大人が楽しむ新宿の晩ご飯7軒 人気酒場から隠れ家ビストロまで

『魚と心の居酒屋 のだぴん』@歌舞伎町2丁目 家で寛いでいるかようなホッとする旨さ ぜっぴん魚に唸って寛いで心もすっぴん、その店の名は? 『のだぴん』です。今年で創業40周年。変わらぬ旨さと居心地の良さはずっと家族で守っ…

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大人が楽しむ新宿の夜にはおいしい料理とお酒が欠かせない。てことで西に東に足を延ばして通いたくなる店を大捜索。ホットな人気酒場があれば、やっぱり落ち着く昭和の居酒屋、隠れ家のようなビストロもあり。今夜どこ行く?

『めしや ヒロキ倶楽部』@西新宿7丁目

まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの注目店発見!

西新宿界隈で今、最も勢いのある居酒屋系列ではなかろうか。昨年開店するや予約1か月
待ちもザラの「酒場つむぎ堂」に続き、同エリアで今春始動したのがここ「めしやヒロキ倶楽部」。若い世代も気軽に行ける“初めての小料理屋”をコンセプトにしたんだそう。

素材や調味料を吟味し、ひと捻りした料理はどれもこれもセンス良し。レア仕上げのアジフライ、肉感あふれる牛タン……ポテサラだって普通じゃない。注文を受けておでん鍋からジャガ芋と玉子を取り出し(お?)その場でマッシュ(そうきたか)。

倶楽部のポテトサラダ748円、本気のアジフライ1078円

『めしや ヒロキ倶楽部』倶楽部のポテトサラダ748円(奥)、本気のアジフライ1078円(手前)
ポテサラは酸味穏やか。写真のしば漬けなどトッピングを選べる。半生に揚げたアジフライは繊細な衣

実はおでんも刺身も品書きにはないのだが、それは「そのままを出して勝負するよりひと手間加えた料理で差別化したい」から。丁寧な仕事で新しい美味を生む発想力はお見事。この先、楽しみでしかない。

『めしや ヒロキ倶楽部』

[住所]東京都新宿区西新宿7-12-24 第二小島ビル1階
[電話]03-5937-1940
[営業時間]17時~24時(土・日・祝は16時~)
[休日]無休
[交通]JR山手線ほか新宿駅西口などから徒歩5分

『新宿 六』@新宿6丁目

前菜から〆までバリエーション豊かに揃う

肉に魚にパスタにラーメン。和洋中と多彩なメニューにニンマリ笑いがこらえられない。まずは前菜3種盛りで幕開けだ。「トロたく」など好きに選んで一献やれば気分も上々。こりゃ火が付いた食&飲の欲望を抑えることなどできまへん!

自称東京No.1を謳う唐揚げは塩麹に漬けた鶏肉のほのかな甘みに中毒必至。焼売なんて子供のこぶし大ですよ、それも推定小学校高学年サイズ。台湾人に教わったレシピをアレンジしたそうで、芝麻醬を隠し味に加えた風味豊かな味は旨さも量も大満足だ。

前菜3種盛り1390円

『新宿 六』前菜3種盛り1390円(写真は六のポテトサラダ・海老とアボカドのタルタル・トロたく)
よだれ鶏など和洋中から選べる。写真は人気の3種

というのも調理をこなす小林さんは大手の某人気店で長年料理長をしていた実力派。和牛サーロイン1枚をそのまま豪快に炙って供するユッケなど、芸ある味は何度でも食べたくなる。

開業して4年、これまでの予約客は全て名字を店内に貼っており、常連になれば大判サイズで名前を掲示してくれる演出もニクイ! 

『新宿 六』

[住所]東京都新宿区新宿6-4-2 コスモス新宿18 M1階
[電話]03-6384-1748
[営業時間]11時半~15時(14時半LO)、17時~23時(22時半LO)、土・日・祝は夜のみ
[休日]無休
[交通]都営新宿線ほか新宿三丁目駅C7 出口などから徒歩5分

『炭火と酒と肴 七福八郎 新宿本店』@新宿7丁目

路地裏で見つけた穴場店の名物料理に大喝采!

