「一般社団法人 海のごちそう推進機構」と、全国の地元の「海の食文化」を発信したい事業者が共済しているイベント「日本さばける塾」。2025年1月11日に、回転寿司チェーン『すし銚子丸』と「日本さばける塾 with すし銚子丸」が開催された。今回ライター池田が親子で実際に体験。1尾のアジを自ら3枚におろし、江戸前の握りに挑戦してきました。
画像ギャラリー一般社団法人「海のごちそう推進機構」と、全国の地元の「海の食文化」を発信したい事業者が共済しているイベント「日本さばける塾」。2025年1月11日に、回転寿司チェーン『すし銚子丸』と「日本さばける塾 with すし銚子丸」が開催された。今回ライター池田が親子で実際に体験。1尾のアジを自ら3枚におろし、江戸前の握りに挑戦してきました。
次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、“海”をおいしく学ぼう!
あなたはお家で自分で魚をさばくことはあるだろうか? さらに言うなら、さばいた魚で自ら寿司を握ったことは? 釣り好きなんて人は別にして、おそらく今どきはあまり経験がないのでは?
去る2025年1月11日、豊洲市場の一角の調理室に集まった12組24名の親子もしかり。その24名が各々1尾のアジを自ら3枚におろし、江戸前の握りに挑戦するというイベントが開催された。「日本さばける塾 with すし銚子丸」だ。
これは、次世代へ豊かで美しい海を引き継いていこうという日本財団「海と日本プロジェクト」の一環。一般社団法人「海のごちそう推進機構」がプロデュースしており、海の食文化を繋いでいく取り組みなどを行っているという。
となれば、食に関わり続ける『おとなの週末』としても無関心ではいられない。というわけで記者親子自ら参加した、そのレポートをお届けする。開催は今後もあるので、情報をチェックできるURLなどは後ほど。
まずはイベントの様子をどうぞ(楽しかったぞ!)。
実は9年目!「日本さばける塾」って?
と、その前に、そもそも「日本さばける塾」って何? という疑問もあるだろう。なのでここで少し解説しておこう。その趣旨はイベントをプロデュースしている「一般社団法人 海のごちそう推進機構」によるとこうだ。
「魚を実際にさばくこと、地域の海洋変化や魚種の変遷を学ぶこと、さらに『海を味わう十の技法』による調理体験など、日本の豊かな海の食文化を継承し、輪を広げるイベント」
こうしたポリシーのもと、実は2016年から開催されていて、今までに47都道府県すべてで開催実績がある。9年目となる2024年度には10のエリアで開催されている(詳しくは「日本さばけるプロジェクト」公式WEBサイト:https://sabakeru.uminohi.jp を)。
そして各イベントは、一般公募された全国の地元の「海の食文化」を発信したい事業者と、海のごちそう推進機構で共催されているのだ。
“磯焼け”って知ってる?「海が砂漠化している」って話に子どもたちも真剣に
さて、今回のイベントである。
参加者は小学校高学年から中学3年生までの子どもとその保護者、2人1組で12組24名。すし銚子丸のホームページなどで募集され、応募多数の場合は抽選となるが、10倍以上、あっという間に多数の応募が寄せられたそうだ。
参加費は無料。内容は、海の学び(座学)と調理体験の2部構成。調理体験では、アジの3枚おろしと江戸前の寿司の握りを、すし銚子丸の寿司職人から各々直々に教えてもらえる。そして最後には、おいしいお寿司も待っている! となれば人気なのも頷けようってものだ。
当日、まずは30分の座学から。今回のイベントには『銚子丸』とともに、豊洲市場の水産仲卸「山治」も参加。ともに講師を務めてくれた。「海についての学び」、今回のテーマはふたつ、最初は「磯焼け」だ。
磯焼けとは何か? おそらくほとんどの読者も知らないと思うが、「海藻が茂っている藻場と呼ばれる海の草原から、海藻がなくなって砂漠化する」ことだという。ちなみに“藻場”にはプランクトンや小魚など小型生物が多数生息し、魚やイカなどの産卵場所にもなっている。水産資源の揺りかごみたいな存在だ。ところが各地でこれが砂漠化しつつあるという……。
映像を見たり、実際にダイビングでその様子を目の当たりした先生の話に子どもたちの眼差しが真剣さを帯びる。
なぜこんなことが起こるのか。その原因はいくつもあるそうだが、大きな理由のひとつが、海藻を食べる魚やウニなどによる「食害」だという。実はこれらの生物は海水温が低い冬の間はあまり活動しない(エサを食べない)のだが、冬も活発に活動するようになり、冬に芽吹いたばかりの海藻を食べてしまうから。
その理由は地球温暖化により海水温が上昇したことだ。ほかにも海洋ごみなどで海が濁って太陽の光が届きにくくなっているなどの原因もある。子どもたちの表情が曇る。記者だって悲しくなる。というわけで、今日から誰でもできる地球温暖化対策は何か、海洋ごみ対策は何かを学んでいくのだ。
千葉県の郷土料理「なめろう」と「さんが焼き」についても学ぶぞ!
さばける塾でもうひとつ大事にしていること、それは日本の豊かな魚食文化の継承だ。そこで座学の後半は、このあと実際に作る千葉県の郷土料理、千葉県の「なめろう」と「さんが焼き」について。おいしく食べることとそのための資源を守ることは両輪だし、食べものの話はやっぱり楽しい。
いずれもアジを使った漁師料理。その昔、獲れたてのアジを船の上でたたいて味噌と薬味で和えてご飯と一緒に食べたのが始まりという「なめろう」。あまったなめろうを貝殻につめて焼いて食べたりしたという「さんが焼き」。そのルーツや名前はどうして付いたのか。へー、なるほど。調理を前にモチベーションがさらに増すのであった。
今回はここまで。次回はいよいよ1尾のアジを自ら3枚におろし、江戸前の握りに挑戦する。お楽しみに!
『すし銚子丸』のお知らせはこちらのHP(https://www.choushimaru.co.jp)から。
取材・撮影/池田一郎
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