冬の汽車旅のおススメは?と、聞かれたときに、必ず答えるのが五能線です。 秋田県の東能代駅から白神山地の北側を走り、青森県の川部駅までの路線で、県境付近では日本海の海岸線ぎりぎりに敷かれています……。
画像ギャラリー冬の五能線。〝わさお“の焼いかとヒラメの漬け丼/~2018
冬の汽車旅のおススメは?と、聞かれたときに、必ず答えるのが五能線です。
秋田県の東能代駅から白神山地の北側を走り、青森県の川部駅までの路線で、県境付近では日本海の海岸線ぎりぎりに敷かれています。
[日本海ぎりぎりに敷かれる五能線(2006年撮影)]
車窓から厳しい冬の海を見るのも、撮影をするのにも最高の路線です。
[車窓からも日本海が美しく見える(2009年撮影)]
冬の五能線、ちょっとだけ問題がありまして……。
ちょくちょく止まります。
海岸ぎりぎりなので、波が高くなると線路に大きな波がかぶってきます。
強風はもちろんですが、波の高いときにも、遅れや運休になってしまいます。
天気の急変も多くて、冬の旅をするときには、少々日程に余裕を持ったほうが良いでしょう。
[さっきまで晴れていたのに数分でこの状態……。冬の日本海側は天気の急変が多い(2018年撮影)]
撮影も然り。
天候が荒れていて、素晴らしい風景が展開しているのに列車が来ない……。
いつまで待っても来ない。
定時運転のときのように車で待機することもできずに、雪と潮混じりの強風に吹かれながら何時間も待つなんていうこともありました。
こんなときは、その場を離れると列車が来るような気がして、動けないという状態になってしまいます。
[せっかくの大荒れ天気……3時間待っても列車は来なかった……(2006年撮影)]
ひと昔前までは、こんな感じの列車待ちでした。
近年になって、撮影場所にいても携帯で遅れや運休の情報が入るようになり、本当に楽になりました。
2018年の冬も荒れた年でした。
案の定、列車が来ない。
しばらく待つと、2時間以上遅れの情報が入ってきました。
青森県側の鯵ヶ沢駅に行って、駅で詳細を訪ねると、目的の列車はまだ3時間は来ないとのこと。
[五能線鯵ヶ沢駅も雪の中(2006年撮影)]
さて、列車が来るまでどうするかと見まわしてみると、面白いキャラクターがありました。
鯵ヶ沢ヒラメのヅケ丼イメージキャラクター「ヒラメとヅケどん」。
……そのまんま。
[「ヒラメとヅケどん」のキャラクター(2018年撮影)]
駅に併設している観光案内所で聞いてみました。
「ランチで出しているお店はたくさんありますよ」と、渡してくれたパンフレットには22軒のお店が載っています。
鯵ヶ沢を代表する魚のヒラメのヅケを使ったご当地丼です。
車移動だったので、駅から近い道の駅わんど内にある「食堂どん」に決めました。
[鯵ヶ沢駅の海側にある道の駅わんど(2018年撮影)]
[道の駅わんどの中には新鮮な魚も並んでいる(2018年撮影)]
出てきた〝ヒラメのヅケ丼“。
あめ色に輝く切り身が美しい丼です。
[食堂どんのヒラメのヅケ丼1300円(2018年撮影)]
まずは、ヒラメを一切れいただきます。
ヅケによって、とろっとした食感に凝縮した味。
いいです!
[ご飯の上にはとろろ昆布が!(2018年撮影)]
ご飯にはとろろ昆布がびっしりと敷かれています。
このご飯にヅケのタレがしみ込み、切り身といっしょに食べれば、もう最高です。
いっしょに出てくる、ヒラメのアラを使ったじゃっぱ汁もすばらしい!
列車の遅れは残念でしたが、満足のランチタイムでした。
鯵ヶ沢の超有名アイドル犬「わさお」にも会えました!
ランチを終えて道の駅で出ると、記念写真用のボードがありました。
軽トラに乗った秋田犬。
ブサかわ犬で有名な「わさお」です。
ここ鯵ヶ沢のアイドルです。
[道の駅わんどにある「わさお」の記念写真ボード(2018年撮影]
普段、「本物のわさお」がいるのは焼いかの店菊谷商店。
秋田県からずっと海岸線を走っていた五能線が、東に進路を変えて内陸に向かうポイントに店があります。
[「わさお」がいる菊谷商店(2009年撮影)]
ここの焼いかは、おいしくて安いので、以前からちょくちょく寄っていました。
さらに店の横、犬小屋の前が、列車の撮影ポイントになっています。
最初のころは、こんな有名犬だとは知らずに、犬小屋の前で撮影していました。
車を止めてカメラをセットして、焼いかを食べながら待つのが、ここのスタイルです。
[「わさお」の犬小屋前から撮影(2009年撮影)]
[菊谷商店の焼いか(2009年撮影)]
[「わさお」は人気者(2011年撮影)]
[撮影ポイント横を通って散歩に向かう「わさお」(2011年撮影)]
厳しい日本海を眺める五能線の旅。
おいしいものもたくさんあります。
ぜひ、日程に余裕をもってお出かけください。
佐々倉実(ささくら みのる)
鉄道をメインにスチール、ムービーを撮影する“鉄道カメラマン”、初めて鉄道写真を撮ったのが小学生のころ、なんやかんやで約50年経ってしまいました。鉄道カメラマンなのに撮影の8割はクルマで移動、列車に乗ってしまうと、走るシーンを撮影しにくいので、いたしかたありません。そんなワケで年間のかなりの期間をクルマで生活しています。趣味は料理と酒! ヨメには申し訳ないのですが、日々食べたいものを作っています。
鉄道旅と食の話、最新の話題から昔の話まで、いろいろとお付き合いください。
ちなみに、鉄道の他に“ひつじ”の写真もライフワークで撮影中、ときどきおいしいひつじの話も出てきます。なにとぞご容赦ください。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
画像ギャラリー