穴場エリア、東新宿の路地で秀逸店み~っけ。「地域密着の酒場として街と飲食業界を盛り上げたい!」とクラウドファンディングで協力を募って昨年開店。いやあ、志も素晴らしい。

料理を頼めばさらに拍手。名物登場のその瞬間、まばたきは厳禁ですぞ。空の器が運ばれるや、中華鍋で手際よく仕上げた麻婆豆腐をたらたらたらーり。しかも大きな塊の豆腐1丁分を豪快にあふれさせながらイン。うおおぉ~。てな演出も楽しいのだが、味わいもまた花椒のシビレと華やかな香りが脳天まで刺激しまくってサイコーなのである。

四川シビレ麻婆豆腐1078円

『炭火と酒と肴 七福八郎 新宿本店』四川シビレ麻婆豆腐1078円
約20種のスパイスを配合。サービスでご飯も提供

他にも炭火で焼いた銘柄地鶏や数量限定の鶏白レバー刺しなど、鮮度の良さと丁寧な仕込みがわかる美味が満載。毎月テーマで変わる日本酒など酒類にもこだわっていて、何と何と(感動のあまり強調しました)ほぼ全て試飲できるんだと。え、いい店過ぎ……。街の宝となるでしょう。

『炭火と酒と肴 七福八郎 新宿本店』

[住所]東京都新宿区新宿7-26-57新宿第二コーポ101 
[電話]03-6278-9113 
[営業時間]17時~24時(23時LO)
[休日]不定休
[交通]都営大江戸線ほか東新宿駅A2 出口から徒歩2分

『上燗屋 富久』@新宿3丁目

先代の味わいを受け継ぐやさしいおでん

人混みで故郷の親友を見つけたような安心感。「富久」はそんな店。格子戸を開ければカウンターの脇におでん鍋、品書きの木札、奥の障子から漏れる穏やかな灯り……目まぐるしく変わる新宿の街角で、こういう店に出合えたことにしみじみ、つくづくうれしくなる。

先代の亡き後、店を守るのは30年来の常連だった佐藤さんはじめスタッフの女性たちだ。おでんはカツオと昆布に鶏手羽を加えた上品なダシで、冷めないよう取り皿代わりに熱々のツユを入れたお椀を添えてくれる。人気は老舗から仕入れる豆腐や自家製つみれなど。

おでん(大根300円、しょうが丸天450円、つみれ450円、豆腐300円)

『上燗屋 富久』おでん(大根300円、しょうが丸天450円、つみれ450円、豆腐300円)
イワシがたっぷり入ったつみれなどツユが染みた種は上品な味 

限定の水餃子もタケノコとはんぺん入りの手作りだ。これまたおでん鍋でひと煮込みした滋味深い味が酒を誘ってたまらない。日本酒は先代の故郷・和歌山「日本城」のみ。錫の徳利で温めたお燗をきゅっとやれば、ふくよかに広がる旨みに陶酔。はぁぁ、新宿の夜が、しっぽり更ける。

『上燗屋 富久』

[住所]東京都新宿区新宿3-12-4 永谷タウンプラザ1階
[電話]03-3350-6729
[営業時間]17時~21時半(21時LO)
[休日]日・祝・水(水は7、8月のみ)
[交通]地下鉄丸の内線ほか新宿三丁目駅E3出口などから徒歩2分

『魚と心の居酒屋 のだぴん』@歌舞伎町2丁目

家で寛いでいるかようなホッとする旨さ

ぜっぴん魚に唸って寛いで心もすっぴん、その店の名は? 『のだぴん』です。今年で創業40周年。変わらぬ旨さと居心地の良さはずっと家族で守ってきた店の“味”。何というか、ただいまと叫びたくなるんです。

海鮮盛りは自慢の生本マグロの他、取材時は鮑カンパチも参戦してこの充実ぶり。ほらキリッと角が美しい刺身の切りつけを見てくださいよ。豪快な量にも思わず敬礼、明日の活力になる名物盛りだ。

のだぴん海鮮盛り1人前1480円~

『魚と心の居酒屋 のだぴん』のだぴん海鮮盛り1人前1480円~(写真は2人前)
内容は仕入れで変わるが生本マグロの赤身と中トロは必ず入る

そんな旬魚を使った握りや巻物も人気で、店名を冠した軍艦は赤酢のシャリにその日のネタがあふれんばかり。頬張るほどに元気がみなぎる。

ちなみに初代は山梨出身。モチモチのほうとうを使ったウニパスタや、ほとんど地元でしか出回らない銘酒があったり、ああもう推しの品々を書き出したら文字数が全然足りない。とにかく行けば“のだぴんファミリー”。あなたも家族の一員になりませんか。

