江戸前で語られることも多く、東京名物的なうなぎ。しかし、埼玉、千葉、神奈川さらに山梨などにも名店は多い。東京の喧騒を離れ、ちょいと贅沢な日帰り旅で堪能したい名店をご紹介します。
画像ギャラリー江戸前で語られることも多く、東京名物的なうなぎ。しかし、埼玉、千葉、神奈川さらに山梨などにも名店は多い。土用の丑の日を前に、東京の喧騒を離れ、ちょいと贅沢な日帰り旅で堪能したい名店をご紹介します。
編集長・門脇オススメ!『Blowin’ in the Wind(ブローウィン イン ザ ウィンド)』 @山梨県・清里
緑に囲まれて食す名店仕込みの味
“風に吹かれて”。店名はボブ・ディランの名曲と同じだ。というのも、ここ旧名・樫山地区は風切の里として知られる場所。周囲には何もない大豆畑を見下ろす丘のてっぺんに暖簾を出してちょうど2年が経つ。
そもそもうなぎ屋を始めたきっかけは、職人・杉山さんとの偶然の出会いから。南千住の「尾花」で腕を磨いた彼が焼くうなぎは羽毛のように軽やかで、品良く仕上げたタレが身の甘みもコクも繊細に舌へと伝えてくれる。
樫山鰻ごはん 5995円
ふと耳を傾ければレコードから流れるアメリカ南部のルーツミュージック。窓に写る木々の眺めを楽しみながら、店主・三上さんが手作りするスイーツで食後をのんびりを過ごすのもいいだろう。五感すべてを満たしてくれるここでの時間は、日常をしばし忘れさせてくれる。
[住所]山梨県北杜市高根町清里2890-1
[電話]0551-45-6778
[営業時間]鰻11時~14時LO(売り切れ次第終了)、喫茶14時~17時半LO ※金・土の夜は予約のみ営業
[休日]月・火
[交通]JR小海線清里駅から車で約10分
編集・戎オススメ!『小川菊(おがきく)』 @埼玉県・越川
老舗の矜恃があらわれたひと目惚れする美しさ
料理の味はその見た目に宿るというけれど、フタを開けた瞬間、目に飛び込んできたうな重にひと目惚れしてしまった。以来、ずっとこの店推し。身の表面はキャラメリゼしたかのように艶めいていて、焼き目も均一な飴色をまとっている。
うな重(上) 4750円
この美しさからも、職人の腕のよさがしみじみと伝わってきた。そしてすぐさま立ち上ってくる紀州備長炭で炙った香気に、たまらない気持ちになりながら頬張ると、文化・文政年間の創業から200年以上にわたって一子相伝で受け継ぐという、やや甘めのタレが身の輪郭をはっきりと際立たせてくれている。
歴史の深さも味も、うなぎ処として知られる川越でも随一だ。さらに大正初期に建てられた木造3階建ての店は老舗の風格に満ちていて、この風情もご馳走なのだ。
[住所]埼玉県川越市仲町3-22
[電話]049-222-0034
[営業時間]11時~14時、16時半~19時半(19時LO)
[休日]木(祝除く)、不定休あり
[交通]西武新宿線本川越駅東口から徒歩10分、東武東上線川越市駅から徒歩11分
ライター・菜々山オススメ!『満る岡』 @埼玉県・行田
特大うなぎの迫力に圧倒される
ここ行田は『のぼうの城』の舞台となった城下町。店のすぐ横を流れる川にはかつて堰があり、飛脚や旅人の憩いの場だったそうな。そこで酒をふるまうようになり、やがて川魚料理の店へと発展した。梁を残しながら改装した築150年を超える店内の風情が昔の面影を伝えている。
うな重(特大) 4730円
そんな店のうな重(特大)は、フタを開けたそばから迫力に圧倒されてしまった。分厚く立派な身が重なり合ってお重に敷き詰められているではないか。ガブッとやれば口中がうなぎで満たされる幸せにしばし恍惚。甘さを抑えたタレもいい塩梅で、身にたくわえた脂のコクを引き立てている。
ふと窓の外に目をやれば、緑が鮮やかな中庭も。鯉のあらいなんかをつまみに酒盃を傾けつつ、ゆったりうな重の到着を待つことにしよう。
[住所]埼玉県行田市城西4-6-21
[電話]048-554-2263
[営業時間]11時~14時半(14時LO)、17時~21時(20時LO)
[休日]火
[交通]秩父鉄道秩父本線持田駅から徒歩3分
撮影/小島昇(ブローウィン イン ザ ウィンド、小川菊、満る岡)、取材/菜々山いく子(ブローウィン イン ザ ウィンド、小川菊、満る岡)
※2024年8月号発売時点の情報です。
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