モスフードサービスは、全国のモスバーガー店舗(一部除く)で、「グリーンバーガー<テリヤキ>」(580円税込)を発売しました。モスバーガーといえば、大手ハンバーガーチェーン店で初めて「テリヤキバーガー」を商品化したことで知られています。今回“元祖の味”をまるごと植物性の食材だけで再現した背景には、コロナ禍で変貌するライフスタイルが影響しているようです。
画像ギャラリー第1弾は80万食のヒット!ラブコールに応えて第2弾 「withコロナ」と「地球環境」を意識した新しいライフスタイル
「グリーンバーガー」は、原材料に肉や卵、乳製品など動物性の食材を使わず、野菜と穀物を主原料に作られています。さらに、五葷(ごくん)と呼ばれる仏教などで食を禁じられている臭いの強いネギ、ラッキョウ、ニラ、ニンニク、タマネギを使用しない徹底ぶりです。
2020年3月、定番商品「モスバーガー」をベースに「グリーンバーガー」が初登場。同社によると、これまでに75~80万食を売り上げているそうです。
「テリヤキバーガー」はモスの看板商品として根強い人気を誇っていますが、「グリーンバーガーにもテリヤキ味がほしい」との多くの要望に応え、このほど第2弾として販売されました。
まるでお肉!! こんにゃくとキャベツを使ったソイパティ
お肉にこってり甘辛ソースをからめた、ボリューム満点のテリヤキバーガーを植物性の食材だけで置き換えることが可能なのか、「グリーンバーガー<テリヤキ>」を半信半疑でいただいてみました。
まずは、バンズ。バターを使わず、豆乳クリームでしっとりとした仕上がりに。さらにほうれん草ピューレーを練りこんだ淡いグリーン色のバンズは、野菜の甘みがほんのり感じられ、気持ちまで明るく優しくしてくれます。
そして、大豆由来の植物性たんぱくをベースにしたソイパティ。シイタケエキスでうま味を、こんにゃくやキャベツで肉に近い食感を出しているユニークさに、何度も噛みしめてしまいます。
ソイパティは、お肉と違って軽めの仕上がりですが、物足りなさはそれほど感じられません。むしろ、ダイエット中だからといって罪悪感に襲われることなく、思いっきりハンバーガーを頬張れます。何とも幸せな気分になります。
モスには「菜摘(なつみ)」という、バンズの代わりに、たくさんのレタスでパティやトマトを挟んだヘルシーなバーガーがありますが、「グリーンバーガー」は、ふつうのハンバーガー同様バンズと一緒にいただく分、食べ応えがあり、満足度は高めです。
「グリーンバーガー<テリヤキ>」(右)は、通常の「テリヤキバーガー」(左)と見た目は大きく変わりますが、味はほとんど変わらず、驚きの美味しさ!