『魚と心の居酒屋 のだぴん』

[住所]東京都新宿区歌舞伎町2-45-7 石井ビル3階
[電話]03-6273-8083
[営業時間]17時~23時半(23時LO)
[休日]月
[交通]西武新宿線西武新宿駅北口から徒歩1分、JR山手線ほか新宿駅東口から徒歩7分

『Chartro(シャルトロ)』@新宿1丁目

本場で学んだシャルキュトリーに感動

ヘタすりゃこれは店へのラブレターになるかもしれない。それほど惚れた、いやもう溺愛。
お気に入り店リストに極太字で加えたくなる。だってパテやハムなどシャルキュトリーの旨さからしてもう撃沈だ。

それも当然、店主の鈴木さんはフランスの食に欠かせない食肉加工品を学ぶため渡仏→星付きレストランで働きながら機会を伺い→パリの専門店に頼み込み→熱意を認められて修業を許された人なのだから。

豚と鶏白レバーで作る看板「パテ・ド・グランメール」はしっとり芳醇。本場のレシピがベースだが、脂を控えめにするなど日本人に合わせたやさしい味を心掛けているそう。

シャルキュトリー盛り合わせ(2人分)3400円

『Chartro(シャルトロ)』シャルキュトリー盛り合わせ(2人分)3400円
定番の鶏白レバーペーストは無花果の赤ワイン煮を添えて。自家製ロースハムなど盛りだくさん 

無論ビストロ料理の腕も推して知るべし。前菜ではズワイガニとウニが織りなす美味のハーモニーに言葉を失い、ホロホロ鳥にフォワグラなどを包んだガランティーヌの迫りくる旨みに身も心も奪われた。結論。ゾッコンです。

『Chartro(シャルトロ)』

[住所]東京都新宿区新宿1-12-1 サンサーラ第三御苑103
[電話]03-6380-4240
[営業時間]18時~22時(20時半LO)
[休日]日
[交通]地下鉄丸の内線新宿御苑前駅2番出口から徒歩2分

『ルネット』@西新宿4丁目

店主の“好き”を詰め込んだ楽しい店

4歳から料理の手伝いを始め、お菓子作りは小学6年から。隠れ家のような小さな部屋101号に「自分の“好き”を全部詰め込んだ!」と笑うシェフでパティシエの井上さん。彼の現在地である店を訪ねると「楽しそうだなあ」とこちらもニコニコだ。

イタリアン、フレンチ、パティスリーをミックスした感じのメニューは「季節と仕入れと気分(笑)」で変わるそうで、トウモロコシのピュレに山椒を合わせた前菜のように「あれとこれが合うかな」とヒラメキで考案することも多いとか。

おつまみ&冷菜もりあわせ(価格は選ぶ料理で変わる)

『ルネット』おつまみ&冷菜もりあわせ※写真は3種で2200円(1人分・価格は選ぶ料理で変わる)上から時計回りに、ブッラータチーズととうもろこしのピュレ山椒風味、国産生本マグロのカルパッチョ サルサヴェルデ、国産つぶ貝のアチャール

そんな井上家、いや店では料理のことやナチュラルワインの味わいのことを愛情たっぷりに伝えてくれるから、へ~、ほお~と楽しくなってしまう。そっか“楽しい”は伝染するんだよね。

人気のロールケーキは旬の果物満載、生クリームも注文後にホイップ。「だって出来立てが一番おいしいでしょ?」。井上ワールド最高!

『ルネット』

[住所]東京都新宿区西新宿4-10-19西新宿コーポビアネーズ101
[電話]03-5388-8210
[営業時間]19時~23時頃(土・日は18時~)
[休日]火・水・他不定休
[交通]都営大江戸線西新宿五丁目駅A2出口などから徒歩3分

撮影/西崎進也(ヒロキ倶楽部)、小島昇(六、富久、のだぴん)、大西尚明(七福八郎)、橋本真美(Chartro)、鵜澤昭彦(ルネット)、取材/肥田木奈々

2023年9月号

※2023年9月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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