担当編集者からのひとこと 「やりたいことはあるけれど、一歩が踏み出せない」という人の中には、前田さんの言うように「本当はそれほど変化を望んでいない」パターンの他にも、「常に前進していなければ」という焦燥感を持つ方もいるよ…
画像ギャラリー「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げて始まった、「ティモンディ前田裕太の“おとな”入門」。自身の経験や見聞きしたエピソードから思考を広げてきた「コラム形式」から、次のステップへと進みます!
その内容は、「お悩み相談」です。これまで約1年半のコラム連載を通して、食・あそび・勉強・旅…と、様々なテーマで「(理想の)大人とは?」について考え、目指してきた (そしてこれからも目指していく)前田さん。その経験を生かした視点で、皆さんから寄せられたお悩み相談に答えていきますよ◎
記念すべき1回目は、程度の差はあれ、多くの社会人が抱えているかもしれないお悩みです。
[今回のお悩み]
「人脈を広げたいのに一歩が踏み出せません。このもどかしさから抜け出すにはどうすればいいですか?」
人脈を広げたいと思うけれど、なかなかアクションを起こせないことにもどかしさを感じています。
私は会社員なのですが、実家と会社を往復する毎日で、家族と数少ない同僚以外の人と会うことがないです。たまに休みの日に、大学時代の友達と会って話すくらいです。
いつか転職したいなぁとぼんやり思っているので、仕事につながるような知り合いを増やしたり、いろんな話ができる友達を増やしたり、恋人を作ったりしたいなぁと思いつつ、そういうコミュニティに出かけたりする勇気が出ません。
人脈を広げる目的もわからなくなってきて、悶々とする日々です。
このもどかしさから少しでも抜け出すには、どうしたら良いのでしょうか。
(京都府・20代・女性・会社員)
一歩を踏み出せない、その原因を見極めよう
この手の悩みを抱えている人は大きく分けて3種類の人間に分けられると思います。
1つ目は、青い鳥症候群のタイプ。
青い鳥症候群とは”漠然と今よりももっと良い仕事がある””もっと良い人が現れる”と思ってしまって現実を直視できない人のことを指します。
より幸せになりたい、と思うのはとても良いことです。
哲学者のプラトンも”人生の目的は、永遠の幸福だ”と残しているように、人は幸せになるために生きているという考えだってある。
その幸せの探求を一体誰が咎められようか。
誰だって人生で一度くらい平野紫耀くんとデートしてみたいだろうし、1日だけで良いから橋本環奈ちゃんと付き合ってみたいだろう。
それを望むこと自体に何も問題はない。
ただ、明確に自分にとっての幸せがこれだ、と考えた上で、今の現状を認識して、その差異に頭を悩ませるならいざ知らず、
なんとなーく今の仕事が合わない気がして、なんとなーく転職したいなと思っていて、なんとなーく趣味にも手を出せない人、なんてのは多いように感じる。
そういう人は問題だ。
目指す先がぼんやりしている人は、ないものねだりになりやすいし、何より幸せを手に入れるための対策が取りにくい。
平野くんとデートしたいのであれば、平野くんが主演になるであろう映画を見越して制作スタッフになれば、話をする機会はあるかもしれないし、テレビ局のメイクさんになれば、顔だって触れる。
すごいなメイクさん。
お相手の食指が動けば、デートのお誘いの可能性だってゼロではないはずだ。
無責任に適当なことを言っているけれど、可能性の話だけで言えば、目標がはっきりすれば実現するための手段も明確になる。
それが、単に容姿端麗な人と逢瀬をしたい、というざっくりとした目標だと、目標を実現するための一歩がなんだかよく分からなくなる。
そんななんとなーく今よりも幸せを享受したい青い鳥症候群の人は、まず自分の現状を直視するところから行うことを推奨する。
自分の幸せとは何なのか。何を具体的に実現できれば、幸せだと言えるのだろうか。そんなことを問いかけてみることが、青い鳥症候群からの脱却の一歩になる。
全体的にぼんやりと捉えているから、明確な一歩を踏み出すのに躊躇するし、ぼんやりと面倒だと思ってしまうのが人間なのだ。
2つ目は、自身がそれほど変化を望んでいないタイプ。
変化とは、エネルギーがいる。
普段よりも早起きしなければならないのはいつもよりも労力がいるでしょう。人によるか。
エネルギーを使って変化を起こすほど、今の現状に不満がある訳ではない人は、やっぱり一歩が出ない人が多い。
相方が結婚して「前田さんはどうなんですか?」だなんて聞かれる事がある。そもそも余計なお世話で、鬱陶しい質問でもあるのだけれど、「いやー、彼女いたら良いんですけどね」だなんて答えたりするんですよ。
けれど、本当に彼女が欲しいかと聞かれると、正直なところ、別にそこまで、くらいの熱量なのだ。私自身がそこまで変化を望んでいないのだろう。
だから口では「いたらいい」だなんて言うけれど、特に一歩踏み出そうとする努力をしないのだ。
自分は、そもそも変化をした際のエネルギーを持ち合わせているのか、現状に満足する努力をするべきなのか、自分自身を見極めなければならない。
新たな一歩を踏み出すのを躊躇する理由が、もしも悪い方向に行ったらどうしよう、という思考から、悪い変化を恐れている人もいる。
人脈を築こうとする時に踏み出した一歩が、全然上手くいかないかもしれない。そんなことを考えると、余計に一歩が踏み出しにくい気持ちもわかる。
