車椅子ユーザー自らつくるバリアフリー情報サイト「らくゆく」が好評「安心して暮らせる社会を」亡き創設者の熱き思い

エリア拡大を視野「ユーザー登録者を増やし、より細やかな情報提供を」 「らくゆく」を運営しているのは、「東京都チャレンジドプラストッパン株式会社」(東京都板橋区)。凸版印刷株式会社、東京都及び板橋区との共同出資によって設立…

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車椅子利用者や体が不自由な人達が外出する際、トイレや駐車場の使いやすさ、ホテルのバリアフリー対応といった情報を集約したサイト「らくゆく」が、じわり注目されています。サイトを制作、運営するのは、同じ車椅子ユーザーら。実際、現地に出向いて、車椅子の動作の確認や、ホテルのバリアフリールーム使用の詳細といった情報を、ユーザー目線で掲載しているのが特徴です。「体が不自由でも安心して外出できれば、もっと可能性を広げられるはず」―亡きサイト創設者の遺志を受け継いだ運営者らは、今後、対象エリア拡大を視野に、多くのユーザー登録を願っています。

バリアフリー情報サイト「らくゆく」

専用トイレ、駐車場…現地で確認、アクシデントにも対応

社員によるバスの乗車実踏

「らくゆく」は、車椅子利用者や体が不自由な人達が、安心して外出できる機会を増やせるよう、暮らしに役立つ情報を集めたサイトです。東京や横浜を中心とした各地にある車椅子対応のトイレの使いやすさや駐車場の位置、バリアフリールームが設置されたホテル内の様子などが、写真とともに詳細に掲載されています。

駐車スペースで車いすの積み下ろし

例えば、東京都江戸川区のJR京葉線葛西臨海公園駅構内にあるトイレに関して「入口80センチ以上(自動押しボタン/横スライド)、トイレ前路面傾斜なし」と、実際の車椅子利用を想定して詳しく書かれています。横浜市の横浜中華街から山下公園へ向かう道路についても「歩道は広く通りは空いているため通行しやすい」とも。また、山梨県富士河口湖町の富士レークホテルでは、ユニバーサルルームを23室用意。室内は4人部屋で42平方メートルと広く、リクライニングベッドを備えていることが分かります。

道の「穴1つ」で、下を気にして進むのか、景色を楽しめるかが変わります

一方、車椅子がパンクした際の近くの修理店や車椅子対応のタクシー会社一覧といった、アクシデントにも対応しているので安心です。

2021年8月のサイト開設以来、2022年12月現在のユーザー数は4万5000、プレビュー数は24万を突破。暮らしに役立つ情報のほか、サイト内のウエブマガジンでは、実際、外出先で繰り広げられるユーザーの日常がいきいきとつづられており、好評を博しています。

エリア拡大を視野「ユーザー登録者を増やし、より細やかな情報提供を」

「らくゆく」を運営しているのは、「東京都チャレンジドプラストッパン株式会社」(東京都板橋区)。凸版印刷株式会社、東京都及び板橋区との共同出資によって設立された重度障害者雇用のモデル企業です。

サイト発足は、同社の男性社員の熱き思いがきっかけでした。この男性社員は、車椅子で外出する際、情報があまりに不足している現状を痛感。利用できるトイレの場所が分かりにくかったり、実際に車椅子使用者専用トイレに入っても、内部が狭く使いづらかったりして困惑したといいます。

体験から得た実用性の高い情報を発信

男性社員らは、「現地に出向いて情報を集め、自分たちの手で便利なサイトを提供しよう」と奔走。しかし、この男性社員はサイト開設を目前に亡くなります。

「彼の遺志を受け継ぎ、体の不自由な人達の日常生活の困りごとを改善して、積極的に外に出たり、安心して暮らせる社会にしようと日々努めています」。サイトの運営担当者、八尋洋光さん(52)は、言葉に力を込めます。

利用者からは、「外出する機会が増えて、さまざまな体験ができた」といった喜びの声が多く寄せられているといいます。

目的地の状況を、詳細な記録と体験に基づいて
情報に反映します

一方、地方のニーズを求める高まりを受け、八尋さんは今後、全国各地の車椅子ユーザーらの協力を得て現地の情報を集め、対象エリアを拡大したいと意気込んでいます。

全国各地の車いすユーザーらの協力を得て、
対象エリアの拡大ときめ細やかな情報提供を目指します

「サイトを見て、ユーザー登録をする人が増えれば、現地からもっときめ細やかな情報提供ができます。ゆくゆくはひとり一人が自立して、能力が十分に発揮できる社会になるよう続けていきたい」(八尋さん)

【らくゆく】
https://rakuyuku.com

文/中島幸恵

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