『味噌らぁ麺~五重(いつつがさね)の味噌』(税込1,419円)はファミリーレストラン『デニーズ』の期間限定メニュー。日本一予約が取れないと言われる『飯田商店』店主、飯田将太氏とのコラボメニューとなっている。有名店とのコラボは珍しくないが、今回の本気度は予想以上のものだった。
画像ギャラリー『味噌らぁ麺~五重(いつつがさね)の味噌』(税込1,419円)はファミリーレストラン『デニーズ』の期間限定メニュー。日本一予約が取れないと言われる『飯田商店』店主、飯田将太氏とのコラボメニューとなっている。有名店とのコラボは珍しくないが、今回の本気度は予想以上のものだった。
限定メニュー『味噌らぁ麺~五重(いつつがさね)の味噌』がデニーズから登場!
コンビニやファミレスの恒例となった観のあるコラボメニューだが、この冬にファミレス『デニーズ』で提供されるのは 『味噌らぁ麺~五重の味噌』(税込1,419円) 。湯河原の『飯田商店』店主、飯田将太氏とのコラボとなっている。2025年1月9日から始まった期間限定メニューだ。
結論からいうと1419円は安い。全国どこのデニーズでもこの味が楽しめるのは驚異的だ。ラーメン専門店が客の眼の前で調理して提供するレベルに達している。とても高い水準の味だ。
今後のファミレス・ラーメンを語るうえでマイルストーンになってもおかしくない、驚くべき完成度だと評価できる。さっそく中身を紹介していこう。
麺もスープもハイレベル。ファミレスとは思えない専門店の味!
入店したのは週末の昼下がり。家族連れで混雑し、ホール担当の店員が食器を下げるのに忙しく歩くのを横目に注文したのだから、どこかしら厨房での瑕疵があるかもしれないと覚悟していた。麺の茹で加減が不均等だったり、スープの味が偏っていたり、盛り付けが雑になったりするのではないかと思ったのだ。
だが、それは杞憂だった。厨房のオペレーションは完璧だ。手順がきちんと定められたうえに、それが過たず踏襲されていることがわかる。
普通ならラーメンはスープから味見をするところだが、まず麺をすすりたくなった。写真でも伝わるかもしれないが、ストレートの細麺の雰囲気がいい。直感的にそそられるものがある。少なめに箸で取り、口にすると、適度にスープをまとった麺がするりと喉の近くまで届いた。噛めば麺の香りが沸き立って含み香となる。ファミレスのラーメンにありがちな、コストカットされた麺とは明らかに異なる滑らかさ。まるで別物だ。
細さも丁度いい程度で、スープが適度に絡む。歯ごたえは軽く抵抗してから、ぷつりと切れる。茹で加減も文句なし。味の濃さは中庸からやや薄い程度で、それでいて味噌のコクと香りがしっかりと口の中に残る。一口で「これはイイぞ」と確信させられた。
逸る気持ちを抑えながら、今度はレンゲでスープをすくってみた。脂はスープの表面に厚めの層を成しているが、匂いは薄く、口にしてもしつこさがない。そして味噌ベースのスープ。味噌は塩味が抑えられ、主張の控えめな深いコクと滑らかな舌触りの底に、ざらついた麹の粒がアクセントになっている。
このスープだけでも充足感がある。味噌は商品名のとおり、5種類をブレンドしているとのこと。半ライスをつけてもよかった。銀シャリとの相性は抜群のはずだ。
量も豊富で、食べ応えあり。舌も胃袋も満足させる逸品だ!
具は野菜とチャーシュー。野菜は炙られ、むらなく熱が通り香ばしさが加わっている。もやし主体の食感に玉ねぎとニラが変化をつけてくる。
チャーシューも強く風味が前に出ることがなく、豚肉の食感が特徴だ。全体に、単独で強い自己主張をする具材がなく、抑制的な刺激が調和して、深い充足感が残るように調整されている。
そして、しっかりとした量がある。舌の印象としては半ライスが欲しくなるが、食べ進めるうちに中年の胃袋は「いや、これで充分」と信号を脳に送り始める。もたもたしていると細麺は伸びやすく、味が落ちるので、その意味でもさっさと食べきるのが吉だ。
後半は味に変化をつけたくなるので、同時に展開されている『金山寺味噌のねぎみそ唐揚げ~青唐辛子を添えて』(税込660円)から、青唐辛子を拝借して刺激を加えるのもいいだろう。
こうして検証してゆくと、『飯田店主おすすめセット』(税込2013円)が無駄な構成になっていないことがわかる。 『味噌らぁ麺~五重(いつつがさね)の味噌』 + 『金山寺味噌のねぎみそ唐揚げ~青唐辛子を添えて』 +『ミニごはん』のセットだ。これこそ完璧な味覚の構成になることは間違いない。
ただし、食べきるには若い胃袋が必要だ。いや、少しばかりの気合と、昼飯ではなく夕飯という心の準備があれば、中年男性でも行けるかもしれない。今回はちょっと調子が悪かっただけだ。そう自分に言い聞かせながら、今日のところは箸を置くことにしたい。
『飯田商店』店主・飯田将太氏/1977 年神奈川県生まれ。料理好きが高じ、大学卒業後は東京の日本料理店で修行。25歳で地元に戻り、叔父のラーメン店を継ぐ。その後ラーメン作りに没頭し、2010年現在の「飯田商店」を開店。追求し続けた一杯は全国のファンを魅了し、「TRYラーメン大賞」で4連覇の殿堂入りを果たす。
文・写真/深澤紳一(ふかさわ しんいち):PCゲーム雑誌から文芸誌、サブカルチャー誌まで幅広い寄稿歴をもつライター。レーシングスクールインストラクターなども務めつつ、飼犬のために日々働く愛犬家。
TRYラーメン大賞関連本
『25周年記念 TRYラーメン大賞全国版 ~25年の軌跡と日本全国の本当に旨い一杯~』
【発売日】2024年12月2日(月)
【定価】1320円(税込)【判型/ページ数】A5判、128ページ
【発行元】株式会社講談社ビーシー/講談社
『第25回 業界最高権威 TRYラーメン大賞2024-2025』
【発売日】2024年10月23日(水)
【定 価】1100円(税込)【頁 数】140ページ
【発行元】株式会社講談社ビーシー/株式会社講談社