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国内外のアーティスト2000人以上にインタビューした音楽評論家の岩田由記夫さんが、とっておきの秘話を交えて、昭和・平成・令和の「音楽の達人たち」の実像に迫ります。竹内まりやの最終回では、例のごとく筆者の私的ベスト3を紹介します。1978年のデビューから40年以上が経過した現在も、その楽曲の数々はファンのみならず多くの人の耳に届き続けています。特に近年は、YouTubeの影響もあって、1985年発売のシングル「PLASTIC LOVE」が海外でも人気に。余波を受けた形で、2021年11月3日には、「PLASTIC LOVE」のアナログ・レコード(12インチ・シングル、完全生産限定盤)がリリースされ、話題となりました。この名曲とは別に、筆者が挙げるベスト3とは……。

山下達郎の生家に貼ってあったポスター

竹内まりやの音楽体験は日本のグループ・サウンズ(GS)、ザ・ビートルズ、1960年代のアメリカン・ポップスなどから始まっている。高校生の時にアメリカ留学を、そこでラジオから聴いた音楽も彼女の音楽的背景になっている。

1978年、デビューを前にした彼女と逢った時は、前記の音楽に加えて、ザ・バンド、イーグルスなどアメリカのアーシーなロックが好みなことも教えてくれた。とにかく音楽好きで、ミュージシャンである以前にコアな音楽ファンという印象だった。

後に夫となる山下達郎も様々な音楽を聴いて育ち、徐々にソウル・ミュージックに傾倒して行った。竹内まりやは山下達郎と交際を始めた時、音楽的趣味がもしかして異なるのではと少し心配していた。それもすぐに解消されたのだが。彼女が初めて山下達郎の生家を訪問した時、少年だった彼の部屋を見せてもらった。その部屋の壁に貼ってあったのが、竹内まりやも好きなジャクソン・ブラウンのポスターだったと教えてもらったことがある。山下達郎が壁にポスターを貼るほどジャクソン・ブラウンのファンだったことを知ってホッとしたという。

「SEPTEMBER」 大人の女性へ移る刹那の時を捉えた名曲

竹内まりやはこれまで11枚のオリジナル・アルバムを発表している。2022年でデビュー44年になるから、同時代のユーミンや中島みゆきに比べて寡作と言っていいだろう。それでもこの11枚に加えて、『Longtime Favorites』のようなカヴァー・アルバム、他のミュージシャンに提供した楽曲もあるのでかなりの楽曲数に及ぶ。その中から私的3曲に絞るのは難しかった。

私的3曲その1は1980年のアルバム『LOVE SONGS』から先行シングルとして発売された「SEPTEMBER」。この頃の彼女はシンガー・ソングライターとしての才能をすでに開花させ始めていたが、まだ提供された楽曲も数多く歌っていた。「SEPTEMBER」は作詞が松本隆、作曲が林哲司だった。今でも数少ない彼女のライヴでは必ずといっていいほど、この曲は歌われる。この曲が録音された時、彼女は24歳。単なる失恋ソングでなく青春時代から大人の女性へ移る刹那の時を捉えた名曲だと思う。彼女のヴォーカルは多くの人々の最後の青春を代弁している

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「マージ―ビートで唄わせて」 リヴァプー...
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