食材の旨味を逃さない解凍法 冷凍した食材をいかに美味しく食べるかは解凍方法次第です。野菜は解凍せずに直接加熱調理をしてしまうのが素材の旨味を逃さないベストな解凍法です。 肉は保存袋のままボウルに入れ、流水につけておくと1…
画像ギャラリー巷では食材の冷凍保存が大流行。安い時に野菜や肉をまとめ買いできるし、節約もできるしと、いいことだらけ。でも、解凍したら食感が悪くなっていたり、嫌な臭いがしたりして食べられたものではなくなってしまった……。そんな経験をしたことはありませんか? そこで今回は、冷凍した食材の美味しさをキープする冷凍と解凍のコツをご紹介します。
文/田村順子(フードライター)、写真/写真AC
鮮度や味をキープするには急速冷凍が一番!
食材が凍ると食材の中の水分が氷の結晶となり、その結晶が旨味の詰まった細胞の膜を破壊してしまいます。その結果、解凍した時に溶けた水分とともに旨味が流れ出してしまうのです。それが鮮度や味が落ちる原因です。
これを防ぐには、急速冷凍させることが一番。氷の結晶は大きくなればなるほど細胞膜を傷つけやすくなります。すばやく冷凍をすると氷の結晶の膨張を抑えることができ、食材の細胞を破壊せず鮮度や旨味を保ったまま保存することが可能となります。
ここからは冷凍が完了するまでの時間を短くするコツをいくつかご紹介します。
■アルミ製のトレーやアルミホイルを活用する
できるだけ食材が重ならないように平らに並べて冷凍庫へ。これで食材が凍る時間を短くすることができます。保存用袋に入れた食材を熱伝導率の高いアルミ製のトレーの上に置いたり、ラップや保存袋の上からアルミホイルで包んで冷凍庫に入れるとさらに冷凍時間を短縮できます。
■小分けにして冷凍をする
保存袋に大量の食材を入れると冷凍時間が長くなってしまいます。保存袋には1回に使い切れる分くらいの食材を入れて冷凍しましょう。解凍した後のことを考えて、白菜やキャベツはざく切りにするなど、下処理をしてから冷凍しましょう。
■保存袋の空気を抜いて冷凍する
冷凍してあっても、食材の中の水分は時間とともに蒸発していきます。水分が抜けた後に空気が入り込むと肉の脂身や食材の中に含まれる油分が酸化して食材の鮮度や旨味が損なわれるだけではなく、変色してパサパサになったりします。これがいわゆる「冷凍焼け」と呼ばれる現象です。
保存袋の中の空気を抜いて、できるだけ真空に近い状態にして食材が空気に触れないようにして冷凍すると冷凍焼けを防ぐことができます。
ただし、家庭では完全に真空の状態を作り出すことは難しいため、油分が多い食材は短期で使い切るようにしましょう。
作り置きのおかずも同様で、保存袋の中に空気がたくさん入っていると、傷みやすくなるので注意しましょう。
■肉は塊ではなく薄めにカット
塊のままだと家庭用の冷凍庫では中まで凍るまでに時間がかかってしまいます。そのため、ブロック肉を購入した場合は薄めにカットしてから冷凍するのがお薦めです。
長くても1カ月で使い切る
雑菌の混入がないように厳重な管理のもとで下処理・冷凍された市販の冷凍食品の場合は2~3カ月は保存が可能ですが、自分で冷凍をした場合は、野菜も肉も2週間、長くても1カ月以内には使い切りましょう。
特に作り置きのおかずなどの場合は、調理の過程で雑菌が混入してしまう恐れがあるため、食材よりも傷みやすい可能性があるため、1~2週間が安全に食べることができる期間と考えましょう。
肉などは醤油など、塩味がある調味料とともに保存すると1カ月くらいは保存することができます。
食材でも、作り置きのおかずでも、保存の際は雑菌が極力入らないよう、手をよく洗い、清潔な菜箸やまな板を使って作業をするようにしましょう。
食材の旨味を逃さない解凍法
冷凍した食材をいかに美味しく食べるかは解凍方法次第です。野菜は解凍せずに直接加熱調理をしてしまうのが素材の旨味を逃さないベストな解凍法です。
肉は保存袋のままボウルに入れ、流水につけておくと100gの肉なら約5~7分程度で解凍できます。急ぎで使用しない場合は、冷蔵庫に半日から1日程度入れて解凍してもOKです。自然解凍(常温解凍)で解凍すると、食中毒の原因になる菌が増殖する恐れがあるので避けましょう。
自然解凍がOKなのは作り置きのおかずなど、加工したものですが、それでも解凍後はしっかり再加熱して殺菌してから食べるようにしましょう。また、果物は自然解凍になりますが、水分が多い果物は半解凍くらいでシャーベット状になったところで食べるのがお薦めです。
肉や魚の解凍で避けたいのは電子レンジを使用すること。一部に火が通り一部は未解凍の状態になる「解凍ムラ」が起きてしまいます。野菜も加熱しすぎると水分が出て、旨味だけではなく栄養も溶け出してしまいます。野菜は半解凍くらいにとどめ、あとは加熱調理するほうが美味しく食べることができます。
冷凍庫はぎゅうぎゅう詰めに
冷蔵庫は食材と食材の間にゆとりができるように収納しないと庫内に冷気がまんべんなく行き渡らず、冷却効率が低下します。逆に、冷凍庫はすき間がないように食品を詰め込んだほうが冷却効率が良くなり、食材が傷みにくくなるうえ電気代を節約することができます。
ただし、手際よく取り出せる状態に整理整頓をしておかないとドアを開けっぱなしにする時間が長くなってしまうため、どの食材がどこに保存してあるかを把握できるように整理整頓をしておきましょう。
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