目黒「麺や 維新」 この店に来るならばちょっと奮発して全部のせの「特」を選ぶべし。しっとり柔らかな鶏胸チャーシューに、塩麹に漬け込んだ熟成豚肩ロース、味玉はもちろん半熟トロトロだ。忘れちゃいけないのが自家製わんたん。まさ…
画像ギャラリー食後に爽やかな気持ちになれる醤油ラーメン。ジャンル別に「これ必食!」と唸らされた店を覆面調査隊が紹介。推しのワケ、店紹介を参考に自身の好みの店から出かけてみて。
地下鉄赤塚「麺や 河野」
食券を渡すと店主の河野さんは、おもむろに麺を揉みだした。それも力強く丹念に。間もなくやってきた丼から顔を出したのがウェイビーな平太麺。すすってみればシルクのようになめらかな麺肌がランダムに唇を撫でると同時に、煮干しなどの魚介の香りがパッと弾けるように広がった。
時間差でやってくる鶏や豚の旨みや、分厚く重ねた醤油のコクによって小麦の甘みも花開く。麺がスープを、スープが麺を引き立てあった完璧なる相性にただただ唸る! そして気になっている読者も多いでしょう。そう「テキーラら~めん」だ。スープに原液のテキーラが1ショット。ガツンと来るアルコールの香りがマッチして不思議なほどに後を引く。
神保町「本家第一旭 神保町店」
京都を代表する老舗が新宿に進出し話題をさらったのが2018年のこと。そうして2021年末、東京2号店をここ神保町に構えた。特徴のひとつが丼に散りばめられたスライスチャーシュー。これでコシの強い麺や、どっさり乗った九条ネギを包んで一緒にすすれば、食感や味わいが代わるがわるにやってきて、噛む度に旨さが増す仕掛け。
とは言ってもスープがなくちゃ始まらない。長期飼育されたメスの豚ゲンコツに加えて肩ロース、バラ、ウデ肉を大釜でグラグラ炊いてエキスを搾り出す。濃厚なコクに醤油のキレが合わさって、箸が自然と加速していく。
御茶ノ水「ラーメン大至」
渦巻き模様の丼に浮かぶは、澄んだスープに中太麺、ちょんとのっかった固茹で玉子とナルトの姿も愛おしい。誰もがイメージする昔ながらのラーメンそのものだ。店主の柳崎さん曰く、「目指すのが“普通の最高峰”」。鶏の旨みを立たせたスープにさりげなく寄り添う醤油の風味は、強すぎず弱すぎずのいい塩梅。
取り立てて変わったところはないけれど、第二波、三波でじわじわ複雑な旨みと厚みが増してくる。加えて麺だ。浅草開化楼のつけ麺用をしっかり茹でて、小麦の香りと甘みを引き出した。気取りはない、けれども普遍的な旨さがこの1杯に宿っている。
目黒「麺や 維新」
この店に来るならばちょっと奮発して全部のせの「特」を選ぶべし。しっとり柔らかな鶏胸チャーシューに、塩麹に漬け込んだ熟成豚肩ロース、味玉はもちろん半熟トロトロだ。忘れちゃいけないのが自家製わんたん。まさに“雲”を“呑”むがごとくつるっと口に飛び込んで、中から肉汁があふれて来る。
さらに、やや平打ちで長めの麺はすすり心地よく、名古屋コーチンや比内地鶏のクリアなスープを引き連れる。どこに箸を付けても「おっ」と思わせる隙のない旨さにのけぞった。食べ進むうちに麺、スープ、具材が丼の中で調和していく至福の一体感にも注目を。
『おとなの週末』2022年2月号より(本情報は発売当時のものです)
…つづく「東京の本当うまい「町中華のラーメン」ベスト6店…なんと一杯《600円》、スープ絶品《浅草・大森・人形町・大井町・千歳烏山・清澄白河》で覆面調査隊が発見」では、あまたひしめく町中華のなかから、おいしいラーメンの店を紹介します。