旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■希少品です
正解:自然薯(じねんじょ)
難易度:★★★☆☆
粘り具合がハンパなし!
自然薯はヤマノイモ科の植物で、山に自生する野生種です。ほかの山芋類(長芋、大和芋)に比べて細長く、粘りが強く、栄養価が高いのが特徴です。
長芋、大和芋などは中国から伝来した外来種のナガイモ種に属しますが、自然薯は日本固の固定種であるヤマノイモ種に属します。
古くから滋養強壮や健康増進に優れた栄養価を持つ食材として知られ、「山の薬」「山のうなぎ」とも呼ばれてきました。
また、栄養価の高さに加えて入手の困難さから「山菜の王者」と呼ばれることもあります。
東北や長野、北関東、中部地方の一部では、お正月の1月2日や3日に自然薯などの山芋をすりおろした「とろろ」を食べる「三日とろろ」と呼ばれる風習があります。
長く伸びる自然薯(山芋)の様が長寿を連想させることから縁起がよい、滋養強壮作用があるため、とろろを食べると風邪をひかずに健康で過ごせるといったことから三日とろろを食べる習慣が定着したといわれています。
天然ものの自然薯を見つけるのは至難の業。そう簡単に掘り出すことはできません。
木にからまっている細長いハート型の葉がついているツタを探し、そのツタをたどりその根元を掘ると自然薯が埋まっています。
細長いため、かなり慎重に掘り進めないと、途中で折れてしまうこともあります。
一般的に11月初旬~12月が収穫期になります。
また、自然薯の葉の付け根(ツルの部分)になる球状の芽の部分は「むかご」と呼ばれ、土に落ちるとそこから発芽します。
むかごは、ほんのりと甘く、ほっくりとした食感が特徴で、塩ゆでしてそのまま食べてもOK。素揚げや炊き込みご飯、かき揚げなどにしても美味です。
自然薯のむかごは自然薯同様、希少価値があり、高値で取り引きされています。
自然薯は空気に触れるとすぐに茶色に変色してしまいます。調理前に酢水に浸けると変色を防ぐことができます。
生育した土壌の質にもよりますが、皮はアクが強いため、皮をつけたまますりおろすとすぐに変色してしまう場合があります。変色が気になる場合は皮をむいてからすりおろすといいでしょう。
また、ほかの山芋よりも粘りが強く、すりおろしたままだと団子のように固まってしまうため、だし汁などで割って食べるのが一般的です。