ダメだったら、失敗したら、だなんて考えたら、億劫になっていってしまっても仕方ない。失敗したって、今の現状で維持しているよりいい!と思えるマインドが伴っていない訳ですから。行動なんて出来るわけない。
そういう人は、大前提として自分の心が、今の状態から、良くも悪くも変化することを本当に望んでいるのか、一度考えてみた方がいいですね。
それを考えた上で、変化を望んでいるけれど一歩が踏み出せない人もいるでしょう。
そんな人に言いたいのは、人が行動するのなんて、エアコンと同じような仕組みなんですよ。スイッチを入れて起動する時が一番電力(要はエネルギー)を消費する訳で、一度運転させてしまえば、起動する時よりも少ない電力で稼働し続ける事ができる。
その起動するときに必要になるエネルギーを惜しまないくらい自分の心を乗り気させる必要があるんですよ。
今の現状から変化を望んでいるのであれば、一歩を踏み出して変化した未来、変化した自分を想像して、自分のモチベーションを高めて、やる気にさせてあげることに注力することをお勧めします。
誰よりも自分のモチベーションをあげる事がしやすいのは自分ですからね。
3つ目は、日々のタスクをこなすのに労力を割きすぎて、新しい一歩を踏み出す余裕がないタイプ。
このタイプの人は心配ですね。
第一、日本人は働きすぎなんですよ。オランダなんて平均就労時間は約週31.3時間だからね。日本の平均就労時間は約36.6時間だから、オランダと比較した場合、一週間に5時間も多く働いているのだ。(※1)
世界の年間平均労働時間ランキングで、バブル期の後には一桁順位だったこともあるし(※2)、平均的にみんな労働に時間を使いすぎている節があるような気がする。
勤勉を賞賛する時代はもう終わり。
24時間戦えますか、なんて謳い文句となんら変わらないマインドを持った人が多くいるのも確か。でもそれは、沢山働いて沢山稼ぎたい人がその選択をすればいい。
働きたい人は、別に自由に働けばいいと思うし、休みたい人はバランスを取りながら、適度に働くのが精神衛生上良いと思う。
こういう人は、とにかく仕事では休みをとる!有給を使い切る!定時に上がる!そんな努力をするべきなのだ。
たくさん暇があれば、ゴロゴロ寝るのも飽きて、そろそろ別のことでもしようかな、と、自分自身がアクティブにエネルギーを向ける気分になる可能性が高い。
私生活の時間をたっぷり取れば、きちんと自分のプライベートを充実させよう、と気持ちが向きやすい。
仕事だけが人生ではない、と分かっていながらも、休日をしっかり休めていない人が多いような気もするので、そんな人は、飽きるくらい休みを作るのがいい。
※1 https://www.globalnote.jp/post-7518.html ILO統計データ(2021年)より
※2 https://data.oecd.org/emp/hours-worked.htm OECD統計データ(1994年)より
担当編集者からのひとこと
「やりたいことはあるけれど、一歩が踏み出せない」という人の中には、前田さんの言うように「本当はそれほど変化を望んでいない」パターンの他にも、「常に前進していなければ」という焦燥感を持つ方もいるような気がします。
夢中になれるものや夢がある人がかっこよく見えて、それに比べて自分は普通だな…と思うことも。でも、「やりたいこと」がなくても、学生なら勉強、社会人なら日々の業務、つまり「やるべきこと」を一生懸命頑張ることにもとても価値があるし、「当たり前のことを当たり前に頑張れる」というのも、立派なアイデンティティだと思うのです。
私自身、これまで、「あの仕事に就きたい!」とか「こうなりたい!」と強く思ったことがありません。ただ、目の前の勉強や仕事を一生懸命頑張る中で、できることが増えたり、より良い方法を探して工夫するようになったり、それは単純に楽しいと感じます。また、それを通して、自分の興味関心の方向性に気付くこともあります。
なので、漠然とした「現状に満足してはいけない感」がある方は、とりあえず目の前の「やるべきこと」に全力で取り組んでみてはいかがでしょうか。とはいえ頑張り過ぎず、たまには「私、毎日仕事を頑張ってるだけで偉いかも~」と、肩の力を抜いてみるのも良いかもしれません。
ちなみに、前田さんの回答の中に出てくる、「24時間戦えますか」という現代では物議を醸しそうなフレーズは、バブル期に栄養ドリンクのCMで使用されていました。1989年には、流行語大賞・銅賞にも選ばれています。特に頑張り過ぎだった当時を象徴するようなフレーズですね。
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前田裕太(まえだ ゆうた)
1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。愛媛県の名門、済美高校野球部の同期である高岸宏行とのお笑いコンビ「ティモンディ」のツッコミ担当。趣味はサッカー観戦、読書。テレビ番組で画力を披露したり、複数メディアでコラムを執筆するなど、マルチな活動で注目を浴びている。
ティモンディ
高岸宏行・前田裕太によるお笑いコンビ。コンビ結成は2015年、グレープカンパニー所属。高岸のポジティブなキャラクターや、二人の野球経験と身体能力などがバラエティ番組で引っ張りだこに。コンビの野球経験をいかしたYouTubeチャンネル『ティモンディチャンネル』の登録者数は約28万人。