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「人生100年時代」と言われるなか、近年にわかに注目を浴びているのが「老化・寿命研究」です。その最前線にいるのが、米ワシントン大学の今井眞一郎教授。2021年7月に開院した「東京銀座ウェルネス&エイジングクリニック」の母体組織「医療法人社団ミライ会」の理事も務めています。同クリニックでは、2022年4月から最先端の抗老化医療が本格的に始まります。今井教授の言葉から、“夢の若返り研究”のいまを見つめます。

「老化を知る」「老化を楽しむ」「老化に立ち向かう」

東京銀座ウェルネス&エイジングクリニック(大谷崇裕院長=医療法人社団ミライ会理事長)は、東京メトロ有楽町線の銀座一丁目駅から歩いて数分のビル2階にあります。2021年7月7日に開院。「病気にさせないクリニック」を目指し、「老化を知る」「老化を楽しむ」「老化に立ち向かう」の3つを柱に、エイジングケアに特化した医療を提案しています。

2022年4月には、クリニックの専属ラボに、ワシントン大学の今井教授のラボで学位を取った抗老化医療の専門家がラボヘッドとして就任。ラボで機能的な解析を行って「老化度」を総合的に評価し、今後の治療方法を決めていくといいます。そして、本格的な老化研究のための「プライベートリサーチクリニック」として、来院者たちの協力のもと、老化抑制に向けた革新的な治療法などの開発に積極的に取り組んでいく方針です。

近年、世界の研究者たちが注目している抗老化成分に「NMN」(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)があります。これは、エネルギーの代謝に必要なNADという物質に、体内で変わります。ただ、このNADは加齢とともに減少していきます。

NMNが脚光を浴びるきっかけは、ワシントン大学の今井教授のグループによる実験でした。マウスに投与したところ、糖尿病の症状改善に顕著な効果があったのです。これに限らず、認知機能の回復、老化に伴う臓器の機能低下の改善効果なども報告されています。つまり、抗老化への作用が期待されているのです。

NMNは、トマトやアボカド、ブロッコリーなどにも含まれていますが、微量です。このため、サプリメントでの摂取がすすめられており、同クリニックでも、処方されています。

NMN

人生が最後まで健康で豊かに……「プロダクティブ・エイジング」という考え方

今井教授は1964年、東京生まれ。慶応大学医学部卒。同大大学院でも老化の研究を続け、1997年には研究の場をアメリカに移しています。東京銀座ウェルネス&エイジングクリニックの母体組織「医療法人社団ミライ会」の理事には、2021年7月1日付けで就任しました。

今井教授は、同クリニックについて、こう話しています。

「そもそも老化の問題が、世界的に非常に深刻になっているのは、皆さんご存じの通りです。社会の高齢化ですね。日本は、その高齢化率のスピードが、最も早い。今後10年以内に、さまざまなひずみが、顕在化してくることが予想されます。(同クリニックが掲げる)『プロダクティブ・エイジング』とは、私の造語ではありません。アメリカの政府の老化研究に特化した機関の初代所長のロバート・バトラー先生が造られた言葉です」

プロダクティブ・エイジングとは、生産的な活動をしながら年齢を重ねていくという意味合いです。つまり、いつまでも健康で豊かな人生を送るということ。同クリニックの案内パンフレットは、「世があける―――『プロダクティブ・エイジング』の世紀」との見出しから始まっています。そして、冒頭の文章は、「オーダーメイドのエイジングケアにより、あなたの人生が最後まで健康で、豊かなものとなるように、そうした『プロダクティブ・エイジング』の実現を目指します」と結ばれています。

今井教授が続けます。
「歳を取ってきたときに、健康を保っているだけでなく、私たちの生活がプロダクティブ(生産的)であり続ける。そういったエイジングを達成する。私たちが個人の生活を楽しむ上でも、社会に貢献し続けていく意味でも、プロダクティブであり続ける。そういうエイジングを実現する。それが、老化研究の究極的な目標になります。本クリニックが目指すところでもあります。病気にさせないクリニックを目指します。従来のクリニックでは、病気になってから、症状が出てから、初めてかかるというのが本来の形だったんです。ただ、これからの高齢化社会では、それでは遅い。そうなってしまう前に、日々のケアで予防を達成する。日本では予防医療という言葉がありますが、それを実際にやっていくクリニックを立ち上げるということが、当クリニックの目標になるということをご理解いただきたい」

そのためには、何をするのか。今井教授は「まず、私たちは、どのくらい老化しているのかを知らなければいけない」と力を込めます。クリニック内のラボが重要な役割を担うことになります。

「老化・寿命研究の最先端を応用した場合に何ができるか。世の中に、知っていただくための努力をしていかなければいけない。そういう技術を使って老化を知る。老化は病気ではない。自然に起きてくる現象ですから。当然、ご自分の身体が、どれだけ、老化しているかを知った上で、充分に楽しんでいただくという過程が可能なわけです。充分なケア、コンサルテーションを受けた上で、楽しんでいく。これがプロダクティブ・エイジングの根幹になってくる。やはり、病気にならない、病気にさせない、立ち向かう。これが抗老化医療の要になっていくわけですが、最先端の成果を投入する。それを社会実装していくことが、重要になってくるわけです。これが、当クリニックの目的になるわけです」

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おとなの週末Web編集部 堀
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