2種のソースが決め手!「いつもと変わらない」驚きのアレンジとは
食べる直前に、バンズに挟まれたソイパティとトマト、レタスにテリヤキとグリーンマヨの2種のソースをかけます。実は、相性抜群の2種のソースのおかげで、「いつものテリヤキバーガーと変わらない!」と、思わず叫んでしまうほどの美味しさを堪能できるのです。
動物性油脂多めなこってりしたテリヤキソースを、植物性の食材だけでどうアレンジできるのか。興味津々でしたが、さっぱりした甘辛に仕上がっており、驚くばかり。ソースの甘みはてん菜糖で、うま味は昆布エキスを合わせて、マスタードとブラックペッパーを加えており、キレも感じられます。一方のグリーンマヨソースは、マヨネーズの主原料である卵ではなく枝豆を使用し、コクと彩りを添えています。
野菜が苦手な子供達も、ペロリ完食
発売直後、小学5年と2年の息子たちと「グリーンバーガー<テリヤキ>」と、通常のテリヤキバーガーを食べ比べてみたのですが、グリーンバーガーに対して「ソースがくどくなくて食べやすい」「2種類のソースで野菜が美味しく感じる」と言いながら、2人ともペロリ完食でした。野菜が苦手な子供達に、「グリーンバーガー<テリヤキ>」は、ウケがいいのかもしれません。
初登場の「パキッテ」には工夫がいっぱい フレッシュな味を自宅でも
2種のソースは、「パキッテ」と呼ばれる別添えの容器に入っています。容器の中央についている折り目を下に向けて片手で「パキッ」と割ると、中からそれぞれソースが線を描いて垂れて混ざりあいます。自分好みの分量に調整でき、ソースをかけすぎたり、手や服を汚したりする心配がありません。
後からソースをかけることで、野菜がしんなりせずに新鮮なまま味わえるとあって、まさにいいことづくめ。「パキッテ」は、モスバーガーで今回初めて提供されるそうです。この“小さな魔術師”こそ、新商品の影の主役といったところでしょうか。
長引くコロナ禍と上手につきあう「withコロナ」が日常と化しているなか、お持ち帰りやデリバリーの需要の高まりを受けて、このようなおいしさを長持ちできるちょっとした気遣いは、うれしいですね。
「SDGs」「フレキシタリアン」「フードダイバーシティ」に対応で飲食業界をリード
「モスの強みである野菜をたっぷり使った新しいハンバーガーを、何としても最初に作りたかった」(上席執行役員マーケティング本部長の安藤芳徳氏)と意気込むように、同社が満を持して「グリーンバーガー」を開発した背景には、「withコロナ」のほか、近年、世界中のライフスタイルで注目されるキーワード「SDGs」「フレキシタリアン」「フードダイバーシティ」の潮流に乗って、飲食業界をリードしたい狙いがあるようです。
SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)は、国連サミットで採択され、2030年までに達成を目指す17の目標を掲げています。この目標の中で、同社では、「すべての人に健康と福祉を」「つくる責任 つかう責任」の2つを取り上げ、「グリーンバーガー」の開発にも活かされています。
「(新商品の)ターゲットは、ヴィ―ガンやベジタリアンではなく、フレキシタリアン」(安藤氏)と明言している「フレキシタリアン」とは、週1日以上、動物性の食品を減らした食事をとろうと意識している人たちのことです。元ビートルズのポール・マッカートニーさんが提唱した「ミートフリーマンデー」がきっかけで、毎週月曜日もしくは月曜日に限らず週に1度、肉食を控えることで、自然保護に努め健康改善を促すキャンペーンで、広く知られるようになりました。
ベジタリアンが肉や魚を食べないのに加え、ヴィ―ガンはさらに卵や乳製品、はちみつも口にしない徹底した信条に基づいたライフスタイルをとる人達です。そこまでいかなくとも、コロナ禍で外出や運動が控えられ、より健康志向が進んでいるなか、ゆるくバランスのとれた生活=「フレキシタリアン」は、今後、ますます増えそうです。
新商品「グリーンバーガー<テリヤキ>」の発表会。左からモスフードサービスマーケティング本部商品開発部長の濱崎真一郎氏、一日宣伝部長の近藤千尋さん、モスフードサービス上席執行役員マーケティング本部長の安藤芳徳氏(提供写真)
「フードダイバーシティ」は、宗教やアレルギーといった食へのタブーを持つ人々が、安心して口にすることができるよう、既存のメニューに手を加えたりして、選択肢を増やし、みんなが違和感なく同じ食卓を囲める取り組みも進められています。
2021年夏の東京五輪の選手村食堂でも「フードダイバーシティ」に基づいたメニューが数多く提供されました。今後、「アフターコロナ」を迎え、再び訪日外国人観光客の増加が見込まれるなか、より需要が高まると予測されます。
こうした社会情勢をいち早く察知して開発された「グリーンバーガー<テリヤキ>」は、いま世界が直面している問題を知る、考えるうえで欠かせない食のパートナーとしての役割も担っているのです。「グリーンバーガー<テリヤキ>」何とも奥深い世界観のあるひと品として、じっくり味わってみてはいかがでしょう。
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