年5月号

※2024年5月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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