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新婚1年目!
ドイツ夫と日本人妻の「フードファイト」

「パンとハムとチーズの
無限ループ」

ドイツ人の男性と結婚した日本人女性。
食生活の違いに戸惑う日々を、イラストとともにお届けします。
第1回目は、きたるドイツ暮らしに向けて妻が恐れていること。
ドイツの“ソウルフード”のループにどう立ち向かうのでしょうか。
(ふたりは主に英語で会話していますが、日本語に翻訳してお届けします)

ドイツ人の食べているものって?

みなさまは、「ドイツ料理」と聞いてなにを思い浮かべるでしょうか。

定番のソーセージにじゃがいも、それにビール?
加えて、キャベツの酢漬け「ザワークラウト」や、豚のすね肉の煮込み「アイスバイン」、黒っぽくて酸味のあるパンなどが挙がるかもしれません。

じゃあ、それ以外には? と聞かれると、まだまだ“ドイツ歴”の浅い私ははた、と言葉に詰まってしまうのです。え~っと、ほかになにか食べてたっけ?

そこで、ドイツ人の夫に向かって「ドイツ人って、ソーセージとじゃがいもとパンしか食べてないんじゃないの?」なんて揶揄してみる。
すると、夫はまなじりを決して「ええっ? ほかにもいろいろあるじゃん! ハムとか、チーズとか、卵とか」と答えます。
「ハムにチーズに、卵ねぇ」と私が苦笑いすると、「でも、日本人だってライスとミソスープとフィッシュばっかりじゃない?」と言い返してくる始末なのです。

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行方不明の魚や米

夫は、ドイツ南部の都市・ミュンヘンで生まれ育ったドイツ人。妻、つまり私は、石川県出身、上京して10ウン年の日本人。

ひょんなことから東京で出会い、結婚をすることになった私たち。もうまもなく、日本からミュンヘンに居を移し、新生活をスタートさせることになっています。
しかし、つい数ヵ月前に入籍を済ませたばかりの国際結婚1年目の夫婦に、問題が起こらないわけはありません。

目下どうにかしなければと思っているのが、ドイツでの食事のこと。
これまでに旅行者として4度訪れた限りでは、かの国ではボーっとしていると、ハム、チーズ、パン、またハム、じゃがいも、チーズときどき卵、ところによってソーセージ、チーズ、じゃがいも……といったループに陥ってしまいます。
努力しない限り、魚や米はもちろん、新鮮な野菜などもあまり口にできなかったのです。

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ソウルフードの洗礼にぐったり

昨年末ミュンヘンに出かけたときも、こんなことがありました。
ゆっくりと起きた土曜の朝、外で朝食兼昼食を食べよう、ということで夫と意見が一致。
近所のカフェで、ブランチメニューを注文すると、何種類ものハム、チーズ、バゲットに黒パン、バターやジャムがテーブルいっぱいに並びました。

香ばしいバゲットの上に、薄く切られた塩気の強いハム、少しクセのあるチーズをのせて頬張れば、ああ幸せ。手作りのいちごジャムも絶品で、カゴに山盛りだったパンはあっという間になくなりました。

そして夕方、近くに住む義母の家を訪ねて紅茶を飲みながらのおしゃべり(義母はフランス語とドイツ語しか話せないので、夫が通訳役です)。夜7時を過ぎて、「さ、そろそろディナーの時間ね」なんて言った(と思われる)義母がおもむろに立ち上がりキッチンへ。
私は「えっ今から準備するの?」と内心びっくり、夕食にありつけるのはいつになるのかと心配したのもつかの間、かかったのはものの5分。

「フンフ~ン♪」
義母の鼻歌とともに出てきたのは、まな板の上にのったスライスされたハムとチーズとパン、少しのレバーパテでした。ちょっと寂しいけれど、これが「コールドミール(冷たい食事)」と呼ばれるドイツの一般的な夕食。「あたたかいスープでもあるとうれしいんだけど……」なんてワガママは言わずにいただきます。

そして翌朝、野菜不足でなんだか動きの悪いお腹をさすりながら、今度は義兄の家で朝食を、と出かけて行くと……並んでいたのはそう、やっぱりハムとチーズとパン
もちろんそれぞれは文句なしに美味しいのです。でも、申し訳ないけれど、3食連続はやっぱりきつい。
「ハムとパンとチーズ以外のものが食べたいよ!」と心の中で叫ぶものの、せっかく用意してくれたものに手をつけないわけにはいかず、もそもそと口に押し込みました。

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夫の気遣いもちょっとズレてる?

「これがドイツ人のソウルフードなんだ。文句を言っちゃ失礼だ」と自身に言い聞かせるも、浮かべる笑顔も力ないものになります。だんだんと口数が減っていく私に気づいたのか、夫が「今晩はふたりで何か食べに行こう。ライス? それともフィッシュ?」と聞いてくれました。

「お米が食べたいかなぁ」。何気ないふりで、それでもきっぱり答えると、「それならいいところがあるよ!」と連れて行ってくれたのは……なんと本格インドカレーの店!
確かにお米にはありつけましたが、う~ん、何か違う。といった具合。

東京にて、華の独身生活でさんざん美食三昧していた私には、これから大変つらい戦いが待っているのでは、と戦々恐々としているのです。

これから、「食べ物の問題」を中心に、ドイツ夫の困惑や日本人妻の苦悩をリアルタイムでお届けしたいと思います。未熟なふたりを、どうぞよろしくお願いいたします。


イラスト/なをこ

●文:溝口シュテルツ真帆(みぞぐち しゅてるつ まほ)/
1982年生まれ、石川県加賀市出身。編集者。週刊誌編集、グルメ誌編集を経て、現在はドイツ人の夫とともにミュンヘン在住。ドイツを中心に、ヨーロッパの暮らし、旅情報などを発信中。私生活ではドイツ語習得、新妻仕事に四苦八苦する日々を送っている。

2014年4月15日公開

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