70~80年代を沸かした日本人アーティストの曲の数々は、なぜだろう、妙に刺さる。カラリとしているのにメロウで、ハッピーなのに少し切ない。その魅力に、迫ります。
世界が再注目するオシャレさ加減!
シティポップ。この言葉に聞き馴染みがなくても、たとえば、大瀧詠一、南佳孝、大貫妙子……。70~80年代を席巻した“都会的”な和製ポップス――と言えば、同世代の人ならすぐイメージできるはず。それが2010年初頭以降、国内外で再評価されて呼び名も定着。世界的に熱視線を浴びている。
今聴いても懐かしいだけじゃなく、若い世代にも刺さっていたり。うーん、この魅力って一体何だ?ということで、以下2軒の店主に推奨盤も挙げてもらいつつ、“惹かれるわけ”を聞いたのだ。
シティポップ×日本酒も素敵!『BAR星くず』@日暮里
「すごいマニアでもコレクターでもない」と語る店主・栗田泰教さんのセンスのいいセレクトが秀逸。小さな酒蔵の日本の酒もあり、音のボリューム絞り目で一杯やりながら聴けるのがまたオツ。
「LET’S DO IT」吉田美奈子
「愛は思うまま」ほか収録。’78年
「SONGS-40th Anniversary Ultimate Edition-」SUGAR BABE

「山下達郎の原点にして頂点かな」(栗田泰教さん)というシュガー・ベイブ唯一のアルバム。「ダウンタウン」収録
「BAND WAGON」鈴木茂
「『はっぴいえんど』では最年少の鈴木茂が解き放たれた1枚」(同)
『BAR星くず』の栗田泰教さん
「学生時代に聴いていたフリッパーズ・ギターとか、好きな音楽から遡っていったらここが源流だったんですよね。70年代とはいえ、フォークソングほど内省的ではないし、80年中盤以降ほどゴキゲン過ぎない。その軽快さやポップさ。切ない歌詞でもウェットにならない、オシャレさ加減というか。50~70年代の洋楽への憧れを、日本的に解釈した実験的な楽しさもいいですよね。
細野さん、大滝さんらの「はっぴいえんど」、山下達郎はじめの「シュガー・ベイブ」などがひとつのルーツですが、あえて1枚取り出すなら吉田美奈子の「愛は思うまま」。どこまでも澄んだ伸びるような声と歌詞が絶妙にいい。そして後ろを支える豪華なメンバー。ネバーヤングビーチとか、今の若手がそれらをさらに現代語訳してるのもよくて。系譜をたどる楽しさも魅力です」
[店名]『BAR星くず』
[住所]東京都台東区谷中7-18-13
[電話]080-5169-5128
[営業時間]18時~24時
[休日]月
[交通]JR山手線ほか日暮里駅西口から徒歩3分
※チャージ料金500円別