コーヒーはカラダに良い? 悪い? 栄養士が注目する「意外な効果」

コーヒーは1日何杯が適量? カフェインを飲んで元気になる、疲れにくくなるのは正真正銘事実。とはいえ、疲れ知らずのカラダなんてありえません。コーヒーのおかげで集中できた、トレーニングがはかどったとしても、頑張ったぶんの負担…

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朝の1杯、職場にテイクアウトのコーヒーを持参して1杯、昼食後に1杯、午後は会議や打合せで2~3杯、夜は眠気覚ましや気分転換のために1杯……。こんなペースで毎日コーヒーをたくさん飲んでいる人、多いのではないでしょうか。

職場やカフェはもちろん、コンビニでも挽き立てのコーヒーを飲めるし、自宅で美味しいドリップコーヒーを楽しむケースも増えています。香りにそそられ、飲んでほっとしたり元気になったり。でも、飲み過ぎてちょっと胸焼けしたりする方もいるのではないでしょうか? 現代の生活でより身近になったコーヒーはカラダに良い? 悪い?

本稿では著者の栄養士が注目する「意外な効果」とともに、そのポイントを解説します。

文/藤岡操(フードコーディネーター・栄養士)、メイン写真/amenic181-Stock.Adobe.com

「コーヒーを飲むと元気になる」は本当だった!!

コーヒーに含まれる成分といえばカフェイン。エナジードリンクにも使われている成分で、覚醒作用があることが知られています。それは、カフェインによって中枢神経が刺激され、心拍数や血圧、血糖値を上昇させるなどの効果があるから。頭がシャキッとして、元気になったように感じるのです。

脳が覚醒するだけでなく、カラダも活動モードになっているので、デスクワークの前だけでなくトレーニングの前に摂取するのも効果的。カラダがラクに動き、疲れも感じにくくなるため、トレーニングがはかどるでしょう。

◆コーヒーでメンタルも強くなる!

ストレス社会において、メンタルは重要なキーワード。強化したいけれど、どうすればいいのかわからない……という人も多いのではないでしょうか。実は、コーヒーに含まれるカフェインには、メンタルを強化する働きもあるのです。

カギを握るのはドーパミンという脳内ホルモン。ドーパミンは、快感を得たときに活性化するホルモンで、別名“快楽ホルモン”。ドーパミンの分泌量が低下すると、うつ病、運動機能が低下するパーキンソン病などのリスクが高まるということがわかっています。

カフェインにはドーパミンの分泌を促進したり、守ったりする働きがあると考えられています。「1日に2~3杯のコーヒーを飲む人は、飲まない人に比べて自殺率が50%低い」という研究結果もあります。

コーヒーは糖尿病、心臓病予防、ダイエット効果も!

さまざまな効果が期待できるコーヒー。クロロゲン酸の作用を考えると、エスプレッソに代表される深煎りよりも浅煎りが良いという(Romolo-Tavani-Stock.Adobe.com)

コーヒーにはクロロゲン酸というポリフェノールが多く含まれています。

クロロゲン酸は、血糖値を下げたり、腸内での糖の吸収を穏やかにする働きがあるため、高血糖予防、糖尿病予防に有効。さらに、クロロゲン酸とカフェインの相乗効果で、心臓病予防や体脂肪減、血液をサラサラにする作用も認められています。

ただし、焙煎によってクロロゲン酸の作用は低下するので、浅煎りのコーヒーがおすすめ。また、一気に大量に飲むのは逆効果なので、朝、昼、夜と小分けにして飲むようにしましょう。

コーヒーは1日何杯が適量?

カフェインを飲んで元気になる、疲れにくくなるのは正真正銘事実。とはいえ、疲れ知らずのカラダなんてありえません。コーヒーのおかげで集中できた、トレーニングがはかどったとしても、頑張ったぶんの負担は確実にやってきます。

最初は効果を感じていたのに、疲れが溜まってきた、元気にならない……と感じたら、カフェイン耐性がついてしまったのかもしれません。そんなときは、一週間ほどコーヒー断ちをするのがおすすめ。カラダからカフェインが抜けた状態でコーヒーを飲むと、カフェインの効果がてきめんに表れるでしょう。

また、コーヒーの効果には個人差があるため、1日あたりの摂取許容量は、日本だけでなく国際的にも定められておらず、自分で適量を見極めることも大切。

ちなみに、カナダ保健省は「健康な成人は最大400mg/日(コーヒーをマグカップ=237 ml入りで約3杯)までとする」としています。

◆  ◆  ◆

コーヒーがカラダに良いのことはたくさんの研究で証明されています。

コーヒーはもともと薬とされていました。9~10世紀ごろ、イスラム教の僧はコーヒー飲むと寝ずの修行に耐えられることから秘薬として珍重したそうです。1855年ごろの日本でも、蝦夷開拓を担った津軽藩士たちは、「和蘭コーヒー豆、寒気をふせぎ湿邪を払う……」として、コーヒーを飲んで過酷な作業を乗り切ったのだとか。

私たちも、自分のカラダに取っ手の適量を見極め、コーヒーの力を賢く取り入れたいものですね。

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